山にカメラを持っていこう
登山を始めると、下界からは決して拝めない景色に、心を打たれる瞬間があります。
登山者の中には、山岳風景を写真に収めることが趣味だという方も多いです。写真を撮るためだけに山に登っている人もたくさんいます。
登山を始めた方の中でも、「SNSで見た、あの素晴らしい山の写真を撮りたい!でも、一眼レフはレンズが多くて、山に持っていくのが大変……。」と思っている方も多いのではないでしょうか?
そんな、悩める登山&カメラ初心者の方に、登山でおすすめのレンズの選び方、そしてそれぞれのレンズではどのような写真が撮影できるのか、ご紹介いたします!
どんなレンズを持っていけばいい?
毎年、多くのメーカーが様々な機能が備わったカメラを発売しています。その分、どれを購入すべきか悩む登山者も多いようです。
筆者は6年前に初めて一眼レフを購入しましたが、本体の軽さ、予算、デザインの好みだけで選びました。
とにかく山に持っていきたくなるカメラを!と、勢いで選んだ初心者向けの一眼レフでしたが、6年経った今でも愛用しています。
操作や各機能は、使えば使うほど勝手に体が覚えていきます。
そのため、まずはデザインの好みだけで選んでも良いので、登山に持参したくなるカメラを購入することをおすすめします。
カメラ初心者の方が、山で思い通りの写真を撮るのに重要なのは、カメラ本体よりも「レンズ」です。レンズが違うだけで、目の前の景色の写り方が180度変わります。
今回は、「広角レンズ」と「望遠レンズ」を比較していきたいと思います。
それぞれの特徴、被写体の写り方、おすすめの撮り方をご紹介します。
「風景」を撮りたいなら広角レンズ
広角レンズは、人間の視野よりも広い範囲を撮影することができるため、非常に雄大な写真に仕上がります。
広角レンズの最大の特徴は、「近くのものは大きく、遠くのものは小さく写る」ということです。
そのため、広い景色を撮影したいときはもちろん、遠近感を出して、目の前の被写体をダイナミックに撮影したいときにも、効果絶大です。
1.雄大さを表現
広い景色も余すことなく撮影できるため、雄大な風景写真を撮ることができます。
山頂のパノラマ風景
登山の醍醐味のひとつは、山頂からのパノラマ風景。どこもかしこも撮影したくなりますよね。
広角レンズを使えば、遠くまで続く広い景色も、一枚の写真に収めることができます。
山だけでなく、雄大な青空も余すことなく写すことができるので、夏の入道雲や、空にかかる綺麗な虹も写してみてください。
逃したくない水鏡の瞬間
多くの登山道やハイキングコースには、湖や池塘(ちとう)へ抜けるルートが存在します。
風のない快晴の日は、山々が水面に写り鏡のようになることも。
広角レンズを使うことで、横に連なる山脈だけでなく、水面に映る広い空や雲まで写すことができます。
2.目の前のものをダイナミックに写す
広い風景だけでなく、目の前のものに奥行きを持たせて、ダイナミックに撮影することもできます。
幻想的な森林
幻想的な森林歩きを楽しむときは、木々の高さを表現するのに広角レンズが使えます。
苔がついた根っこや、地面に這う植物の近くにカメラを構え、さらに上向きにカメラを向けることで、より遠近感を出すことができます。
3.遠くの山は小さく映る
広角レンズを使うときに注意したいことは、「遠くの山は小さく写る」ということです。
山頂から、別の山脈や山が見えたときは、その日一番と言っていいほど興奮する瞬間です。
よく、「あれが富士山だよ!」「あそこに槍ヶ岳が見えるよ!」なんて会話が聞こえてきます。
しかし、実際カメラで撮ってみると、目で見ている景色よりも物足りない印象になってしまいます。
そんなときにおすすめなのが、望遠レンズです。
「山」を撮りたいなら望遠レンズ
望遠レンズは、その名の通り、遠くの被写体に的を絞って撮影することができます。
望遠レンズの最大の特徴は、「ズームするほど、遠くのものが大きく写る」ということです。
遠い場所にいる野鳥や山を撮影するのはもちろん、近くにいる人と遠くにある山を対比させて、山の壮大感を出すことができます。
1.撮りたい被写体をばっちりゲット
はるか遠くの被写体まで写すことができるため、臨場感のある写真を撮ることができます。
遠くに止まっている野鳥
遠くに止まっている野鳥や小動物を撮るなら、望遠レンズが欠かせません。
野鳥は近づくと逃げてしまうことが多いため、望遠レンズで遠くから撮影します。
筆者は、遠くの野鳥を見たいときに、望遠レンズを双眼鏡代わりに使用しています。
山頂を照らす夕陽
山のある部分だけに夕陽が差すと、幻想的な風景に心を打たれます。
しかし、広角レンズで撮ると非常に小さく映ってしまい、何を撮影した写真かわからない。
このように、明確に捉えたい被写体があるときは、望遠レンズで的を絞って撮影することで、その被写体を強調することができます。
2.被写体と山をかっこよく写す
望遠レンズには、「圧縮効果」と呼ばれる特徴があります。
圧縮効果とは、目の前の被写体よりも遠くにあるものが、圧縮されて大きく写るということです。
さらに、ズームすればするほど、近くの被写体に比べて背景が大きく写ります。
山と登山者
このような写真を撮るときのポイントは、近くの登山者から離れて撮影するということです。
登山者の近くでカメラを構えてしまうと、ズームしたときに画面がその人で埋まってしまいます。
被写体からできるだけ距離を保ちつつ、ズームの倍率を変更することで、山と人の対比を調整しましょう。
登山仲間の写真を撮ってあげるときは、自分と相手の安全が確保された場所で、撮影を行ってくださいね。
3.ピントの位置を調整しよう
望遠レンズで、距離のある二つの被写体を同時に写す際、ピントを合わせていない側はボケてしまいます。
山を強調したいのか、手前の被写体を強調したいのか、いろいろなパターンで撮影してみると、自分の撮りたいイメージが湧いてくるはずですよ。
スマートフォンのカメラでもOK!
最近のスマートフォンは、一台で広角から望遠まで撮影できるものも多いです。
スマートフォンで撮るときも、ここでご紹介した方法と同じように撮影することで、いつもの写真が全く違うものになります。
色々なレンズや撮り方を試してみて、登山の思い出を素敵な写真に残してくださいね!