畑を借りた!自分たちで食べる野菜を作ろう
自分でつくったトマトは美味しいのだろうか?
うちの娘はトマトが嫌いだ。酸っぱいからだと言う。引越した先でご縁があり、実家が昔農家を営んでいた方から畑を借りられることになった。
せっかくなので、娘の嫌いなトマトも自分たちで育ててみることにした。
ポカポカ陽気の週末、畑に夏野菜を植えにいってきた。

福岡市内から車で30分ほど、福津市の山間にある畑。
4月〜6月上旬は夏野菜を植える時期
この時期、ホームセンターにも沢山の夏野菜の苗が並ぶ。朝採れ野菜のみずみずしい断面をイメージしながら、畑に植える苗を選んでいく。
家族3人散らばって、あれもこれも育てたいと苗を持ち寄ると、12種類にもなっていた。我家の夏野菜ラインナップはこれだ。
- トマト
- ピーマン
- 黄色ピーマン
- ししとう
- とうもろこし
- オクラ
- かぼちゃ
- スイカ
- メロン
- なす
- えんどう豆
- ズッキーニ
夏野菜は種類も豊富で夏に不足しがちな栄養をとることができるので、夏バテ予防にも良いと聞く。春のうちに暑い夏を見越して、野菜をたくさん育てるぞと意気込んだ。
初めての畑でこんなにたくさん育てられるかな……、畑を貸してくれたIさんも「水やり、虫取り大変だよ〜」と心配してくださった。
アウトドア好きで虫嫌いな夫は、「必要に迫られたらがんばります!」と返事をしていた。虫の観察が好きな私は、どんな虫がやってくるのかと楽しみにしている。

張り切って買った野菜の苗。『カインズ』『平田ナーセリー』『ナフコ』とはしごしたが、ナフコが一番苗や種芋の種類が豊富だった。
畑で野菜を作る。まずなにから始める?
畑で野菜作りを始めるにはこの3つが必要だ。
- 畑
- 道具・苗や種
- 野菜作りの知識・経験(サポート)
畑を探す
今回私たちは友人の紹介で畑を借りることができたが、以前は貸し農園をネットで探していた。コロナ禍での農園ブームもあり、畑や空き地を貸したい人と、借りたい人のマッチングビジネスも盛んになっている。「農園ナビ」や、「ハタムスビ」では、全国版で野菜作りの場を探すことができる。
また、福岡県庁HP(市民農園空き区画情報)のように、行政サイトからも市民農園情報の確認ができるので「在住エリア 農園」などキーワードを入れて検索してみると良い。
畑選びのポイントとは
貸し農園にもいろいろあるが、レンタル価格の他に、農園の広さ、道具貸出の有無、農作業サポートの有無などがポイントになる。
なかでも農園選びの重要なポイントとなるのは、自分たちのレベルや目指す目的に合った農園を選ぶこと。道具のレンタルができて農作業のサポートが受けられる農園なら、初心者でも野菜作りの基礎を学ぶことができ、一年目からしっかりと収穫できる可能性は高くなる。
実際に通ってみて気づいた畑選びの重要ポイント
畑に野菜を植えて4回通った。夏場の水やり頻度を考えると、自宅からの通いやすさと給水設備の有無も重要なポイントになりそうだ。
周辺に川や池など水場がない場合、自分たちで水を運んでくる必要がある。場所によっては雨水を溜めておける大きな給水タンクを設置する方法もあるそうだが、我家では20リットルの給水タンクを2つホームセンターで購入した。
また、外で長時間作業をすることになるので、近くに公衆トイレやトイレを借りることができる施設があるかどうかも大事なポイントだ。
畑での野菜作りに向けて準備したもの
- スコップ
- 軍手
- 長靴
- 給水タンク
- ジョロ
- 野菜苗
これらの道具は百均とホームセンターで揃えることができた。
実際の畑作りでは、鍬や鎌などの道具、マルチや固定具などの資材、土作り用の石灰を友人やIさんが準備してくれていた。これから追肥で使う肥料も必要になってくる。
これらすべてを自分たちで準備するとなると、道具を置く場所や持ち運びも大変だと感じた。サポートしてくださるIさんや、一緒に畑作りができる友人家族(畑仲間)がいてくれることは、初心者の私たちにとって大変心強い。
貸し農園のサイトを見ていると、道具や資材を準備してくれて、サポートスタッフも在籍している農園も多くあるようだ。畑で出会う仲間との交流も、新しいコミュニティとなるかもしれない。

友人家族が育てている収穫本番前のタマネギ。育ち具合を確認するためにと抜かせてもらった。皮を剥いて味見。最初はジュワーっと甘味が広がり、そのあと辛味がくる。
実体験!野菜を植える
芋を植える!(サトイモ・ジャガイモ)
夏野菜の前にお芋を植えた。10〜15センチの穴を掘り、ちょこんと出た芽を上にして種芋を置いて土をかぶせていく。サトイモは栽培期間が長い分、たくさんの芋が収穫できる。8月以降、秋にかけての収穫が楽しみだ。里芋の煮っころがしや、揚げて甘辛だれにからめて食べると美味しいだろうな。

種芋の植え付けに備えて、前もって土に石灰を混ぜておいてくれたおかげで、畑の土は触るとフカフカしていて、ほんのり温かくて、なんとも気持ち良い。日常生活で土に触れることは滅多にないのだが、もっとこの土に触れていたい、まぜまぜしていたい、そんな触り心地の良い土。

