自然の中で過ごすのと同じように、家でも気持ちよく。そんな思いを抱く人が多いはず。お気に入りのアイテムを収納整理して、DIYを駆使して自宅アウトドアの可能性を追求する達人に、お話をうかがった。
※2022年の冬に取材した記事です。
教えてくれたのはこの人! 牛田浩一さん
アウトドアコーディネーター。 国内外のアウトドアブランドのPRから、マーケティングやイベントも手がける。リペア術からアウトドア料理までテリトリーは幅広く、自称"アウトドアのなんでも屋"。「理想を求めて DIYに勤しもう」
壁に穴を開けない(ディスプレイ感覚)のNICE収納術
「今はアウトドアが流行っているから、いろんな物が開発されてるけど、昔は全然、欲しいものがなかったんだよね」
と話すのは、本誌でもたびたびギアのリペア術を披露してくれている牛田さん。
「これ、20年以上も前に作ったんだけどさ……」
と見せてくれたのは、シェラカップで作ったソロストーブ。
「MSRの風防を脚にして、この中にマツボックリや小枝を2、3個入れて燃やす。結構、効率的に燃やせるもんだよ」
DIYは、不便を感じているから、それをどうにかしようと思ってやるものだという。
「自分にとって100%のモノなんてないからさ。それに近づけるには自分でやるしかない」
今日訪ねたのは、牛田さんが拠点にしているモノ置き小屋!?
壁一面を占めるラックには、愛用ギアが所狭しと並んでいる。
「賃貸だから既製の棚を置くしかなくてさ。テントを収納できるように奥行きがあるサイズにしたから、夜になると手元が暗くなって小物が探しにくい。だから、LEDライトを取り付けようと思って」
実に楽しそうに作業を進める。DIYは、何もないところに作り上げていくのが、この上なく楽しいのだとか。
「この壁もなんにもなかったから、何か活用したいなって思って。2×4材を立てて壁と固定して、1×6材を組み合わせて、有孔ボードを打ち付けたら、うまくでき上がったんだ」
お気に入りのランタンや年季の入ったストーブをディスプレイ感覚で掛けていく。インテリアとしても絵になるし、忘れ物も防げるというワケ。
「あっ、このクーラーボックスソファもいいでしょ。船釣りするときって移動中はクーラーボックスに座るんだけど、ケツが痛くてさ。いらなくなったマットを切って貼ったら、それだけで快適。家でも使えるし」
今は、初めての雪板作りに挑戦中。今年はインパクトドライバーもプロ仕様のものに新調したし、何を作っていこうか。
「まだまだシーズン中だからさ、いい雪が降ったらDIYは後回し。そのぐらい余裕があったほうが楽しめるってものでしょ」
1 ボックスを多用した収納棚にLED照明をプラス
スチールと板を組み合わせた業務用の棚。小物類はボックスを使って分別収納。流行りのミリタリー調のカラーで揃えれば、見た目もスッキリ。
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夜でも棚の中を見やすくするため、棚の手前の天井部分にラインタイプのLEDを取り付けた。
2 2×4材と有孔ボードで見せる収納棚を手作り
2×4材をアジャスターで梁に固定し、有孔ボードをビスで留めた。これなら壁に傷をつけないので、賃貸住宅でも壁面収納が楽しめる。専用のフックを活用。
3 巨大クーラーボックスは+マットでソファに変身
物置として活用している大容量クーラー。使わなくなったマットをカットし、上部に野外用両面テープで貼ればソファに変身。
4 シェラカップと風防で作るソロストーブ
ステンレスのシェラカップに旋盤で穴を空けてストーブに。片付けも楽で今でも重宝している。
DIY入門の心得
●賃貸住宅のDIYは傷をつけない
●自分が欲しくて、ないモノを作る
●既製品をアレンジするところから
※構成/大石裕美 撮影/山本 智
(BE-PAL 2022年3月号より)