一度は訪れてみたい東南アジアの観光地は?と言えば、各国のビーチなどと共に必ず名前が挙がるのが「アンコール・ワット」ではないでしょうか。逆に言うと、「アンコール・ワット観光」以外には、カンボジアってアクティビティが無いよね?と思われがちなのも事実。
実際にカンボジアを観光で訪れる人は、首都プノンペンには立ち寄らずに「アンコール・ワット」のあるシェムリアップ市のみを訪問する人が大半です。聖なる山「プノン・クーレン」(プノン=山、クーレン=ライチの意)は、そんな人気観光地から北東約50キロに立地。アンコール王朝発祥の地でもあり、地元民の憩いの場でもある国立公園なんです。見どころとしては、数々の寺院や1000本リンガなどの遺跡。そしてプノン・クーレンでの一番人気のアクティビティと言えば、滝での水浴び。加えて、最近では車道が整備され景色の良い、いわゆるインスタ映えする場所へのアプローチも楽々に。またテント泊ができるキャンプ地が整備されたりと、今最もホットな観光地になりつつあります。今回はそのプノン・クーレンで、カンボジア初のエコフレンドリー・トレイルランが開催されたので、記念すべき第1回の様子をご紹介します。
政府協賛の初のエコフレンドリー・トレイルランがようやく開催!
環境省、アプサラ機構、観光省という政府機関がスポンサーについた当イベント。当初は2020年12月に2コースともに同時開催予定でしたが、コロナ禍により設定日が二転三転とした末に、ようやく!2021年12月に18キロ、2022年2月に8キロの開催が実現しました。どちらのコースもコロナ禍のために海外渡航の制限が厳しいことから、残念ながら国外からの参加者はゼロ。カンボジア人と在住外国人のみの参加となりました。
2月の少し肌寒い早朝5時半にシェムリアップ市内を出発!大型バスで所要約1時間で会場に到着します。まだ朝日ものぼりきらない肌寒い中、運営責任者からは、「本来であれば、東南アジア諸国や欧米から大勢の参加者がここにいたはずなのですが、今回はコロナ禍により、やむを得ずキャンセルとなった人が多かったのが残念でした。本日の参加者には、その分もプノン・クーレンでのトレイルランを楽しんで頂きたい!」と力強い開会のあいさつがあり、ランナーたちの士気もあがっていきます。
本日の山道を楽しむ趣旨の8キロコースは、上り4キロ下り4キロの初心者向けルート。ペットの犬同伴で走ったり、お子様と一緒に、また仲間でわいわいと写真を撮りながら、ハイキングのように楽しむ姿も見られます。
会場設営、悲喜こもごも
会場内には、食事処ブースや市内の病院から出張してきた医療ブース、水の無料提供場所などのほかに、スポンサーブースもあり、簡単なゲームやアプリの登録で景品がもらえる楽しみも用意されています。応援に駆け付けた、トレイルランナーでない人も飽きさせません。早朝から出張ってきているスポンサー会社のスタッフたちも、眠そうながらも会場を巡回したりして楽しんでいます。
食事処ブースでは、カンボジアの定番朝ごはんである「米麺の汁なし麺」や、「豚肉のせごはん」などを販売。冷える屋外では、温かい食事の提供があるのはありがたいですね。無料のコーヒーサービスは、朝の寒い時間の一番人気で長蛇の列でした。が、全員へ一巡した辺りで突然の停電。これによりコーヒーメーカーが動かなくなり、提供が止まってしまったのは非常に残念でした。同時にランナーの実況中継などを行っていたマイクも使用不可となり、最終的には拡声器でゴールを知らせるなど臨機応変に対応。次回は停電対策にも期待したいところです。
会場内には簡易トイレが2つ設置されています。男女共用ですがトイレットペーパー完備で、トイレ掃除のスタッフが専属でいるためか、思いの外清潔に保たれていることに驚き。今回の参加者が100名ほどだったので混雑は見られませんでしたが、今後の開催時に参加人数が増えた際には、トイレの数はもう少し増やした方がよいかもしれませんね。
エコ・フレンドリー3つのミッション
カンボジア初のエコフレンドリーイベント!と銘打って開催された当イベントでは、以下3つのミッションが大きく掲げられています。
1;プラスチックフリーのスポーツイベント
2;クーレン山をエコ・ツーリズムの観光地としていく
3;クーレン山で植林をする
会場内へのプラスチックの持ち込み不可!を強く謡っていて、登録時には、水筒は市販のペットボトルではなく、ステンレス製かリサイクル製品を使うように口頭でも指示を受けます。会場内の屋台でもプラスチック製の容器は使われず、食事処ブースでは、ご飯類はバナナの葉に包まれて提供されていました。
プログラムの最後には、会場にいる全員でプノン・クーレンに植林を行ないます。予め軽く掘られた穴に苗木を埋め、手で土をやさしくかけてあげて完了。
シェムリアップ市内からバスで片道約1時間で参加できるエコフレンドリー・トレックラン。早朝5時半の出発からお昼1時過ぎの解散まで、心も身体もプノン・クーレンの緑と、そして自然の風に癒されたひと時でした。自分で走るも良し、友達の応援に行くも良し、遺跡観光に疲れたら、こんな時間の過ごし方も良いかもしれません。次回の開催は、より大勢の参加者で賑わうことを祈って。そしてプノン・クーレンがエコツーリズムの観光地として、健全に発展していくことを祈って。
クーレン・トレイルラン;https://kulenmountaintrekrun.com/ (英語・クメール語)
2000年からカンボジアに住み着き、アンコール・ワットのお膝元シェムリアップにて生活。ゴミ箱にゴミを捨てる概念が無いことに驚愕した20年前から、スマートシティへ生まれ変わろうとする昨今までをカンボジアファミリーと共に過ごしてきました。最近の夢は、プノン・クーレンへキャンプに行き、満天の星を眺めながら珈琲を飲むこと。海外書き人クラブ会員https://www.kaigaikakibito.com/