ホームセンター「カインズ」で購入したサトイモの種芋は500グラムで598円。普段食べる里芋と見た目は変わらないように感じる。

畑に行くと、子供たちは周辺にたくさん生えているツクシを摘んだり、四葉のクローバーを探したり、鬼ごっこをして遊ぶ。辺りを見回すだけでも、いろんな植物や虫たちがいる。野苺も生息しており、5月頃になれば甘酸っぱい実をつけてくれるのが楽しみだ。
いざ、夏野菜を植える!
土を耕し、石灰を混ぜ、畝を作ってくれたきれいな畑。でも、まだ苗は植えることができない。マルチを張るのだ。
Iさんと友人に教えを請いながら畑作業を進めていく。これから夏場に向けて、畑に雑草が生い茂ってくる。マルチを張ることで雑草の抑制効果が期待できる。マルチには黒やシルバー、透明などいくつか種類あり、色によって期待できる効果も異なる。両端に土を被せて、できるだけマルチがパンっと張った状態で固定具を差し込むのがポイントだ。

マルチ張りは簡単そうに見えて奥深い。使い慣れない道具、鍬を使いこなすのにもコツがいる。

友人に代わり夫がマルチ張りに挑戦。開始2分で「腰にくる!」と思わず声が出る。どうしても力が入ってしまいがちだが、鍬の重みを上手く利用して力まずに土を削るイメージでやると良いそうだ。

前週に植えたサトイモ、ジャガイモにもマルチをかぶせる。雑草を防ぐのと、じゃがいもの緑化対策になる。(※じゃがいもは光に当たると、ソラニンという毒素のある物質の含有量が増え皮が緑色になってしまう。マルチを張ることでそれを防ぐ。)マルチの固定具が足りなくなったため、芋を植えていない畝の真ん中に土を乗せ、風で飛ばないようにしている。

マルチを張り終えたら、マルチに鎌で切り込みを入れる。マルチの張りが甘いとこれが上手くいかない。マルチは”張り”が大事だ。

手でマルチの切り込みを広げながら、土を掘り、苗を植える。苗の茎を人差し指、中指の間に置いて、ポットをひっくり返して優しく苗を待つ。もう片方の手で、マルチの切り込みから土に穴を掘り、苗をスポッと入れる。土をかぶせて苗植え完了と思ったら、まだやることがある!

添え木で苗を補強する。植えたばかりの苗は茎が細く、風で折れやすいため、市販されている支柱や拾い集めた小枝を添え木にして補強してあげる。一本一本の苗がスクスクと育っていけるように手間暇かけてサポートする。植えて終わりじゃないところが、子育てにも似ているとしみじみと感じながら作業する。

水やりにもコツがある。ジョウロからマルチの穴の近くに水を落とし、マルチの穴をつたって土に優しく水を運んでもらうのだ。マルチの穴に直接水を入れると、水の勢いで苗の根本部分の土が削れてしまう。Iさんが丁寧に教えてくれた。
苗を植えて終わりじゃない。ここからが野菜作りのスタートだ!
水やりまで終えると、作業開始から1時間半くらいが経過していた。苗を植えた畑を見回し、いい汗かいたと達成感に満ちた私たちにIさんが笑顔で一言。
「さあ、ここからがスタートたい!」
これから手間をかけて野菜を育てていく。
畑作業を経験した上で改めてIさんの畑や周辺農家の方々の畑を見回してみると、ひとつひとつの野菜をどれだけ丁寧に育てているかがわかる。風除けのビニルシートを自作でつけていたり、一株ごとにビニルで囲いを作っていたり。畑に愛が溢れている。
どれだけ手間暇かけても、順調に育ってくれるかどうかわからないとIさんは言う。作り手の関わりだけではなく、気温や雨量などの天候、虫や流行病の発生など、人がコントロールできない自然との関わりも大きいのだと感じた。
私たちが食べている畑の作物は、自然の恵みだ。

お土産にもらったタマネギは、皮を剥くと透明感のある白さ。実の部分はスライスして生で、葉の部分は刻んで味噌汁に入れる。根っこからも元気が伝わってくる。
おいしい野菜を育てたい。“おいしい”とは?
畑から帰った夜、友人家族が育ててくれたタマネギが食卓にならぶ。
みずみずしくて甘さと辛味のバランスがよくて、おいしい。
ここで感じた“おいしい”は、単にタマネギの味を美味しいと感じているのとは違う気がした。
“おいしい”とは一体なんだろうと考えていたら、こんな言葉を見つけた。
《おいしさは、味そのもの(味覚)だけでなく、料理の見た目(視覚)、香り(嗅覚)、食感(触覚)、噛んだときの音(聴覚)、食事の雰囲気や環境など、五感を総動員して感じるものです。》
引用:日本うまみ調味料協会「うま味」と「おいしさ」のちがい
この日感じたタマネギの“おいしい”は、まさに「五感を総動員」して感じる感覚だった。食べているときの視覚・嗅覚・触覚・聴覚はもちろんのこと、畑で野菜を植えたりタマネギを収穫した体験がよみがえってきて、わたしたちの五感を刺激してくれた。友人家族がタマネギを育ててきた時間や手間にまで想いを馳せることで感じることができた“おいしい”だったのだろう。
考えてみれば、いつも食べているスーパーで買ってきた野菜にも、時間と手間をかけて育ててくれた人たちがいる。
野菜作りを始めたことで、この野菜はどんな土で育ったのだろう、どんな人が育ててくれたのだろうと考えるきっかけをもらった。
作り手と自然の恵みに感謝の気持ちを込めて、「いただきます」。

水分たっぷりのタマネギスライス。鰹節、醤油をさっとたらしていただいた。
