室内外問わず人気の燻製ですが、専用のギアがないと…、な〜んて思っていませんか?
じつは身近な道具で簡単に、あのスモーキーな世界を味わえちゃうのです!!
遊び気分で燻製を楽しもう!
燻製は、食材に木材を燃やした煙をかけて、特有の風味と保存性を持たせたもの。
「煙を発生させるには熱が必要。なので、器には必然的に熱に強い素材が必要ですが、あとは煙さえ閉じ込められれば、燻製ができちゃうんですよ」
とは、DIYからアウトドア料理まで、クラフト関係ならなんでもおまかせの長谷部雅一さん。大掛かりな装置で豪快に楽しむ燻製もいいが、今回はソロキャンプで楽しむミニマム燻製を伝授してもらった。
「燻製は遊びですから。実験的に楽しみながらやりましょう。ソロキャンなら失敗しても見ている人がいないわけだし(笑)」
とはいえ、ミニマムに仕上げるにはポイントがいくつかある。
「まずは煙が溜められること。高さがあるほうが煙も対流するので、ある程度の高さが必要」
器が小さいので燻煙材は基本、チップを使用。器も食材も水分をしっかり取っておく。
「水分が付着すると酸っぱくなっちゃいますから」
長谷部さんが用意したのは、キャンプでもおなじみのシェラカップに飯盒から、空き缶にポンプ(⁉)まで。
「最初はシェラカップで作ったタラコ燻製をつまみにビールで乾杯。で、2、3本飲んだら、その空き缶使って燻製機を作るでしょ。でもってハードリカーに替えて、味の濃い燻製作りながらチビチビやる。いや〜幸せ」
で、このポンプの行方は?
「ふふん。今までのは食材に火を通しながら煙をかける熱燻でしたが、これさえあれば、冷燻が楽しめるという、秘儀・スモークディフューザー!」
熱を加えず煙だけかけるという、レストランでも流行りのアレですね!!
「あくまで実験、ですから」
その効果はいかに! 興味のある方はぜひ、お試しあれ。
ITEM 1 チョイつまみに!
"シェラカップ"2個使いでチビチビおつまみ燻製
シェラカップ2個、100均の焼き網、BBQ用の厚めのアルミホイルを用意。
シェラカップ2個にアルミホイルを敷く。縁まで覆い、余った部分は切り落とす。
片一方の底にチップを敷き、焼き網をのせる。底が隠れる程度でOK。
食材をのせ火にかける。煙が出てきたらもう片方でフタをし色付くまで燻製する。
ITEM 2 横置きがポイント!
"飯盒"の形状を逆手にとったピザ窯型燻製機
飯盒、水切り網(飯盒よりやや大きめ)ペンチ、BBQ用の厚めのアルミホイル。
飯盒の内側にアルミホイルを敷き、飯盒に合わせ網を曲げる。
飯盒の凹みのないほうを下にし、チップを入れ食材をセット。
火にかけ、煙が出てきたら軽くフタをする。
熱がこもるので、溶けやすい食材は避ける。少しおいてから頂く。
ITEM 3 無風時に最適
"空き缶"ジョイント燻製機なら長物食材もへっちゃら
350㎖の空き缶3つ、食材を掛けるための針金、カッター、ニッパー、缶切り。
空き缶を切り、A上あり底なし、B上下なし、C上なしに。
下からC→B→Aの順ではめ込み、なるべく真っすぐになるように調整。
Cの中にチップを入れ、Aに食材を吊り下げた針金を通し、プルタブに引っ掛ける。
ストーブに網を乗せて缶を置き火にかける。色付くまで弱火でじっくり燻製する。
ITEM 4 冷燻の秘密兵器!
"風船用ポンプ"で流行りのスモークディフューザーを楽しむ
ダブルアクションポンプ(100均で購入)、密閉保存袋、ボトル型空き缶。
保存袋にトレーにのせた食材を、缶にチップを入れ火にかける。
後ろから吸い込める形が◎
煙が出てきたらフタをのせて煙を溜め、少し経ったらフタをはずしポンプで燻煙を吸う。
吸った煙を保存袋の中に注入し、膨らませる。食材は重ならないように広げておく。
10〜15分おく。香りが薄ければ再度煙を注入。香りだけ楽しみたいお刺身にも最適!
ミニマム燻製の極意
その1 煙が閉じ込められる容器ならイケる
その2 煙が全体に回るような構造を考える
その3 食材も器も水分をしっかり取ること
その4 熱で溶ける食材は避けるのが無難
教えてくれたのは…
アウトドアディレクター長谷部雅一さん
ネイチャーインタープリターでもあり、自然教育にも力を入れている。著書に『プロが教える親子キャンプ読本 アウトドアで子どもの感性を楽しく伸ばす』(メイツ出版刊)など。
※構成/大石裕美 撮影/山本智
(BE-PAL 2022年4月号より)