キャンプシーンで欠かせない相棒といえば、やはりナイフだろう。数あるアウトドア用ナイフの中で、定番ブランドの一つがモーラナイフ。使いやすいデザインと優れた耐久性を持ちながら、手ごろな価格のモーラナイフは非常に魅力的。そんなモーラのナイフブレードが、ハンドル無しの状態で手に入るとの情報を得た。
刃だけの状態で購入できるモーラのナイフブレード
ナイフのDIYは愛好家も多く、金属板をヤスリで削り出したりは当たり前で、自家製の炉で鍛造したりする猛者までいる奥深い世界だが、最難関のブレードが通販で手に入るなら、より気軽に個性豊かなオリジナルナイフに挑戦できる。
試しに「モーラ ナイフ 刃だけ」でインターネット検索してみれば、多くの情報とともに、販売サイトも複数出てくる。価格も1本が1,500円〜2,000円程度と非常にリーズナブルだったので、早速購入手続きをしてみた。
刃だけの状態で購入できるモーラのナイフブレードは複数種類あるが、その中から私が選んだのは、最もスタンダードな「Knife blade No1」。細身でアウトドア調理にも使いやすいデザインが気に入った。
基本編 木製ナイフハンドルを作ろう
ではここから早速、オリジナルのハンドルを作っていきたいと思う。
材料
- モーラナイフブレード 1本
- 好みの木の板(厚さ10mm程度) 1枚
- 径5mmの木の丸棒 1本
その他工具など
- 2液混合型エポキシ接着剤
- 彫刻刀セット
- ノコギリ
- クラフトナイフ
- ドリル(木工用 φ5mm)
- 木工用ヤスリ(大・小)
- サンドペーパー
- クランプ
- エゴマ油
作り方
1 木の板を切り出す
板は好みの樹種を選ぼう。なるべく硬質な木を選ぶとハンドルとして長持ちするが、堅い木は加工が難しい。今回は春に向け桜の板を選んでみた。この板を30mm×120mmの大きさで、2枚切り出す。
2 板にタングがはまる溝の形を写す
タングとはハンドル材の内側に入る金属部分のこと。この形状を鉛筆を使い、板に写しとる。この際、板の中心線を描き、その線に沿ってブレードを置くと、2枚の板でズレがおきない。左右でブレードが裏表になるように注意!
3 タングを固定する目釘の穴を開ける
モーラブレードのタングには、写真のような切り欠きがある。ここにブレードの抜けを防ぐための目釘を引っ掛けるのだ。
直径5mmの木工用ドリルを使い、目釘が入る穴を開ける。この穴の位置は重要なので、ずれないように気をつけてあけよう。
4 板に溝を掘る
いよいよ板に溝を掘っていく。加工に使う道具には小学校で使った彫刻刀をチョイス。
ブレードの厚さは2mmなので、それぞれの板に掘る溝の深さは1mm。深くなりすぎたり、溝の中に高低差があると、ブレード をはめたときにガタが出る。一気に掘らず、試しにはめてみながら少しずつ掘るように。
5 ハンドルを接着する
ハンドルの固定には接着剤を使う。金属と材木が接着できるものなら何でも良いが、ナイフDIY愛好家が好んで使うのは2液混合型エポキシ接着剤。
2つの液を混ぜ合わせ、ヘラでハンドルにたっぷりと塗り付けよう。
目釘に使う木の丸棒を適当な長さに切り、穴に差し込む。
次にブレードのタングを溝にはめる。
上からもう片方のハンドルをかぶせ、ピッタリと合わせる。ここで溝掘りの正確さが問われるのだ!!
エポキシ接着剤の硬化時間は約10時間。クランプでしっかりと固定し、一晩以上は安静に置くこと。
ワンポイント
クランプでねじ込むと、接着剤が染み出してくる。ハンドル周りは後で削るので問題ないが、ブレードに付着したものは硬化する前に拭き取るように。アルコールを使うと、キレイに落ちる。
6 ハンドルの整形を始めよう
一晩待って、しっかりと接着がされた。まずはノコギリではみ出た目釘の丸棒を切断する。
次にブレードへの傷つき防止と作業の安全のために、ブレードに厚紙を貼り付ける。
ここからはウッドクラフト。ナイフとヤスリを使い、好みのデザインにハンドルを整形していく。少し削るたびに握り心地を確かめ、全体のバランスを見ながら加工を進めよう。
7 最後の仕上げ
納得のいくまでハンドル加工ができたら、サンドペーパーを使い磨きあげる。120番くらいから始め、240番、400番と進めるとよい。どこまで細かく磨くかは自分次第だ!!
ペーパーがけが終わったら、オイルフィニッシュで仕上げる。オススメはエゴマ油。少量を時間をかけ磨くように塗り込むと良い。
8 完成!!
ついに完成だ。使い込むことで、また違った顔を見せてくれるのも木製ハンドルの魅力。フィールドに持ち出し、思う存分にオリジナルナイフを楽しんでほしい!
応用編 ディアホーンハンドルにも挑戦!
実は先日、近所の猟師さんから鹿肉と一緒に、立派な角をもらった。せっかくなので、これもナイフハンドルに加工してみよう!!
材料
- モーラナイフブレード 1本
- 鹿の角 1本
- 径5mmの木の丸棒 1本
その他工具など
- 2液混合型エポキシ接着剤
- 金属用ノコギリ
- ドリル(鉄工用 φ5mm)
- 鉄工用ヤスリ(大・小)
- 電動リューター
- 電動ディスクグラインダ
- クランプ
作り方
1 角の切断
鹿の角は硬いので、金ノコを使って切断した。中心線をずらさぬよう、縦に半分に切るのが難しい。
2 タングを写して目釘の穴あけ
木製ハンドルと同じく、タングの形を写しとり、目釘の穴をあける。今回はハンドル表面に丸棒が見えると変なので、ドリルが貫通しないようテープで目印をつけ作業した。
3 いよいよ溝掘り
いろいろ試したのだが、やはり角は硬い。そこで電動リューターを使うことにした。リューターは先端ビットが高速回転し、素材を切削する工具。深さを1mmに合わせ、慎重に削る。
4 ハンドルの接着
エポキシ接着剤を使い、角のハンドルに目釘そしてタングを接着し、クランプで固定し一晩置く。
5 ハンドルの整形
しっかりと接着されたことを確認し、ヤスリで角を整形するが、硬い……。痺れを切らし、電動ディスクグラインダを取り出して研磨。電動工具はやはり速い。が、削り過ぎには注意が必要だ。
6 完成
ディアホーンハンドルのモーラナイフが完成。木製とは違った硬質な手触りで、高級感たっぷりだ。見た目もワイルドで満足度の非常に高い逸品ができた。
皆さんもこの記事を参考に、自分だけのオリジナルナイフに挑戦してみてほしい!!
阪口克