キャンプをしながら旅する私
こんにちは!ドナウ川の源流地域ドイツから、エーゲ海沿いのトルコを目指して、長いカヤックの旅をしているジョアナです。半年くらいの放浪を予定して、この記事も旅先で書いています。
カヤック旅なので、夏ならお風呂がわりに川で泳ぐことできるのですが、残念ながら季節は冬。そうもいかないので、実質風呂無し生活で髪もボサボサです。
私の旅のスタイルは、毎晩キャンプをして過ごすこと。といっても、「キャンプ」というのは若干オブラートに包んだ表現で、どちらかといえば「野宿」といった雰囲気に近いもの。
毎日、カヤックに乗りマイペースで川を下っている私の場合、川沿いにキャンプ場がある町に毎晩たどり着けるわけではありません。というよりも、そもそも冬なので、キャンプ場までたどり着けたとしても、大抵は閉まっています。
だから私は、ほぼ毎日、適当に平たい場所を見つけて適当に野宿をしているのです。今回は、そんな私が実際にどんな場所で寝泊まりをしているのか、ドイツ及びオーストリアでの野宿スポットの様子を紹介します。
決して、このような旅のスタイルをお勧めするわけではありません。「こんな旅もあるんだ」と面白半分に読んでいただけたらと。そりゃ誰だって本当は、せっかくヨーロッパまで来たんだから、きちんとした宿に泊まって、ヨーロッパらしいエレンガントさのあるスタイルで旅をしたいに決まっているのですから…。
ドイツ・ドナウ川上流での野宿
ドナウ川を下りはじめたドイツの上流地域では川幅が狭く、モーターボートも来ないため、水面は波もなく穏やか。さらにダムがいくつも設置されていて、水位も安定しています。
上の写真は、私が実際に川を下り始めてすぐのころに選んだ野宿スポット。町の外れに見つけたのは、川に浮かべられた小さな船着場。近くには、底が完全に抜けてしまった古い木製のカヌー。この日は雨が降る気配もなかったので、このプカプカ浮かぶ船着場にヨガマットを敷いて、その上にゴロンと寝袋にくるまって就寝しました。寝相が悪いと川に落ちてしまいそうなロケーションです。
ドナウ川の上流地域ドイツでは、水門の手前数kmは、両脇にずーっと土手が敷かれている状態。地元の人が、ランニングやサイクリング、犬の散歩などで楽しむ場所でもあります。
しかしずーっと土手が敷かれているということは、キャンプするのにちょうど良い浜がないということ。なので、適当な階段を見つけては、カヤックが流されないように固定して、比較的平たい地面を見つけてテントを立てます。ちょっとくらい斜めになっていても良いのです。比較的、平らでさえあれば。
ただしこのスタイルは、大型船やモーターボートが通行しないドイツのドナウ川上流地域だけでできるスタイル。もう少し下流に進んで川幅が広がると、大型船が通行して引き波を起こすのです。こうやって川にカヤックを浮かべたままにしていると大変。ザブーンと波がやってきて、カヤックが岸に激しく打ち付けらて、ひとたまりもありません。
水門近くでの野宿の場合
ドナウ川の上流地域を漕ぐ上で問題になるのが、水門の存在。多くは水力発電所の水門なのですが、ドナウ川のかなり上流の地域ではなんと5kmおきに設置されている区間も。その度に、カヤックを上陸させて、土手沿いを迂回します。この迂回路ですが、オーストリアの国境付近までいくと電力会社が変わって親切心が出てくるのか、カヤックを楽に運べるようにと、貸出用の大きな荷車が置かれているそうです。
しかし残念ながら、私が旅をしている冬場は利用者が極端に少ないせいか、荷車は撤去されている状態。そして本来その荷車が置いてあるはずのスペースが、空っぽの空間に。しめしめ。ここなら屋根も壁も、あるじゃないか…。
