食べ物付きの情報誌『食べる通信』は、生産者の人柄や思いにフォーカスした情報誌と食べ物が一緒に自宅に届くというもの。あくまでも情報誌が主で、食べ物が“付いてくる”というのが特徴だ。
「これは食の宅配サービスではなく、あくまでも“コミュニティサービス”。たとえば、昨日食べた3食のごはんのうち、食材の生産者の顔がひとりでも思い浮かびますか? なかなか難しいと思います。ぼくは食べる人と作る人を結ぶことで一次産業をもっと身近なものにしたかったんです」と、『日本食べる通信リーグ』代表理事の高橋博之さんは話す。
『食べる通信』は、会員と生産者が産地ツアーなどで直接顔を合わせることで友人になり、直に連絡を取り合うような距離感の近い関係性を育んでいこうとするもの。また、故郷を持たない都市住民にとっては、第二の故郷を見つけるきっかけにもなっている。このように、繋がりを生むことを目的にしているからこそ、誌面には人物そのものに魅力のある生産者が紹介されている。それは、豚にクラシック音楽や落語を聞かせ、まるで子育てするように育てる養豚場の女性生産者など、実にさまざまだ。
会員を増やすことだけが目的ではないため、『食べる通信』単体で事業として運営していくのは難しい面があるにもかかわらず、全国から運営希望者が続出し、今では36通信にまで拡大している。
■食べる通信 http://taberu.me/
◎構成/磯木淳寛 撮影/木村文吾