横浜市泉区・戸塚区を拠点に生態調査や里山保全活動を行なっている“ご近所生きもの観察案内人”の相川健志さん。今回は、身近な公園や川原などで見かけることの多い「テントウムシ」について案内します。
害虫を食べてくれる「ナナホシ」
今回は、普段よく目にする「ナナホシテントウムシ」にスポットを当てて観察してみました。ナナホシテントウは、名前の通り、背中に7個の黒い点のあるテントウムシです。
人間にとって有益な虫を益虫、害のある虫を害虫といいます。ナナホシテントウは益虫で、肉食性。幼虫も成虫も、害虫であるアブラムシを食べます。
アブラムシはカメムシの仲間で、ストロー状の口で植物の樹液を吸います。そんなアブラムシの近くでは、ナナホシテントウの成虫や幼虫をよく見かけます。
食欲旺盛なナホシテントウの幼虫
ナナホシテントウが実際にどのくらいはたらいているのか、実験観察してみました。
アブラムシのついてしまったイチゴ苗の近くで、捕まえたナナホシテントウの幼虫を5匹放しました。
すると、幼虫たちは苗の上を歩き回り、すぐにアブラムシを捕食開始。
幼虫を放して5日で、ほとんどのアブラムシを捕食してしまいました。
そして、アブラムシを壊滅させると、幼虫たちはどこかへいなくなってしまいました。
と思ったら、近くの木の葉の上でナナホシテントウの蛹を発見!ナナホシテントウの幼虫はアブラムシを捕食し、立派に成長していたのでした。
食害をもたらす「テントウムシダマシ」
すべてのテントウムシが益虫ではありません。
俗に「テントウムシダマシ」と呼ばれる、テントウムシの仲間の「ニジュウヤホシテントウ」がいます。彼らの特徴は、こちらも名前の通り、茶色い背中に28個の黒い斑点があります。
ニジュウヤホシテントウは、ジャガイモなどの葉を食害します。我が家では、ホオズキの葉がスカスカに食害されてしまいました。
「他虫のそら似」なテントウムシ
最後にナナホシテントウのそっくりさんを紹介します!
それは「ジュウサンホシテントウ」です。よ~く目を凝らしてください。ナナホシテントウに比べるとからだが細長いです。
そして、背中の黒点の数を数えると、1、2、3……13個!(名前の時点でネタバレしていましたが)
テントウムシといえば、その姿形をパッとイメージできる人も多いと思います。
でも、背中の模様や点の数、大きさ、形、食の好みなどは「十虫十色」です。
もし身近な場所でテントウムシをみつけたら、じっくり観察してみると、おもしろい発見があるかもしれません。