究極の健康食!自然のリズムを感じながら 発酵食を育ててみませんか?
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    2023.08.29

    究極の健康食!自然のリズムを感じながら 発酵食を育ててみませんか?

    食材は発酵させることで、保存性が高まるばかりか旨みや栄養素も増す。漬物だけでも全国に3000種類以上。そんな日本に根付く発酵文化の奥深さをのぞいてみましょう。

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    自分の食べるものは自分で作りたい、そんな想いから辿り着いたのが日本の伝統食である発酵。持続的な菌や自然とともにある山田奈美さんの暮らしを垣間見た。

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    「はじめて作った発酵食はぬか漬け。今から20年ほど前です。区民農園で野菜を作ったら食べきれないほど収穫できて。祖母や母が漬けていたぬか漬けを思い出して、見よう見真似でやってみました」

    最初のぬか漬けは失敗。忙しくてかき混ぜる時間がなく放置していたらダメになり、半年後ゴミ箱へ。そのときの切なさが忘れられず、新たなぬか床と真摯に向き合うようになった。

    「最初はホウロウのタッパー型に漬けてたんですけど、混ぜるたびぬかがこぼれるから樽型に換え、ぬかも呼吸してると知り、次は杉樽を使うようになりました」

    夏、家族旅行に出かけるときは、キャンピングカーで一緒に旅するほどのお宝ぬか床に。そのあと、梅干し作りに挑戦し、味噌作り、醤油作りと発酵食のレパートリーが増えていった。

    発酵食の楽しみは旬を見極めること

    「発酵って、プクプクしている様子を見るのが楽しいんですよね。それを見ると“やったー”って。それと一緒に酸味が出て味が変化していくから、ちょうどいいタイミング、発酵食の旬を見極める。最高の瞬間を味わうとき、幸せを感じます」

    同じたくあんでも浅漬けがいい人もいれば、古漬けが好きな人もいる。

    「だから、そんなに気を使わなくていい。何度かやっているうちに、自分の好みがわかってきますよ」

    とはいえ、発酵初心者は何を心がけたらいいのか。

    「最初は少しずつ作ること。塩麹や醤油麹のような調味料は混ぜて置いておくだけだから失敗もない。一度にたくさん作らず、足りなくなったら継ぎ足していけばいいんです」

    ぬかもカビが生えたら、上を拭うだけでいい。匂いや味が変わったら、新しいぬかを足したり、塩を追加したりして調える。

    「夏は毎日かき混ぜたほうがいいけど、冬は2、3日に1回でいいし。風通しの良い家なら、冷蔵庫に入れる必要もないですよ」

    山田家は夫と小学生の息子大地くんの3人暮らし。朝食には必ず、お味噌汁と納豆、漬物が。夜のぬか漬けも定番だ。

    「家族の健康を守るには、食事が基本。発酵食品は手軽に飽きずに食べられる健康食品のようなものですから」

    大地くんが生まれた年に庭の梅の木から採れた100粒の梅で作った「大ちゃんの梅干し」。100歳まで長生きしてほしいという願いを込めて、毎年誕生日に1粒ずつ食べている。

    「発酵食って季節に合うもので作っているから、自然のリズムに添いやすい。自然と共存していることを実感できます」

    発酵カレンダー

    1月 白菜漬け、キンカン甘露煮
    2月 味噌寒仕込み、みりん(みりん風調味料)
    3月 ふき味噌
    4月 ウドの甘酢漬け、菜の花漬け、ノビルの醤油漬け
    5月 豆板醤、柿の葉寿司
    6月 ちりめん山椒、ラッキョウの塩漬け・甘酢漬け、梅干し・梅酒
    7月 本格しば漬け、キュウリの醤油漬け
    8月 アンチョビ、ナスの辛子麹漬け、青唐辛子味噌
    9月 きのこ醤油漬け、シソの実の塩漬け
    10月 柿酢、干し芋
    11月 塩辛、干し柿
    12月 たくあん漬け、べったら漬け、キムチ、かぶら寿司

    通年 ぬか漬け、納豆、甘酒、塩麹、味噌漬け、甘酢漬け、醤、醤油麹

    発酵食を暮らしに取り入れるコツ

    ●基本の調味料をひとつ作ってみる
    ●朝昼晩に合わせた食のリズムを考える
    ●木樽、陶器のカメ、ホウロウ容器、作るものによって道具を選ぶ
    ●風通しがいい冷暗所を指定席にする
    ●家族と一緒に楽しむ

    山田家の朝食に欠かせない!

    納豆

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    作り方

    やわらかく蒸した大豆に市販の納豆菌をまぶし、煮沸消毒した容器に入れる。上下を煮沸消毒した稲わらで覆ってフタをし、40度C前後で24時間保温する。山田家では電気毛布に包み保温バッグで保管。大豆の表面が白くなったら発酵完了。

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    発酵後2〜3日経ったら食す。最初はアンモニア臭がするが問題なし。大豆は傷みやすいので、蒸したらすぐに作るようにする。

    20年の年季が入った豊潤なぬか漬け

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    作り方

    無農薬のぬかに塩を入れてよく混ぜ、水を少しずつ加えて味噌ぐらいの固さに調整する。保存容器に入れ、旨みになる昆布と酸化を防ぐ唐辛子(タネを取ったもの)を加えてよく混ぜる。最初は捨て漬け用の野菜を入れてかき混ぜる。

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    3、4日で捨て漬け野菜を替え、2〜3回繰り返せばぬか床が完成。椎茸やニンニク、山椒など、風味をよくする素材を加えてもいい。

    どんど焼きで使った樽に仕込んだ醤油

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    作り方

    大豆麹と麦麹を合わせ、塩水を加えるだけ。2週間ほどは毎日かき混ぜ、梅雨が明けたら屋外に樽を出して、直射日光を当てて香りを高め、冬の寒さにさらして旨みを高める。1年後に搾り師を招き、ゆっくりと圧力をかけてもろみを搾る。

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    6年前からはじめた手前醤油作り。お正月のどんど焼きに使われていた杉の四斗樽に仕込む。生醤油と火入れ醤油が楽しめる。

    3種類を合わせて使うのが楽しい味噌

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    作り方

    大豆を蒸す。茹でるより旨みが残って濃い味わいに。大豆を潰したら塩と麹を加える。麹は大豆の1.5〜1.7倍にしている。塩は12%が一般的だが、山田家は10〜11%に。あとは容器に入れて1年じっくり待つこと。

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    カビ対策は酒粕を敷き詰めたり、古い味噌でフタをしたりといろいろ試したが、近年はハランやビワの葉で覆うのがお気に入り。

    「食べごと研究所」
    主宰・山田奈美さん

    雑誌やWEBなどで発酵食や薬膳レシピの提案や解説を行なう。神奈川県葉山のアトリエ「古家1681」では発酵教室などワークショップも開催。著書に『菌とともに生きる発酵暮らし』(家の光協会)。

    (BE-PAL 2022年3月号より)

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