シェア畑ではなくシェア農家?地方農家を支援しながら移住体験もできる「FARMY」がスタート
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    2022.04.10

    シェア畑ではなくシェア農家?地方農家を支援しながら移住体験もできる「FARMY」がスタート

    都心にいながら、自分たちで野菜などを育てるシェア畑。一般的なシェア畑は、区画を借りて利用者自身が栽培、管理を行ないます。自宅からシェア畑へのアクセスがよければ、頻繁にお手入れに行くことができますが、遠かったり仕事が忙しかったりすると、その時間を作れないことも。また、農薬を使うなど農法の違いで、隣接する他の利用者とのトラブルが発生するケースもあります。そこで、農地の区画ではなく、利用者複数でひとつの農家さんを間接的に所有するというサービスを始めたのが「畑あそぼ村FARMY in 信州」です。メンバー募集に向けた説明会に参加し、サービス内容を伺いました。

    作物を共有するという新たな農業形態「シェア農家」

    銀座NAGANOで開催された「畑あそぼ村 FARMY in 信州」の説明会の様子。

    シェア畑は聞いたことはあるけれど、シェア農家は初耳という人もまだまだ多いのではないでしょうか。シェア農家は、「地域支援型農業/CSACommunity Supported Agriculture)」と呼ばれ、消費者が特定農家から農作物を直接、定期購入する仕組みです。これにより生産者側は安定的な収入を得ることができるため、悪天候や需要の増減に左右されずに安定的な収入が得られるだけでなく、少量多品目の生産、規格外や売れ残り野菜の廃棄といったフードロスの抑制にもつながります。消費者側としては、顔の見える野菜として安心して食べられ、旬の野菜が届くため、より季節を感じられます。スーパーの野菜売り場には1年中並んでいるけれど、今が旬だったんだと、改めて感じられそうですね。

    「畑あそぼ村FARMY in 信州」を立ち上げた理由

    塩尻での生活風景。

    このようなCSAのサービスを行なう会社はこれまで日本にも存在し、筆者も10年以上前から愛用していますが、通常のCSAでは会員への直接販売が中心で、基本的に農家との交流はありません。そこで、シェア畑のように農作物の種まきや収穫、作物を利用した料理教室や宿泊体験など定期的な移住体験イベントを開催し、農家と利用者の交流を通じて、地方と都会をつなげればとスタートしたのが「畑あそぼ村FARMY in 信州」です。FARMYとはFarm+Familyの造語で、「目には見えないけれど、人生に必要な大切な価値を、家族で体験して一緒に育てていける畑でもあってほしい」との思いが込められています。

    サービスを提供するUnity合同会社代表の日吉有為さんは、
    「都会が大好きで六本木に住んでいたんですけど、コロナ禍をきっかけに友人がいた長野の塩尻に引っ越しました。そこで人生初めての田植えをして、収穫したお米を食べて感動しました。ほかにも自然農法で育てられた野菜を食べたのですが、とにかく味が濃くておいしいんです。そこで農業に興味をもって勉強を始めて、おいしくて新鮮、子どもが安心して食べられる野菜を届けたいとFARMYを立ち上げました」と、話します。

    ご自身に子どもが誕生したのも、大きなきっかけのようです。現在のお住いの環境では、空気がおいしく整う感じがしたそう。その土地が好きでそこに住んで、自然に触れ、学べ、安心で、おいしい食べ物が手に入ることが何よりも魅力的、日吉さんは「海のないハワイ」と表現しています。ただ、一つ問題が。それは、農業の担い手の高齢化と人手不足です。それらを解決するため、ひとつになるのがFARMYです。

    農家さんと交流しながら、おいしい野菜を購入できるサービス

    プロの農家さんに指導いただきながら農作業を行なう。

    FARMYでは、信州の土自体の力を最大限発揮した無農薬・無化学肥料の田畑で育てられた野菜やお米を、農業のプロである農家さんの協力を得ながら育てていきます。ポイントは3つ。

    1.信州の無農薬・無化学肥料田畑のオーナーになれ野菜やお米が届きます

    5~8品の野菜が、収穫がある6月から11月の間、月に1回届きます。お米は1世帯当たり約30キロが送られますが、精米したてが一番おいしいため、分割して、精米したばかりのお米が届きます。

    2.農業体験もでき、顔が見え、信頼できるプロの農家さんに管理をお任せ

    自分で農業体験したい場合は、自分の都合で体験に行くことができます。行けないときは、プロがしっかり農作物を管理してくれています。生産者の顔が見えるだけでなく、リアルな交流ができるためより安心できますね。

