ヨモギは、3月~4月の初旬に新芽をつける、春が旬の野草です。春に収穫したヨモギは、餅に入れてヨモギ餅として食べることなどができます。
食用としての用途は広く知られていますが、実はヨモギは食用以外にも幅広い用途がある野草です。旬を過ぎた晩春ごろまで、食用以外でも便利に活用することができます。
今回はキャンプで役立つ、ヨモギの使い方を3つお伝えいたします。
ヨモギとは?
ヨモギはキク科の多年草です。日当たりのよい野原や空き地、道端など、身近な環境の中に自生しています。繁殖力が強い野草で、周りに生えているほかの植物を駆逐(くちく)してしまうことがあるほどです。
ヨモギは食用としてだけでなく、昔から病を治すためにも利用されてきました。ヨモギの葉を乾燥させた、艾葉(がいよう)と呼ばれる漢方薬があり、止血や鎮痛、下痢止め効果があります。また、葉を湯船に入れて浸かれば、身体を温め、冷え性やリウマチに効果があります。
これらはヨモギの活用法のほんのひとにぎりにすぎません。ヨモギには他にも多くの活用法があります。
ヨモギを扱う際の注意点
ヨモギにはよく似た植物があるので、採取する際には注意が必要です。よく似た植物とは、ブタクサとトリカブトです。トリカブトは有毒の植物です。誤って採取すると事故に繋がる恐れがあるので、特に注意が必要です。
ヨモギには、ブタクサやトリカブトには無い特徴が2つあります。
1つ目はその香りです。新芽をちぎると、春菊によく似たフルーティな香りがします。時期や収穫する場所によって香りの強いものと弱いものがありますが、ヨモギ餅を食べたことがある人ならば、すぐにわかる独特の香りです。収穫する前に葉を指ですりつぶして、臭いを嗅いで確認しましょう。
2つ目の特徴は葉っぱの裏側にあります。ヨモギの葉っぱを裏返すと、裏側が白っぽくなっています。この白っぽさは、みっしりと生えた繊維質の毛によるものです。
ヨモギを採取する際には、この2つの特徴をよく確認するようにしましょう。
なお、体質によってはヨモギを食べたり、触れたりするとアレルギーが出ることがあります。キク科のアレルギーをお持ちの方はご注意くださいね。
キャンプでのヨモギの活用法3選
幅広い用途があるヨモギは、キャンプでも便利に活用できる野草です。その使いかたを3つご紹介いたします。
1.擦り傷や切り傷の血止めに
キャンプで指の先を軽く切ってしまった、子どもが転んで膝をすりむいてしまった。そんな時は、まず水で傷口を洗い流しましょう。傷口を水で洗い流すことで、傷口に入った砂などの余分なものを取り除くことができます。
傷口をよく水で流した後に、血が止まらない場合は、ヨモギを使いましょう。
ヨモギに含まれるタンニンには、組織細胞を引き締める効果があります。傷口に直接ヨモギを当てることで止血ができます。
ヨモギを適量つまんで、手の中でよくすりつぶします。
すりつぶしたヨモギを患部に当てて、血が止まるまで、しばらく押さえましょう。血が止まったら、ガーゼや絆創膏などで傷口を保護しましょう。
ヨモギでの血止めはあくまでも応急処置になります。深い切り傷には効果が期待できませんので、傷の程度によっては病院の受診をおすすめいたします。
2.虫刺されのかゆみ止めに
ヨモギの成分の1つであるクロロフィルは、細菌の増殖を減らし、肌の炎症を抑える効果があります。また、タンニンにはかゆみ成分を取り除く効果があります。
蚊に刺された箇所がかゆい場合は、ヨモギの葉をちぎって、患部にすり込めば、すーっとかゆみが軽減しますよ。
3.燃やして虫よけに
ヨモギの成分の1つであるシオネールは、虫よけ効果があり、蚊やハエが嫌う香り成分です。シオネールは市販品の虫よけにも含まれています。
ヨモギは虫よけが無い時代には、直接燃やすことによって、虫よけとして使用されていました。キャンプでは、蚊取り線香を忘れた場合に、その代用としてヨモギを活用できます。
使い方は簡単。焚き火の炎の中にヨモギを放り込むだけです。火がしっかりとおきていれば、乾燥していない摘みたてのヨモギでもすぐに燃えて、虫よけ効果のある煙が上がりますよ。
さいごに
ヨモギは日本全国のいたるところで見られる身近な野草です。キャンプ地の周りを探せば、いろいろな場所で発見できるはずです。キャンプでケガをした場合や、蚊に刺された場合には、ぜひご紹介した活用法をお試しくださいね。
キャンプ場などでヨモギを採取する場合、植物の採取を禁止しているところもあるので、採取しても問題ないか必ずキャンプ場に確認するようにしましょう。