スイスでデザインされている「ラ・スポルティバ/アルパインテック」
スイスで人気の山岳観光地ツェルマット。マッターホルンの麓にはスキー、登山、マウンテンバイクなど、様々なアクティビティを楽しみに、年間を通して世界中から観光客が訪れる。今回は、この街にある『Bayard(バイヤード)』というアウトドアショップを訪ねて見つけた、希少なスイスデザインの「ラ・スポルティバ/アルパインテック」を紹介する。
「ラ・スポルティバ」は、登山靴やクライミング、トレイルランニングのシューズで知られる北イタリアのドロミテ山麓で創業したメーカーだ。
日本ではあまり知られていないかもしれないが、ヨーロッパではアパレルも豊富に展開していて、本国イタリアでデザインされた製品のほかに、2015年から展開しているスイスデザインの製品がある。
ショップスタッフのアンドレの話では、現在、この店で取り扱うアルパインテック製品の95%がスイスデザインで、残りの5%がイタリアデザインだそう。
こだわりの機能性素材を厳選
上の写真でアンドレが手にしている「Alpine Guide GTX Jacket」は、バックパックやハーネスが緩衝する肩・袖・ヒップの青い部分は「GORE-TEX Pro Shell」、胴体や脇などの黄色い部分には、動きやすいよう「GORE-TEX Active Shell」が使われている。
脇にはベンチレーションが付いており、熱を逃がすことが可能。ポケットはバックパックやハーネスが邪魔にならない位置に配置。
そのほか、胸には伸縮性のあるメッシュ素材のポケットや、ヘルメットにも対応したフードなど、高所登山やスキーにも適した工夫がみられる。
スイスでデザインする理由とは?
スイスデザインのアルパインテックは、国際山岳ガイドのリチ・ボルトを中心に、ほかのガイドやスイス山岳会「SAC」とともに、以下の4つのテーマを軸に開発されている。
1.アルパインガイド
国際山岳ガイドのために特別に開発された。山で毎日働く人のために必要な機能が備わっている。
2.クラシック
アルプスでの高所登山(4,000m)や、岩と氷河エリアにも対応するなど、すべての登山家に対応。
3.アンビション(野心&意欲)
アルプスの頂上へ素早く快適にアプローチするための機能が備わっている。おもに3,000~4,000mでの使用を推奨。
4.オーセンティック(本物)
氷河の横断や、山小屋から山小屋への快適な移動を素早く行ないたいバックパッカーに対応。
カタログを拝見
アンドレがカタログを見せてくれた。現在、ラ・スポルティバ・オフィシャルの国際山岳ガイドは10名。うち2名が女性だ。スイス国内で活動する女性の国際山岳ガイドが約30名と聞くので貴重な存在だ。
スイスにある4,000m峰の名前にちなんだウェアも展開している。「マッターホルンがまだないのでプッシュしている」とアンドレが言う。
メンズのウェア
写真上は、スキーや高所登山におすすめのゴアテックスを使用したウェアのコーディネート例。現地価格は下記の通り。
左は、「Lyskamm GTX Jacket」約87,500円(700スイスフラン)、「Weisshorn GTX Pro Pants」約75,000円(600スイスフラン)。
右は、「Cornier GTX Jacket」約72,500円(580スイスフラン)、「Weisshorn GTX Pro Pants」約75,000円(600スイスフラン)。
店内には、カラフルなウェアがたくさん並んでいて見ているだけでワクワクする。
メンズラインには、シックな黒を使ったウェアも豊富にあり、インナーからアウターまで揃えられる。このフロアはウェア専門で、登山靴やスキーブーツ、帽子などは別フロアにある。
今年も、あっという間にもう3月。スイスでも本格的な春の到来を感じられる季節になってきたので、ミッドレイヤーやハイキングパンツなど薄いレイヤリングも並んでいた。
上の写真のコーディネートに使われているのはイタリアデザインの製品。普段着としても快適そう。
価格は、「Training Day Hoody」約15,000円(120スイスフラン)、「Bort Pant」約15,000円(120スイスフラン)。
ウィメンズのウェア
上の写真の参考価格は、以下の通り。
左は、登山をイメージしたスタイルで、「Albigna Jacket W」約15,000円(220スイスフラン )、「Sesvenna Pant W」約15,000円(220スイスフラン)。
右は、スキーや高所登山向けのスタイル。「Cornier GTX Pro Jacket W」約72,500円(580スイスフラン)、「Weisshorn GTX Pant」約75,000円(600スイスフラン)。
ウィメンズのコーナーでは、白と淡いブルーのコーディネートが素敵で印象的だった。
赤やオレンジなどの暖色系は寒い山の中で目で見たときに温かく感じ、逆に青などの寒色系は冷たく感じる。寒暖差の大きな山に行く際のコーディネートは、色が与える感覚も意識したい。
筆者イチオシのウェアとは?
店内を見て歩き、機能的な写真上のフリースが欲しくなった。これは、ワッフル生地のミッドレイヤーのパーカーで、素材には「Pontetorto Tech Stretch」を使い、伸縮性もある。さらに摩擦にも強く、裏地は毛足が立っているので、熱を逃しにくい。着心地も最高。バックパックやハーネスが緩衝しない位置にポケットがある点もいい。
「Polygiene」による抗菌処理も施されているので、清潔で快適さを長く保つことができる。そして、脇、脇腹、手首にはストレッチ素材を使うことで、動きやすく作られている。
こちらも、バックパックが緩衝する肩の部分には耐久性のある生地が使われている。
胸ポケットには、伸縮性のあるスパンデックス素材を使用。小さめの行動食やチケットなどを入れるのに便利そうだ。
スイスの過酷な山岳スキーレースでも選ばれる機能性
『バイヤード』があるツェルマット周辺では、「パトロール・ド・グラシエ」という1943年から続く山岳スキーの大会が開催されている。マッターホルンの麓のツェルマットからヴェルビエまで全長57.5km、高低差4,386mを3人一組でザイルを組み真夜中に進んでいく。
世界でも有数の過酷な山岳レースと称され、スイス軍隊によって開催されている。主に世界各国の山岳軍隊が参加し競うレースだが、一般人も参加できる。2年に一度開催されていて、2022年は4月25日~5月1日を予定。
「機能的なラ・スポルティバのウェアは、このレース参加者にも評判で、とても需要がある」とアンドレは言う。いつかスイスへ旅行する際には、ぜひスイスでしか手にとることができない”スイスデザイン”のアルパインテックをチェックしてくださいね!
ショップ&ブランド情報
Bayard Zermatt AG
所在地:Bahnhofpl. 2, 3920 Zermatt, Switzerland
https://www.bayardsport.ch/en
ラ・スポルティバ・スイス・アルパインテック
https://www.acesport.ch/static/marken/alpinetech/
※「アルパインテック」製品の日本国内での展開は未定