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野鳥公園には鳥に詳しいレンジャーがいる
カモの姿を探して、東京港野鳥公園を訪ねた。約36haの広大な園内には淡水、汽水の水辺があり、多くのカモが集まる。案内してくれたのは、レンジャーの嶋村早樹さんだ。
カモ観察の基本を教えてくれた先生
バードウォッチング初心者にカモがおすすめな理由
嶋村さん: カモなどの水鳥は体も大きく見つけやすいのでバードウォッチング初心者にオススメです。小鳥のように動き回ることもないのでじっくり見られますよ。あ、あそこに目の周りが緑色のコガモの雄が何羽かいますね。
BE-PAL取材班: 見えました! すごく色が鮮やかなんですね。きれいだなぁ~。あ、あれは何をしてるんですか?
嶋村さん:逆立ちして水中の草を食べているんです。
嶋村さん:隣の一羽は、眠ってるのかな。カモは夜行性なので、昼間はまどろんでいる感じなんです。日没には移動して、活発に採食をしていると思います。
BE-PAL取材班:へぇ、夜行性! なんだか意外。こっちにいるのは、つがいですよね。仲睦まじいんだなぁ。
嶋村さん:そうですね。でもパートナーは毎年替えるんですよ。
BE-PAL取材班:え! 1年限りの関係? おしどり夫婦っていうけれど。
嶋村さん:冬鳥のカモたちは秋に飛来して越冬するんですが、その間にパートナーを見つけるんです。雄は「求愛ディスプレー」といって、胸を張ったり、頭を反ったり、色々な動きを見せて雌の気を引こうとするんですよ。
BE-PAL取材班:婚活シーズンというわけですか……。ボクも頑張らなくっちゃ!
カモ散歩の持ち物
手ぶらでも良いが、双眼鏡(8〜10倍のもの)があれば間近に見られる。
小さい図鑑もあると◎。防寒対策は万全に。
鳥見のときに心得るべき3つのマナー
公園の池、川、沿岸、湾など、さまざまな水辺に飛来するカモたち。つい、もっと近くで見たい!と思ってしまいがちだが、バードウォッチングの主役は、見る側ではなく、あくまでも鳥。鳥たちの生活をじゃましないように、基本的なマナーをおさえておこう。
餌を与えるべからず
人が食べ物を与えてしまうと、野鳥が自力で採食しなくなったり、鳥が人との距離を掴めなくなってしまうのだ。
適度な距離を保つべし
野鳥が保菌する鳥インフルエンザは基本的に人に感染することはないが、糞などに接触し媒介してしまう危険性があるので注意は必要。
鳥を驚かせないこと
鳥たちの自然な営みを観察するのが最大の面白さ。「ちょっとのぞかせてね」。そんな気持ちで静かに遠くから観察しよう。
知っておきたい「バードウォッチングの基本用語」
バードウォッチングを趣味にしている人がよく使う用語を紹介。基本的な言葉を覚えておくと、鳥の詳細を検索したり、図鑑を活用したりする際にも便利だ。
冬鳥
秋から冬にかけて日本に飛来し、越冬する鳥のこと。春ごろになると日本よりも北方に渡って繁殖する。
夏鳥
春から夏にかけて日本に飛来して繁殖する鳥を「夏鳥」と呼ぶ。秋ごろに日本よりも南方へ渡って越冬する。
留鳥
日本国内の同じ場所に周年生息して、繁殖する鳥のこと。季節が変わっても移動はしない。
漂鳥
日本国内で季節移動をする鳥のこと。山間部など標高の高い所などで繁殖し、冬はより暖かい場所へ移動する。
旅鳥
春秋の移動の途中に、日本に立ち寄る鳥のこと。日本よりも北方で繁殖し、南方に渡って越冬する。
カモの一年の過ごし方を知ろう
カモの多くは渡り鳥で、秋に日本にやって来て、春にロシアなどに帰っていく。毎年、カモたちの生活をウォッチングすることで、季節感が身につき、自然を観察することがますます楽しくなってくるはず!
9月~2月:来日、越冬
日本よりも寒いロシアや中国などの北国から、数千㎞を飛び続けて来日。越冬中はパートナーを探して、めでたくカップル成立へ!
3月~4月:極東ロシアなどへ帰る
日本にサクラが咲き始めるころがカモたちの旅立ちのとき。種類によっては北海道などで繁殖する個体もいるが、北方の故郷へ帰る。
4月~8月:産卵と抱卵、子育て
交尾して無事に卵を身ごもる時期。抱卵のときには、雄は雌から離れて母子家庭に! 子育ては雌だけががんばるのだ。
※撮影/中村雅和 地図製作/もりそん 協力/東京港野鳥公園、日本野鳥の会
(BE-PAL 2022年3月号より)
開園時間:2~10月は9~17時、11~1月は9~16時半
休日:毎週月曜
料金:大人¥300、65歳以上・都内在住在学以外の中学生¥150、都内在住在学中学生と小学生以下は無料。
※臨時休園している場合があります。事前にご確認ください。