    3.毎月テーマが変わる楽しいイベントも参加し放題

    種まきや収穫のほか、農作物を使用した料理教室や現地でのイベントに無制限で参加できます。自然に囲まれるという非日常を味わいながら、その場所が気に入れば不動産会社には出回らないローカル物件も紹介してくれるそうです。将来、田舎暮らしをしたいなという人なら、まずはデュアルライフ感覚でメンバーになるのもいいかもしれません。

    発酵調味料の手仕込みワークショップも開催

    発酵の基礎から教えてくれた高橋史子先生のワークショップ。

    農作物を使った料理教室もFARMYでは開催されるとのことで、発表会当日は、信州の食材を使った軽食をいただき、信州麹で発酵調味料を作るワークショップも開催されました。教えてくれたのは、全国で食育講座を開催している高橋史子先生。まずは、発酵食品の魅力から教えてくれ、ワークショップでは、醬油麹と塩麹を仕込みました。とはいえ、高橋先生が、信州の麹や昔ながらの仕込み方で作られた醤油など、すべて準備してくれていたので、まぜるだけという簡単なものでした。

    材料は信州麹、塩、醤油と、とてもシンプル。

    生麹を直接手でもみほぐすことで、その人なりの麹に育つことなど、発酵食品の特徴を教えてくれました。さらに発酵の過程で、それぞれの環境にいる菌たちが手助けしてくれ、その家の味になります。ちなみに分量としては、麹と醬油を11。塩麹は、麹50gに塩15g、お水80mLで作りました。

    「おいしくなーれ、とくるくる混ぜて仕込みは完了です。発酵するのに時間がかかるので、1週間から10日後に食べられます。11回、混ぜてあげてください」(高橋先生)

    ワークショップで仕込んだ塩麹と醤油麹。

    常温で保存し、毎日かき混ぜ、空気を含ませることが大切だそう。発酵すると、とろっとして甘さが出てくるとのこと。筆者も、毎朝声をかけながら、くるくるしてみました。

    8日後には、見た目にもとろみがでてきました。

    まだ、とろっというほどではありませんが、あきらかに最初とは違った印象に。発酵が進んだ証拠ですね。甘さなど、好みに合わせて醤油や塩の量を自分で変えると、好みの発酵調味料を作ることができます。ただ、塩を少なくし過ぎると、発酵ではなく腐敗してしまう恐れがあるそうなので要注意です。麹の種類、醤油の種類や分量で変化するため、自分好みの発酵調味料づくりにトライするのも楽しそうです。また、これらの調味料は、お肉の下味のほかスープや煮物にも使え、常備しておきたくなります。

    そんな発酵調味料を使ったFARMYの野菜を使ったメニューも試食。自然農法の野菜は、味が濃く、おいしさが凝縮されているとのことで、この日参加した多くの人から、「人参あま~い」など、野菜そのものがおいしいという声が聞かれました。野菜自体の味がしっかりしているため、調味料を使う量が少なく、とてもヘルシー。おいしくて体にいいってうれしいことばかりですね。

    FARMYの年会費は、一家族29万7,000円(税込み)です。これは、届くお米や野菜、イベント参加費すべて含まれた価格で、家族単位というのもユニークです。今後、新たなプランも登場する予定です。

    「共通の価値観をもった会員とつながれますよ」と、日吉さん。仕事や趣味だけでなく生き方や自然とのふれあい方など、共通の価値観で友だちの輪が広がるコミュニティでもあるからこそ、家族単位なのですね。もちろん単身者も歓迎で、イベントなどには大人1名の同伴が可能です。ただ、いきなり会員になるのは、どうしようかと悩む場合もあります。そんなときのために、お試し体験会も開催。4月開催は、菊芋ほりと種まき体験。収穫して、料理して食べて、自然と触れ合えるプログラム。G.W.には、田植えの体験もできるので、まずは体験会から参加してみるのもよさそうですね。

    FARMY
    https://www.farmy.life/

     

    私が書きました!
    ロハスジャーナリスト。フリーアナウンサー。
    林ゆり
    関西を中心にテレビ、ラジオ、舞台などで活動後、東京に拠点を移し、執筆も始める。幼いころからオーガニックに囲まれて育ち、MYLOHASに創刊から携わる。LOHASを実践しながら、食べ物、コスメ、ファッションなど、地球にやさしく、私たちにもやさしいものについてWeb媒体やブログで発信中。

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