読者の方はすでにお気づきかもしれないが、私は結構ビビリなのだ。しかし沼野さんに言わせると「それくらいの方がいい」らしい。慣れないのに、危険な海にどんどん出て行ってしまう人の方が怖い、そういう人が遭難や事故にあうのだと。少し沖に出て、うねりが避けられる岩礁帯の裏に入ると波も落ち着いたが、これまで「穏やかな海」しか知らなかったので、まだちょっと動揺していた。
魚探を見ると、水深10メートル前後で、海底は砂と根が混在している。このあたりでアオリイカを狙うという。アオリイカは魚探には映らないため(海底付近にいるから)、経験と勘を頼るしかない(沼野さんの)。この下に、美味いアオリイカが泳いでいるのだろうか。というか、こんな精神状態で釣りなんか出来るのだろうか。
穴澤 賢(あなざわまさる)
1971年大阪生まれ。2005年7月から愛犬との暮らしを綴ったブログ「富士丸な日々」が話題となり、その後エッセイ、コラムなどを執筆するようになる。著書に「またね、富士丸。(集英社文庫)」、「明日もいっしょにおきようね(草思社)」、「また、犬と暮らして(世界文化社)」、自ら選曲したコンピレーションアルバムとエッセイをまとめたCDブック「Another Side Of Music」(ワーナーミュージック・ジャパン)などがある。株式会社デロリアンズ代表。Blog:Another Days
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