完成から1年も経っていないとは思えない味のあるたたずまいこそ、手塚さんが理想としたところ。モバイルハウスのワークショップで先駆者たちのアドバイスを受けながら、自分の思い描いたイメージどおりにつくりあげた。
「3年前、20年以上続けてきた商売をやめたのを機に、身軽な旅を楽しもうと。この『ジプシー号』で、今年の夏は四国に行きました。さすがに日中は暑かったけど、夜は外よりも1度Cくらい涼しくて、扇風機を回せば十分なくらい」
外装の表面にはFRPを塗ってあるので、雨が沁みることはない。走行中の振動で接合部が緩むことがあるものの、風切り音は想像以上に小さく、横風の影響も受けにくいとか。
「両サイドの断熱を強化すれば、きっと冬も乗り切れるはず。これでどこまで行けるのか、実験のつもりで日本全国を旅してみたいですね」
手塚純子さん
事業から引退後、自給自足の暮らしを目指す手塚さん。タイニーハウス・ビルダーの竹内友一さんらのサポートを受けて軽トラ・モバイルハウスを製作し、旅を楽しんでいる。
◎構成/櫻井 香 撮影/見城 了、小倉雄一郎