アウトドアズマンの愛車には、工夫がいっぱい!
積載テクニックはもちろん、サッと作業場にしたり、ときにはクルマのなかで寝ることも。
それゆえ、快適に過ごす&遊ぶためのアイデアがたくさん詰まっている。達人の愛車をご覧あれ!
※こちらの記事は2022年初頭に取材したものです。
逸見真央さん(31歳)
元、アウトドアギア専門リユースショップの店長。現在はボンゴバンでバンライフをしながら空き事務所をDIYリノベーションし、その様子をインスタグラムなどで発信している。
見慣れた風景も違って見えるバンライフ
キャンプ好きが高じて、寝泊りできるクルマを自分で作ってしまったという逸見さん。コロナ禍による緊急事態宣言で多くのキャンプ場が閉鎖され、休日は、ほぼキャンプをしていた逸見さんは時間を持て余してしまった。そこで始めたのがDIY。当初は簡単な棚を作る程度だったが、その面白さにすっかりハマり、ついには部屋の家具のほとんどを自作するまでにエスカレートしたという。
「もう作るものがなくなってしまったので、次は気軽にキャンプできるクルマをDIYしようと思ったんです。ちょうどSNSでバンを車中泊仕様にカスタマイズしている投稿を見かけ、これなら僕にもできるなと」
運よく30万円という格安でボンゴバンを入手した逸見さんは、シルバーだったボディーを刷毛とローラーで全塗装し、天井と床を板張りに。次にキャンプギアを収納するための棚や、ベッド、テーブルなどを一気に作りあげた。だが実際に車中泊をすると様々な問題が発覚。現在に至るまで何度も改良を行なったという。「今の状態はVer.5」と逸見さんは苦笑した。
「ほとんどの家具は手軽なインパクトドライバーだけで作っています。あらかじめCADソフトで設計し、木材は購入時にホームセンターでカットしてもらうので、見た目ほど手間はかかっていないですよ」
仕上げはやや粗削りだが、インテリアの隅々まで雰囲気が統一されているあたりにセンス良さがにじみ出る。さらに逸見さんは並行して別のDIYプロジェクトも進めている。もともとは祖父の持ち物だったという古い事務所を自宅として使うために、内装をリノベーションしているのだ。家具はネットを活用し、中古を格安、または無料で入手してリメイク。こちらもお洒落な空間に仕上げている。
「今は会社を辞めて無職なので、日中は事務所のリノベーション作業を行ない、夕方から翌朝まではバンライフという生活を1か月以上続けています(笑)。車中泊生活は、見慣れているはずの地元の風景がまったく違うものに感じられて面白いです」
今後、逸見さんが主催者となって車中泊をテーマにしたイベントも開催する予定とのこと。展開が楽しみだ。
逸見さんの愛車
マツダ/ボンゴバン
逸見さん所有の4代目ボンゴバンはマツダが自社開発した最後のモデル。
ボディサイズがコンパクトで中古車も安いことから、カスタムベースとして人気。
POINT 1
荷台は僕のワンルーム!
荷室をミニマルで機能的な空間にDIY。愛用のキャンプギアとマッチするよう木材を塗装して、アンティークなムードに統一。
すぐ横になれるのがバンライフの醍醐味。FFヒーターは未装備のため、冬場は窓などからの冷気を遮断し、高性能シュラフで就寝。
POINT 2
後部ドアは自由度が高いキッチン
前席背面にOSB合板で製作したスライド収納式のキッチンテーブルを配置。なるべく準備に手間をかけたくない朝に大活躍。
リンゴ箱をリメイクしたキャビネット兼テーブル。道具を収納したまま外に運び出せる。
天板は跳ね上げ式だが、強度は十分。フロアに腰掛けながら調理や食事ができるように仕上げた。
POINT 3
収納にもアイデアがいっぱい!
タープポールなどが収納できる長尺物ケースもOSB合板で製作。寝かせて運ぶよりも安定する。
ポータブル電源やキッチン用品などを置いている棚は、扉を開けばテーブルにもなる優れもの。
1×2材をすのこ状に組んで製作した伸縮式のベッド。精度が求められるので、難しかったそう。
クルマ選びの3か条
1 クルマに住むなら広くて壊れない車
2 ボディーを塗り替えると愛着がアップ
3 バンは冷えるので寒さ対策を万全に
自宅もでき上がってきた!
築40年の事務所を自宅にするべく、内装をリノベーション。約1か月間、仲間と集中的に作業し、屋内でキャンプもできるユニークな部屋が完成した。
※構成/佐藤旅宇 撮影/高柳 健 撮影協力/リトリートフィールドMahora稲穂山
(BE-PAL 2022年4月号より)