コンビニにずらりと並ぶ、ご飯やおかず、レトルト。これらにひと手間加えれば、もっとおいしく食べられるのではないか? しかも、それはアウトドアでも活用できるはず! そこで、幅広いアウトドア知識と経験をもつ達人にグレードアップ術をみせてもらった。
※2022年に取材した記事です。
教えてくれたのはこの人!
ベースキャンプ店主 A-sukeさん
東京・水道橋にあるアウトドアをコンセプトにしたカフェバー「ベースキャンプ」の店主。著書に『男前燻製レシピ77』(山と溪谷社刊)。燻製ワークショップなども開催している。
五つ星ベストスモークを探せ!
燻して美味しいコンビニ飯研究所開設!?
店ではダッチオーブン料理を振る舞い、燻製本まで出版しているA-sukeさん。その腕を見込んでお願いしたのが、“コンビニ飯を燻製でグレードアップしてください!!”。
「いろいろやってきたけど、それは初めての挑戦かな(笑)。でも面白そう」
我々が普段、コンビニでよく買う食材をピックアップ。
「煙は油と吸着しやすいから、揚げ物や油の多いカレーなんかはイケるんじゃないかな」
ということは、ホットスナックの類は間違いなしか!?
「水分があると煙を纏いづらいし、酸っぱい原因になるから、飲み物は論外。でも、ヨーグルトは試してみてもいいかも」
意外にチャレンジャーだ。
「あとね、燻製ってあくまで香りの要素だから、食材に味が必要なんですよ。そう考えると、あまり味のない米やパン、うどんなんかの炭水化物は香りは付くけど危険かも!?」
では、実際のところを試してみましょう! チップは香りの強いサクラを選択。パンチが強いほうがコンビニ飯と合いそう。燻煙をかけるのは基本5分に設定。
「長い時間かけてもいがらっぽくなるだけだから。ただ、味の濃いものは長めのほうがいいかも」
果たして、最強燻しコンビニ飯に輝くのは何か!?
「うまくいったらうちの店のメニューに加えようかな。そう思ったらやる気が出てきた!」
材料はコンビニならではの15種類!
今回は、調理せずに気軽に食べられるものに限定してチョイス。明らかに美味しいであろう茹で卵やチーズ、ソーセージや、塩、コショウなどの調味料を除き、あくまでコンビニらしい商品で挑戦した。
使用した道具&チップ
愛用しているスノーピークのコンパクトスモーカー¥11,000。2段式で食材を多く並べられるのがお気に入り。
どんな食材にも合う、サクラのチップが大定番。香りも色もつきやすいため、スモークビギナーにもおすすめ。
コンビニ飯の燻し方
燻製器の底にチップを入れる。1回分は、5本の指でひとつまみしたぐらいの量でOK。
細かいスナック類は、アルミホイルに移して燻製。なるべく重ならないよう、広げること。
水分のあるものは容器に移す。油が落ちるものは下の段に。
燻す時間は基本5分で
火にかけ、煙が出てきたらフタをして火を止め、温燻する。
最強燻しコンビニ飯決定!!
ホットスナックから、手軽な軽食、お弁当、果てはアイスクリームまで全15種類を燻製。失敗作もあったが、予想外に美味しく変身するものも。お試しあれ!
1 きのこの山
チョコの甘さと燻煙の苦みが絶妙なハーモニーを奏でだす。ウイスキーやブランデーのお供に。
2 バニラアイス
溶けないよう燻煙をかけるのは2、3分と短めに。キャラメリゼしたような芳香な味に。
3 麻婆豆腐
辛いものとはミスマッチかと思いきや、目からウロコな美味しい仕上がりに驚きが隠せない!
おにぎり
海苔はパサつき、香りもたいして付かなかった。醤油や塩をスモークするほうがいいかも!?
シュークリーム
口のなかで燻製皮とクリームが混ざり合うことで、美味しさ発揮。想像していたよりもイケた。
明太子パスタ
丸ごと燻煙をかけたら普通に美味しくいただけた。おそらく、明太子だけにかけても相当旨い。
羊羹
ひと口食べた瞬間、なぜか燻製のいがらっぽさや酸っぱさなど嫌な部分が強調される結果に……。
納豆
あまりに味がまとまりすぎ、こういう納豆だといわれれば疑問も湧かないほどすんなり食せた。
肉まん
表面がツルツルで香りが乗りにくいうえ、肉の味が強すぎて、ほとんど燻煙した意味がなし。
ポテトチップスチーズ味
チーズ味のチップスは間違いなしの好相性。スリットが入った形状なので煙もよく乗った。
唐揚げ
味が濃いぶん、5分燻製しただけでは物足りない感があった。時間をかければ星が増えそう〜。
サンドイッチ
パサついたパンからは、煙の味がするだけで正直まずい。オープンサンドにしたほうがまとも。
お煎餅
醤油味にうっすら燻煙が乗ったお煎餅は、クセになる美味しさ。ビールのつまみにしてもいい。
ヨーグルト
水分豊富だが結構香りは付いた。酸味が強調され燻製には不適合。甘いタイプならありかも!?
キーマカレー
いわずもがなの、鉄板の味。おそらくどんなカレーにも燻製は合う。期待を裏切らなかった。
※撮影/西山輝彦
(BE-PAL 2022年2月号より)