家ごと旅をしている感覚に近い
軽トラックの荷台に「小屋」を乗せ、キャンピングカー仕様にしたクルマで旅をする。それがYouTubeチャンネル「旅する家の物語」の動画主のスタイルだ。小屋は、土台作りから断熱材、床板張りなどすべてをひとりで行なっている。
「軽トラキャンピングカーに乗っている動画を見て『動く家』にロマンを感じました。私の人生テーマは『つくる暮らし』。元々DIYが趣味でテーブルなどを自作していたので、軽トラキャンピングカーを作ることも自然の流れでしたね。でもさすがに小屋を自分で作るというのは初めてだったので、ネットでキャンピングカーを自作されている方の動画などを見て参考にさせていただきました。週一で作業をして、完成までは約半年ぐらいです」
週末になると、クルマを走らせ軽トラキャンピングカーで1泊。週末キャンプのような感じで、車中泊を楽しんでいる。
「最初は軽トラキャンピングカーを住処にしようと思っていたんです。でも結果的には、余暇を楽しむ場所としてここで過ごすのが心地よくなっています。本当は、自宅もあって、キャンピングカーもあり、それ以外にもいくつか拠点があるのが理想。仕事もほぼリモートでできる状態なので、そういう暮らしも楽しそうですよね」
泊まる場所は、人があまりこない公園や山といった“ひとりで過ごせる場所”に好んで行っているそう。居住地の長野県は、好みの場所が多く、ほぼ県内で旅をしている。
「当初は、全国をキャンピングカーで巡ろうと思っていたのですが、コロナ禍もあって、県外にもなかなか行けません。まずは長野県内で楽しもうと探してみると、魅力的なところばかりだったんです。そこまで遠出しなくても、素晴らしい景色にも出会えます」
キャンピングカーが軽トラであることで、場所選びの幅もかなり広くなっていると話す。
「軽トラはコンパクトだから山奥にも行きやすいんですね。田舎の風景にも馴染んでくれるので、絵にもなります。荷台の小屋は乗せているだけなので、簡単に取り外しもできますし、それもメリットです」
毎週末、旅をすることが習慣化していて「次はどこに行こうか」と考える時間すらも楽しい。キャンピングカーの旅を始めて、人生にもハリが出たのだそう。
「拠点を自分で作れるというのは、おもしろいですよね。車中泊は、普段の生活とキャンプの中間ぐらいの位置にあると思っていて、家ごと移動している感覚に近いんです。シンクを作ったり、その横にフックをつけて調理用具を置いたり、ノウハウを詰め込んでいって、どんどん拠点を快適にしていくのも楽しいですよ。自作なので、壁に穴を空けるのだって自由ですからね」
次なる目標は大型キャンピングカーでの旅
春になったら現在のクルマの気になる部分を改良予定。さらには大型のキャンピングカーを自作することも考えている。
「1トン、2トンの大型トラックの荷台に小屋を乗せるキャンピングカーも作ってみたいです。5月に積載量の法律の一部が改正されて積載制限が緩和されるので、今より自由度のあるものが作れそうで楽しみです!」
旅する家の物語
土台から自作した軽トラキャンピングカーで旅をする様子を配信。チャンネル登録者数は70万人以上(2022年4月上旬現在)。
構成・文=中山夏美