……にも関わらず料理は苦手だったそうだ。
苦手を克服するためにとった手段が、お気に入りの料理研究家の本(栗原はるみ『ごちそうさまが、ききたくて。』)を丸暗記することだった。
丸暗記すれば手を止めることなく調理が出来る、ものごとがスムーズに進むようになると苦手が楽しいになるというわけ。
調味料の分量を丸暗記することで、材料を入れ替えれば料理の幅がどーんと広がることも知る。
●丸暗記は野外料理で特に力を発揮する
料理本やスマホ見ながらの料理は自宅でも面倒くさい。いわんやキッチンの使い勝手が悪く(いや、うちのキャンプキッチンは家よりも使いやすい!という方もいるでしょうが、そこはとりあえず……ネ)、暗くなってから調理することも多い野外においておや、である。
不便な野外キッチンで料理するには、身についてる「丸暗記」レシピが多いに越したことはない。
●味付けのポイントは「1:1」
小竹さんは、まずサラダをマスターすることをすすめている。
確かにサラダは火を使わないし、見た目もキレイ、鶏肉やツナ缶を使えばメイン料理になるから納得だ。
基本の分量は「1:1」
オイル1:お酢1+なにか塩分または糖分
コールスローなら+牛乳1またはヨーグルトでもいい。
和食の味付けも基本は、醤油1:お酒1:味醂1
出汁は素材からでるから基本的に必要ない、というのも野外料理にむいている方針だ。
魚や肉はもとより、野菜だってキャベツやトウモロコシの芯、アスパラガスの太いところや皮からは香りの高い出汁がとれる。タマネギ、ニンジン、ジャガイモの野菜ストックでカレーを作ると絶品だし、大豆なんか動物性の素材からとったのかと見紛うばかりのしっかりとしたコクのある出汁が取れる。
●調味料はできれば「ちょっといいもの」を使おう
調味料は「ちょといいものをつかう」ことを小竹さんはすすめている。
これは本当にその通り、折角いい材料を使ってもアルコールや糖分まみれの醤油、なんだかわからないものが混ざったお酢では台無しになってしまう。
いいもの、さらにできれば「地物」を使って欲しい。キャンプに行った現地で素材を揃えるついでに、近隣で調味料を作っているところがないか調べてみるといい。
味噌は必ずといっていいいほど地物が手に入るし、醤油も醸造所がない土地はないといってもいいくらい全国には小さな規模の作り手がいる。酒蔵があれば酒と一緒に酒粕、塩麹、味醂が手に入るかもしれない。
山の中でだって、塩泉から塩造りをしているところがあるくらいだから、油もお酢も地元産を探してみる価値はある。
お酢は京都の千鳥酢。娘が京都に行くたびに買ってきてくれる。
同じ京都の富士酢もおすすめ。写真のお酢は美濃の有機純リンゴ酢。
醤油は近隣で買える「キッコーゴー」「弓削多」「金笛」などを使っている。日帰り旅行やサイクリングのついでに立ち寄って買っていたが、この頃はサイクリンやドライブの目的が醤油購入になっていることも多い。工場見学や醤油造りを体験できるところもあるから小さな子ども連れにもおすすめ。
オイルもお酢もいろんな種類を揃えておくと楽しい、ただ、早め使わないと酸化するから毎日使わないのであれば小瓶がいいと思う。
「味付け」はもとより「火加減」「煮物と焼き物の味付けの違い」などなど、料理のポイントが「丸暗記」しやすくまとめられている。丸暗記ポイントを活かしたレシピ(生姜焼き、肉じゃが、親子丼、カレイの煮付け……もちろん洋食も……)が紹介されているので、実践すれば、まず、間違いなく頭に残るだろう。
小竹さんの体験「先頭から最後まで何回か繰り返し作り、丸暗記をしました。興味のある方は、自分の好きな料理家の本でこれをすると、めちゃくちゃ料理上手になれると思います」を実践するなら、「この本」でしょう。
ちょっとの丸暗記で外食レベルのごはんになる
小竹貴子
日経BP 2020年5月28日初版第1刷発行
https://www.nikkeibp.co.jp/atclpubmkt/book/20/P88670/
醤油1、ゴマ油1、米酢1
モヤシはレンチンじゃなくて、一緒に食べるパスタと一緒にサッと茹でている。塩蔵ワカメを水で洗って、ニンジンは千切りにして生のままいただく。
おいしかったけど、レンチンじゃなくて茹でたのだから、もっとモヤシの水を切るべきでした。
※こちらの記事は過去の読者投稿によるものです。
yuzuさん
野外活動好きのイラストレーターです