ということで、本来は荷車が置いてあるスペースが空っぽなのを見つけたときには、そこで野宿することに。ここには屋根と壁があるのはもちろん、地面もしっかり平たいので快適です。
ちなみにこの迂回路ですが、ドナウ川沿いのオーストリアの後半では、さらに条件が良くなって、荷車だけでなく、ボートランプはより長く緩やかに。そして、モーターボートから乗り降りしやすくするためなのか、私も詳しくは分かりませんが、一段一段がかなり広い階段が現われます。この階段の幅が、私のテントの横幅とほぼピッタリなのです。コンクリートなのでペグはさせませんが、こういうボートランプ脇のスペースも、私のお気に入りの野宿スポットの一つです。
地方の観光名所の近くで野宿する場合
オーストリアのドナウ川沿いの地域で一番の名所といわれる「メルク」では、メルク修道院を川の対岸に見ながら、テントを張りました。観光名所の近くとはいっても、橋を二つ渡った対岸なので、ほとんどの観光客はキャンプ地のそばまではやってきません。
たまには、犬の散歩をしている地元の方が近くを通らないわけではありませんが、カヤックとテントの組み合わせを見て、旅の人だと察してくれるのでしょう。あるいは私の勝手な都合の良い解釈かもしれませんが、夏であればヨーロッパは自転車旅の人が多い地域でもあるし、旅する野宿者は自体はそう珍しい光景ではないのかも。地元の人が通っても挨拶だけしておけば、嫌な顔をする人はいませんでした。
都会で野宿する場合
野宿というのものは、何もない自然の中や小さな町の外れでは人も少ないので、寝るのにちょうど良い場所が簡単に見つかるものです。それこそ、少なくとも30分に一回は、「あ!あそこ、寝れそう!」というスポットが見つかります。が、人で賑わう都会となると、逆に、安心して野宿できる場所が見つからないのです。落書きの多い場所はなんとなく治安が悪そうだし、人がいないからって割れたガラス瓶のある場所では寝られないし。
ドイツとオーストリアの国境に位置する観光都市「パッサウ」でも、実際に行ってみるまで、いったいどこで野宿ができそうかまったく検討がつかない状態でした。しかも、岸辺の船着場には、クルーズ船がたくさん停まって、私のようなカヤックでは使用できない状況。困ったな、と思ったら、クルーズ船が停まっている対岸に上陸できそうな場所を発見。
崖の下に敷かれた道路は幅が狭く、バス停を設置するには幅が足りないためなのか、ちょっと迫り出しているのです。その迫り出したバス停下の空間、わざわざ誰も来ないようなところに、野宿スポットを見つけました。しかも橋を渡って対岸を5分も歩けばパッサオの観光地という好立地。
ベンチの幅がヨガマットとほぼ同じだったので、ここではテントを使わず、ヨガマットの上に寝袋でゴロン!のスタイルで就寝しました。対岸のパッサウの夜景を独り占めです。
ちなみにこの記事を書いている今日の野宿スポットは
ちなみにこの記事は、オーストリアのウィーンで書いています。大都会なんだから、いい加減ちゃんとした宿なりユースホステルなりに泊まるべきなのですが、やっぱり節約したくて…。
カヤックを預かってもらえるカヌークラブの脇に平たい草むらを見つけたので、そこで寝ています。
カヌークラブも、カヤックを預かってもらっているとはいっても、冬なので誰も利用者がおらず。メールで問い合わせたら「門の鍵は空いてるから、カヤック入れといて良いよ」とのお返事。それくらい、ほとんど誰も来ない場所なので、安心して野宿をしています。しかも駅まで徒歩5分の好立地で、ウィーン観光もバッチリです。
旅はまだまだ序盤。予定している半年間の放浪のうち、ようやく1か月が過ぎたところです。今後の野宿事情に、楽しみなワクワクと、不安なドキドキが、半分ずつ混ざった、そんな今の心境です。