昨今のキャンプブームで、一部のキャンパーによる迷惑行為が問題になっています。樹木の無断伐採、キャンセル料未払いなど、「もはや犯罪では?」と思える事件に頭を抱えるキャンプ場も少なくありません。こうした迷惑行為は、法的に罰せられるのか? 損害賠償を請求できるのか? 現代キャンプ事情に明るい弁護士の松村英樹さんに、事例をもとに相談をしてみました。
【教えてくれた人】松村英樹法律事務所 松村英樹さん
「法律上の責任を考えるには、国と加害者との問題である刑事責任と、加害者と被害者との問題である民事責任があるので、両面からお答えします。刑事責任としては罰金や懲役が、民事責任としては金銭での損害賠償が一般的です」
【ケース1】敷地内の樹木を無断伐採された
「刑事では、キャンプ場内の樹木を無断で伐採すると、器物損壊罪や窃盗罪、森林窃盗罪に問われる可能性があります。民事では、樹木は誰かの所有に属するものなので、無断で伐採したことについて、所有者に対する損害賠償責任が生じます」
自分の所有する樹木以外は切り倒すのはNG。生木は乾かさないと薪として使えないので、被害者はもちろん加害者にとっても、何の得にもならない。
これが無断伐採だ!!
ここまでされると、もう見過ごせない!!
【ケース2】焚き火の後始末をせず、燃えカスを置き去りにされた
「自治体にもよりますが、炭は廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)2条1項の、「廃棄物」にあたる可能性が高いです。廃棄法16条で、廃棄物はみだりに捨ててはならないとされており、違反すると5年以下の懲役または一千万円以下の罰金になります(両方科されることもあります)。
放置物が原因で火事になった場合は、重過失失火罪等に問われる可能性もあります。民事では、キャンプ場側は、処理に要した費用を堂々と請求できます」
これが焚き逃げだ!!
【ケース3】レンタル品を破損し申告せずに返却
「刑事では、故意にレンタル品を破損させた場合には器物損壊罪が成立します。また、故意でなくても、最初から壊れていたなどと、嘘をついてその弁償を逃れれば、詐欺罪等が成立する可能性もあります。
民事では規約等に明記されていなくても、レンタル品を破損させれば、基本的に損害賠償責任が生じます。破損が故意か過失かは関係ありません」
レンタル品の破損!!
【ケース4】催促してもキャンセル料を払わない
「キャンセル料を払いたくなくて、最初から偽名で申し込むと、刑事では、詐欺罪・詐欺未遂罪に問われる可能性があります。不払いについては、刑事責任は問われませんが、そもそも、法的に正当なキャンセル料であれば、支払わなければならないのは当然です。民事では、キャンプ場側としては訴訟を起こして請求することも可能です」
未払いの総額が膨大になるようなら、まとめて弁護士に依頼し、訴訟を起こすのもありだ。「キャンセル料未払いは不正行為」という事実を受け止め、反省してもらいたいものだ。
※構成/松村由美子 協力/松村英樹法律事務所 https://matsumuralaw.jp/
(BE-PAL 2022年3月号より)