4月後半から、今年の天文現象の見どころ第1ピークがやってきます。肉眼で見える惑星(水星、金星、火星、木星、土星)たちが夜明けまたは日没後に次々と昇っては消えていく、見応えのあるシーズンです。
まず、4月後半の日没後の西の空からご案内しましょう。
日没後の西の空で水星がすばると接近する
日没時刻は東京で18時半近くです。その後19時ごろ、薄明が残りますが、西の空に明るい水星が見えます。4月29〜30日前後には、おうし座のすばる(プレアデス星団)と接近します。水星の明るさは0等星とかなり明るいので、すばるはかすんでしまうかもしれません。視力に自信のある方は、すばるが見えるかどうか、いくつ見えるか、トライしてみてください。
双眼鏡を向ければ、かなりおもしろい図が見られると思います。
惑星は太陽の天の通り道である黄道の近くを通過していきます。そして黄道十二星座も、黄道上を通過していきます。そのため、水星に限らず、おうし座の肩のあたりに位置するすばるは、たびたび惑星と会合する機会があります。今回は、日没後の空で水星とのランデブーをお楽しみください。
また、この季節は、冬の華やかな星座たちが次々と西の地平線下に沈んでいくのが見られます。おうし座は後ずさりながら、オリオン座は前のめりに沈んでいきます。水星の等級が、ちょうどオリオン座のリゲルやぎょしゃ座のカペラと同じくらいです。明るさや色を比べてみてください。
明け方の東の空が月と惑星ラッシュ!
いよいよ惑星たちの共演が始まります。GW前、東京の日の出時刻は5時少し前です。薄明が始まる日の出1時間ほど前から東の空が大変賑やかなことになっています。4月25日の4時ごろの東京の空が下の図です。土星、火星、金星、木星がそろいます。
まず土星が昇って来ます。しかも月齢24の細めの月がすぐ近くにいます。明け方の、東の空に昇る月にはそれだけで幻想的な雰囲気がありますが、25日はすぐ近くに土星がいます。月はその翌日以降、だんだんと細くなりながら火星→金星→木星の下の方を通過していきます。28日には月齢27と、とっても細くなっているので、肉眼で見えるかどうか。
そして今回の主役は、金星と木星の大接近です。
金星は明け方に昇れば「明けの明星」、夕空にあれば「宵の明星」と呼ばれますが、その名のとおり、いつ見ても明るいです。そして木星も、街明かりがあっても見える明るい惑星です。この2つの惑星がランデブーします。金星がマイナス4.5等級、木星がマイナス2.5等級。どちらも全天一明るい恒星シリウスより明るい状態ですが、金星は木星の6〜7倍の明るさがあり、木星がかすむかもしれません。こんな木星、滅多に見られないと思います。
2020年12月21日にあった木星土星の大接近を覚えているでしょうか? 800年に一度と言われた大接近でした。今回はそこまでレアではありませんが、最接近距離が14分というのは、見かけ上の満月の半分ほどの近さ。ざっと計算すると10年に一度見られるかどうかの現象です。
見頃は日の出1時間くらい前の午前4時ごろからです。最接近は5月1日ですが、その10日くらい前から木星と金星がじわじわ近づいていくのが楽しめますよ。
また、双眼鏡を向けてみれば1つのフレームに、金星と木星が入ります。さらに、低倍率の望遠鏡で見れば、金星と木星のガリレオ衛星が1つのフレームに入る可能性大です。5月1日はちょうどガリレオ衛星が4つとも見えます。
次回ご案内しますが、5月6日にはみずがめ座η(イータ)流星群が極大を迎えます。今年のGWは惑星たちの接近で始まり、みずがめ座η流星群で締める。天文ファンには楽しみ倍増のGWになりそうです。旅の予定にぜひ明け方の天文観測も入れてください。あとは好天を願うのみ!
構成/佐藤恵菜