【その先のアパラチアン・トレイルへVol.4】
トラブル発生!
最初のトラブルは、フライトの4時間前でした。
出発時間が2時間遅くなるとの連絡から始まり、なかなか確定しない時間にもやもやしていました。いざ時間が決まり、出国ゲートを通過する頃には、アナウンスが流れてくる・・・。果たして、間に合うのか・・・!
なんと、席について5分後に飛行機が動き出すという恐ろしい状況でした。
さらに、経由地ダラスで1泊する予定になっていた私は、シャトルバスが来ず、3時間空港で過ごすことになり、ようやく着いたモントリオールでは、カナディアン・ポスト(郵便局)のストライキに合ってしまうという悲しさです。
今回、一般の宅配便を使わなければならず、郵便局の送料の約2倍の輸送コストがかかるため、3か所に送るはずの荷物を2か所に減らしたので、重い荷物を背負うことに・・・。
腕時計が…!
あぁ・・・と思っていると、スタート地点ガスペに向かう前日、時計が故障するというアクシデントが・・・。
標高も、気圧計も動かなくなったあげく、夜中にけたたましアラームが鳴りだし・・・。
その後は、ウンともスンともいわず壊れたのでした。
時計を買わなくてはならず、高度計や気圧の機能があるものを探すと400ドル超えという悲しい現実が・・・。
割り切って、アラームが鳴ればいいや、と、足を棒にして雨のモントリオールを半日歩き、ようやく見つけたタイメックスのセール品でした。これなら、アメリカで20ドルくらいで買えるのに・・・と思いながら50ドルの出費が・・・。
こんどはバスの時間が…!
よし、もう何もないだろう! ガスペにむけて行くぞ! と、意気揚々とホステルから2マイル離れたバス乗り場に向かうと、カウンターのお姉さんが、「ガスペ行きのバスはとっくに出たわよ!」と。まさかの展開でした。
「え?だってこれ時間じゃないの」とチケットを出すと、「こっちが時間なのよ」といって、別の部分を指さしたのです。
チケットはフランス語だったので、改めてみると僕の見間違いのようでした。うなだれていると、「明日は時間まで来てよ」といってチケットの時間を特別に変更してくれました。
ホテルも満室!
泊まる場所もなく、2マイルを再び歩きホステルに戻って、もう一泊追加をしようとすると、満室!
話によると、翌日に音楽イベントがあるそうで…。
ホステルのパソコンを借りて宿探しをすると、安い近場のホステルはすべて満室。唯一空いているホテルは1泊150ドル超え
という悲しさでした。
ホステルの人に教えてもらった安宿のリストを片手に片っ端から探すと、1軒だけ空きが!
ちょうど戻ってきたバス停から5分ほどのホステルでだったので、すぐに予約。でも、また来た道を2マイル歩く羽目に。
歩き出すと、雨まで降り出してきました。
雨の中、ずぶ濡れになりながら歩き、ようやくホステルを見つけた頃、雨は止むという悲しさに「あぁ何て滞在だ!?」と叫びたくなります。
ホステルに着いてから、ガスペで宿泊予定だったホステルのオーナー・ジルに事情を説明するメールをして、宿泊日を変更してもらいました。
ガスペの町へ
翌日、バスに乗り込むと、アナウンスはすべてフランス語。たまたま英語の出来る同じ方向を目指すカップルと知り合い、変更になったバスの乗り換えを無事に終わらせるとほっとしたのもつかの間、バスの到着予定が大幅に遅れそうな感じです。
ジルに連絡すると、当初タクシーを勧めていたのに、「高いから、ガスペにあるホステルに泊まったほうがいいよ!」とメールが来ていたのでした。
夜10時過ぎ、ガスペに到着したのですが、ジルの教えてくれたホステルを探すのに一苦労。
ようやくホステルに到着すると・・・・。スタッフの姿がない。
たまたま、ドミトリーの6人部屋に宿泊しているイギリス人のデビットが玄関に来てくれ「明日支払いすればいいんじゃない?」と言ってシーツやらバスタオルを出してくれました。
幸運だったことは、翌日ホステルに泊まっている全員が英語が話せなかったのを知ったからでした。
ビールで映画「ロングトレイル」を思い出す
翌日、ジルのいるホステルを目指してヒッチハイクをし、1回目の分岐で降ろしてもらったのですが、話によるとケベック州のこのエリアは、バイリンガルが40%、残り60%の人はフランス語しか話せないそうでした。
2回目のヒッチハイクは、歩いているときに声を掛けられたのですが、ホステルで知り合ったデビットがヒッチハイクで乗せてもらっていた車でした。運転手は英語がまったくできないので、少し不安に感じていたのですが、その予感は的中。
デビットは僕より早く降りるので後ろの席に座り、僕は助手席に乗ったのですが・・・・。
運転手は、なんと昼間からビール片手に煙草を吸いながら運転していたのです!
先に少しフランス語が話せたデビットを降ろすと、僕は彼と2人だけに。
ハンドル操作がどんどん危うくなるのに、次々にビールを空けては飲んでいる姿を見て、映画「ロングトレイル」でのヒッチハイクのシーンが浮かびます。僕がホステルの名前を連呼すると、「OK!OK!」というばかりです。
窓の外に見えた看板から、ホステルが通り過ぎたことを察し、「ここで止めてほしい」と何度も話したのですが結局、5kmほど離れたところでようやく止めてもらい、通り過ぎたホステルへの道を歩いて戻ることになってしまいました。。
もう、しばらくヒッチハイクはこりごりです。
歩いて戻り疲れ切った僕は、ホステルに入らず、目の前にあるピクニックテーブルにバックパックを降ろし、座り込みました。
もうこれ以上トラブルはないだろう・・・・。
そう思いたかった。
つづく
Profile 斉藤正史
山形県在住
LONG TRAIL HIKER
NPO法人山形ロングトレイル理事
トレイルカルチャー普及のため国内外のトレイルを歩き、山形にトレイルを作る活動を行う。
ブログ http://longtrailhikermasa.blog.fc2.com/
山形ロングトレイル https://www.facebook.com/yamagatalongtrail
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