唱歌「たき火」である。死語という言葉があるが、この歌は、もはや「死歌」になっているのではないだろうか。この写真をみてこの歌が思い浮かぶ日本人は、今どれくらいいるのだろう。
「006 マッチは熱くない!?子どもができるようになるマッチの教え方」では、「焚き火教育」の必要性について述べた。今回は、焚き火教育第2弾である。
地域の防災訓練に参加した。「スモークハウス」体験コーナーがあった。「スモークハウス」では、火災の煙のこわさを疑似体験できる。6畳くらいの密閉された箱型のテントに煙が充満している。煙といっても無害である。バニラの香りまでする。その中を姿勢を低くして出口に向かって進む。煙のために視界が悪く実際の火災ならパニックになるだろうと想像できる。
ここまで読んで、最後の一文に違和感を持たない方は、次からの文章を読む価値がある。
実際の煙では、恐らく「視界」どころの話ではないはずなのだ。煙が目に染みる。涙が出て、目が開けられない。見る以前の問題なのである。焚き火経験のない子どもは、これが理解できない。これは、子どもに教えておく必要があると思う。ただ、言葉で伝えてもすぐに忘れるだろう。記憶に残る教え方があるのだ。子どもと焚き火をするときの一コマである。
【ノウハウ】
1学校で避難訓練をしますね。参加したことがある人?(小学生以上なら手が挙がるはずだ。)
2火事になると煙が出ます。煙の中を逃げなければなりません。困ることは何だと思いますか?(「吸い込むと苦しくなる。」「前が見えなくなる。」など出るだろう。)
3実は他にも困ることがあるのです。では、これから焚き火をしますので、煙の中に入ってみてください。(実際に体験させる。)
4体験してみて困ることに気づいた人?(「煙が目に染みて目が開けられない。」が出るはずだ。)
5実際の火事の煙は、これよりもっと黒くて臭いのです。前が見えないどころか煙が目に染みて目が開けられなくなります。煙を吸い込んで咳が出て息が苦しくなります。逃げ遅れて命を失ってしまうこともあるのです。
6子どもだけで火遊びをしては絶対にいけません(間をおいて)が、今日は、大人と一緒ですから思う存分火遊びをしてください。
考えさせて、体験させて、気づかせることが大切である。
以前宿泊したホテルで、火事の時に頭からかぶる袋を見つけた。「袋を頭からかぶってはいけません」と子どもの頃から教えられているせいか固定観念に縛られていた。短時間であれば問題ないのだ。煙をシャットアウトできるので、すばやい避難が可能になると納得した。
子ども達の命を守るために、焚き火をするときに、ぜひ教えてほしいと思う。そして、焚き火を楽しみ、唱歌「たき火」の風景が分かる子どもが増えてほしいと願う。
※こちらの記事は過去の読者投稿によるものです。
一弛庵さん