車中泊の夕飯で困ること
車外で調理ができない車中泊の夜、みなさんはどんな食事をしていますか?
キャンプ場でなら容易な鍋物やバーベキューやスキレット料理も、市街地の車中泊では少々難しい。私の車には一応ギャレー(キッチン)がありますが、換気や匂いや油はねなどが気になり、車内ではほとんど調理をしません。
一方でコンビニエンスストアやスーパーマーケットに行くと、温めるだけで食べられる和洋中の惣菜がよりどりみどり。しかも手づくりにひけをとらない品質です。
今回は私が愛用しているちょっと変わった商品をご紹介します。ひとり用の炊飯と惣菜の温めが同時にできるユニーク家電です。
「2段式超高速弁当箱炊飯器」(税込7980円)
「おひとりさま家電」など、独自のコンセプトがたびたび話題になるサンコー株式会社(https://www.thanko.jp)。2022年1月には新商品として、車のシガーソケットで炊飯ができる「車載用12V弁当箱炊飯器」がリリースされました。
私が愛用しているのは姉妹品ともいえる「2段式超高速弁当箱炊飯器」。こちらは100V対応で、オフィスで炊飯できると評判になったシリーズですが、私は車中泊で活用しています。バッテリー(インバーター)使用時の推奨スペックは定格出力250W以上、疑似正弦波使用可能です。
外観はまさに弁当箱。いわれなければ炊飯器と気づかないような、片手で持てるくらいのコンパクトなサイズ感です。
中は上下2段構造になっていて、電源ケーブル、計量カップが付属します。100V対応のサブバッテリーがあれば車中泊でも使用できるということになります。
電源差込口に防水キャップがついているので、使用後は本体ごと丸洗いできる優れもの。
さらに不織布の収納ポーチがついているので、すべてセットにして持ち運ぶことができます。
実際の使用感
ここからは実際の車中泊での使用場面です。下段はそのままフッ素加工の炊飯釜になっています。
最大炊飯量は1合ですが、私は0.5合でちょうどいいくらい。付属の小さな計量カップで適量を測ります。
本体に水位の目安が刻印されているので、該当するラインまで水を入れます。
このあと10分ほど水に浸してから炊くといっそう美味しくなるそうですが、面倒くさがりの私はそのまま炊くこともしばしば。
さらに水は、そのとき手元にあるペットボトルのミネラルウォーターをなんでも使っているので、「吸水なしの無洗米」「日によって違う水」「早炊き」と、炊飯における悪条件が揃っているともいえます。
結果については後述することとして、上段の「おかずトレイ」では、炊飯と同時におかずを温められます。たとえばレトルトカレー、パウチ食品、冷凍食品、パック惣菜のほか、温野菜やムニエルなどの蒸し料理も可能。
炊飯時の高温の水蒸気が「おかずトレイ」にまで回る仕組みです。トレイの容量は300gなのですが、「市販の大盛りレトルトはほとんどが300g」ということから設計された数値だそう。
ただし、とくにコーティングなどされていないアルミトレイなので、クッキングシートの使用が推奨されています。大きめに切ったシートを敷いて、レトルトパウチの中身を移します。
もし炊飯だけしたいときは「おかずトレイ」を取り外せばOK。
あとは電源スイッチを入れておよそ15分待つだけ。内容量によって時間は前後します。このあいだに私は食器を用意したり、お湯を沸かしたり。
本体のLEDランプが緑色に変わったら炊き上がりですが、さらに5分~10分ほど蒸らします。ここは家庭用の炊飯器と同じですね。
上ぶたがかなりの高温になっているのでタオルやミトンは必須。火傷に注意しながら開けると……
ご飯がホカホカに炊き上がっています。
白米の炊き上がりは炊飯器の価格や性能にかなり左右されますから、もちろんこれが「最高レベル」とはいえません。場所によって炊きむらを感じる部分もあります。
けれど、手のひらサイズの炊飯器でわずか0.5合を早炊きしていることを考えると、善戦といえるでしょう。十分に食べられるご飯です。
同じくホカホカに温まったおかずをのせて、インスタントみそ汁を加えれば、立派な一汁一菜に。
クッキングシートを使うことで惣菜の油を防げるので、食後もさっと洗えばきれいになります。自宅のように水や洗剤を自由に使えない環境では助かります。
長期旅行にお勧め
旅行中にはスンドゥブ、麻婆豆腐、ハンバーグ、生姜焼きなど、いろいろなパウチ食品を温めて食べました。
これがもし、ずっと楽しみにしていた週末の車中泊キャンプならアウトドア料理も張り切りますが、長期旅になると夕食の準備は毎日のこと。
ついつい面倒になって「パンをかじるだけ」といった不摂生に陥りがちなので、簡単な手順で温かいものが食べられるのは本当に嬉しいです。
蒸気で温めるのでサクサクに仕上げたい食材には不向きですが、「道の駅」などで買った惣菜をあとから食べるときにも便利ですよ。
現在のところ12V対応は「炊飯のみ」バージョンのようですが、2段式も対応したら車中泊アイテムとしてヒットするのでは……と密かに思っています。