本格コーヒーはアウトドアでこそ美味しい!
アウトドアで淹れるコーヒーは一味違います。
挽きたての豆の香り、お湯を注ぐ音、体中に染み渡る甘さとほろ苦さ。
自然の中では、自宅でコーヒーを飲むときよりも五感が鋭く研ぎ澄まされます。
そのため、それぞれのコーヒー豆が持つ本来の味わいを、じっくりと堪能することができると筆者は考えています。
そこで今回は、最高のアウトドアコーヒーを楽しんでいただくために、豆の特徴を生かした淹れ方をご紹介いたします!
自分好みのコーヒー豆を見つけよう!
まずは、自分好みのコーヒー豆を見つけましょう。
コーヒーの味は、大半が豆で決まります。
保存方法やドリップの仕方などでコーヒーの味は左右されますが、豆本来のポテンシャルを上回ることはできません。
筆者がアウトドアコーヒーにおすすめしたい豆は、シングルオリジンコーヒーです。
シングルオリジンとは、ただ同じ生産国というわけではなく、同じ農場、生産者、品種、精製方法で作られた豆のことを指します。
つまり、一杯のコーヒーに、単一の豆の味わいだけが非常に豊かに表現されるコーヒーなのです。
ブレンドは味わいや香りのバランスが重視されていますが、シングルオリジンは豆によって非常に味わいが変わります。
四季や場所でガラッと変わる大自然の中で、個性豊かなコーヒーをゆったりと楽しむというのは、まさに最高の贅沢ですよ。
美味しいアウトドアコーヒーの楽しみ方
さて、自分好みの豆を手に入れたら準備OK!
豆本来の味わいを楽しむ美味しいコーヒーの淹れ方を、9工程に分けてご紹介していきます。
常に、「それぞれの豆の特徴を生かしてあげる」ことを意識してみてください。
例えば、酸味が爽やかでジュースのような味わいの浅煎り豆を使って、深煎りのような苦味やコクを出す淹れ方をしても、美味しくはなりません。
逆に、苦味やコクが特徴である深煎りの豆を、浅煎りのように爽やかな酸味が出るように淹れても、思うようにはなりません。
一つ一つの工程を、その豆に合わせて調整することが、美味しいコーヒーを入れるコツです!
ドリップ前の準備
まずは、実際にお湯を注ぐ前の、準備工程をみていきましょう。
1.豆を新鮮に保つ
全てのコーヒー豆は、光、紫外線、空気によって酸化が進みます。
購入した豆は、冷凍庫に保存しておき、キャンプに持っていく際は保冷バッグの中に収納しましょう。
外で使用する際は、必要な分だけ豆を出したら、残りの豆は密封してすぐに保冷バッグに戻すのがポイントです。
内外の気温差によって、あっという間に豆に結露が生じ、風味が劣化してしまう恐れがあるからです。
2.豆の挽き方を調整する
次に、豆を挽いていきます。
薄めのコーヒーを飲みたいときは粗めに、濃いめがいいときは細かめに挽くのが一般的です。
筆者は、浅煎りの爽やかな酸味を楽しみたいときは粗めに、深煎りのコクや苦味をじっくり味わいたいときは、細かめに挽きます。
粗いほどコクや苦味、雑味が出にくくなり、爽やかな味わいになります。シングルオリジンは、雑味が少しでも出ると豆の味わいを隠してしまうため、粗めをおすすめします。
3.フィルターをセットする
豆を挽いたら、ドリッパーにフィルターをセットします。
紙独特の匂いや雑味を抑えるために、先にお湯でフィルターを湿らせておくのが一般的ですが、匂いなどが出ないフィルターであれば問題ありません。
また、ネルドリップ(布でできたフィルターでドリップする方法)を使えば、紙特有の雑味がなくなり、まろやかな味わいになります。
そのため、濃い苦味やコクが雑味に変わりやすい極深煎り豆などは、ネルドリップでまろみをつけると美味しくなります。
また、毎回紙を捨てる必要がなく地球に優しいため、アウトドアでは非常におすすめです。
4.適量の粉をドリッパーに入れる
筆者は、コーヒー1杯120mlとして、粉は大体10〜13g程度使用します。
ハイキングでは、近くにトイレが見つからないことが多いので、1杯120ml以上は飲まないようにしています。
粉をセットしたら、ドリッパーの側面を軽く叩いて粉を平らにします。
ちなみに、ミルクを入れてカフェオレにしたい場合は、粉を多めに使用して濃いコーヒーにすると美味しくなりますよ。
5.湯温を調整する
お湯の温度は、大体75度C〜90度Cの間とし、豆に合わせて調整するようにしましょう。
温度が高いと、豆の成分がたくさん出ます。逆に、温度が低いと豆の成分はゆっくりと抽出されます。
浅煎りは高いお湯でもすっきりとした味わいになりますが、深煎り豆は雑味が出やすいため、湯温を低くするのがおすすめです。
ドリップのこつ
さて、いよいよコーヒーをドリップしていきましょう。
6.蒸らす
最初は、豆を少量のお湯で蒸らします。蒸らしに使用する湯量は、粉と同じ量か1〜2g程度多いぐらいが目安です。
粉全体に、お湯を点々と垂らしていきます。時間をかけずにさっと満遍なくかけることで、全体を均一に蒸らすことができます。
豆がぷくぷくと膨らんできますので、10秒〜40秒を目安に放置します。
蒸らしの長さが長いほど、出来上がったコーヒーにコクがでます。
そのため、浅煎りなら短め、深煎りは長めで蒸らすと、基本的には美味しく出来上がります。
スペシャリティコーヒーに多い、果実のフレッシュ感が特徴の超浅煎り豆の場合は、風味を殺さないために、蒸らしの工程は飛ばしてもいいでしょう。
7.お湯を注ぐ
蒸らしが終わったら、お湯を注いでいきます。
浅煎りの場合
最初に、太めのお湯を3秒ほど中心に注ぎます。ここで沸き出てくる泡は、いわゆるアクです。
このアクがコーヒーに混ざると、雑味の原因になります。
浅煎りはアクが多いので、最初にしっかりとアクを上に浮かせておく必要があるのです。
3秒ほどアクを出したら、ゆっくりと細めのお湯を注いでいきます。
500円玉ぐらいの丸を描くイメージで、中心付近をメインに注いでいきます。
深煎りの場合
深煎りはアクが少ないため、最初から極細のお湯を中心から円を描くように注いでいきます。
ちなみに、深煎りなのに泡が大量に出てくるときは、その豆に対して湯温が高すぎる可能性があります。
その場合は、もう少し低い温度で試してみるといいと思います。
8.アクが落ちる前にドリッパーを外す
適量を抽出したら、上に浮かせたアクが下のコーヒーサーバーに落ち切る前にドリッパーを外します。
ドリッパーを乗せたままにしてしまうと、せっかくのコーヒーが雑味だらけになってしまうので、気をつけてくださいね!
9.カップに注いだら完成!
最後に、カップをお湯でさっと温めて、出来立てのコーヒーを注いだら完成です。
自然に囲まれて、普段とは一味も二味も違う、素敵なコーヒータイムを過ごしてくださいね。