イースターの意味とお祝い
少し前になるが、今年のイースターは4月17日の日曜であった。【イースター】とはイエス・キリストが十字架にかけられて処刑された日から3日目に復活したことを祝う【復活祭】のこと。キリスト教では生命の復活や繁栄、春の訪れを祝う日となる。欧米ではクリスマスと並ぶ家族が集まる大事な行事だ。
基本的には春分後の最初の満月の次の日曜となり、毎年ごとに日付が変わる。スイスの家庭では卵のオーナメントやチョコレートのウサギを部屋に飾りイースターを楽しむ。卵とウサギは生命誕生や子孫繁栄のシンボルとされている。
ナチュラルで安全な染色
卵の装飾は殻にカラフルな絵を絵の具で描いたり塗ったり、シールを貼る方法も人気。今回はナチュラルで安全な、たまねぎの皮の煮汁で卵の殻を赤く染めるスイスの伝統的な方法を紹介する。子供も一緒に楽しむことができ、創造力を鍛え豊かにしていく手助けとなるでしょう。
子供も楽しい染色の開始!
まずは近くの公園で、卵の殻に模様をつけるための葉っぱやお花を摘んでくる。子供たちは摘む作業だけでも楽しそうだった。
【用意するもの】
- 生卵
- ストッキング
- 葉っぱやお花などの植物(市販のバジルやパセリ、ルッコラ、ミントでも可)
- たまねぎの皮(外側の茶色い部分のみ)
- 卵を包むストッキング
ストッキングを約20cmくらいにカットし、端を片結びして留める。これを卵の数だけ作る。
余談だが、スイスでは古くからある2つのキリスト教が占めている。カトリックとプロテスタントだ。1970年代まではなんとスイス国民の98%がキリスト教であった。ここ数年で無宗教・信仰が27.8%と増加し、現在カトリックが人口の35.1%、プロテスタント23.1%。それでも国民の半分以上がキリスト教徒だ。信者は教会税を支払い、金額は州によって異なる。
上手に入れられるかな?
ストッキングに卵や葉、お花を入れ、位置を調整する。そしてまた端を片結びする。
お友達と一緒にたくさん包んだものが完成した。染色するとどうなるのか、実験のようでわくわくする。子供たちも楽しそうに包んでいた。包む卵は白でも茶色でも大丈夫。茶色の卵はより赤みが深まり素敵になる。
たまねぎの皮は、少し前から料理をする際に捨てずにためておく。スイスではイースター前に染色用のたまねぎの皮がスーパーマーケットで販売されていて、それを購入して使う人も多い。日本では見ない光景かと思う。
自然で安全、手作りの染色
大きな鍋に水を入れ、沸騰させる。そこへ、たまねぎの皮を入れ、お湯が赤くなってくるのを待つ。
わくわくの染色
卵を入れ、約15分茹でる。イースター前に保存がきくように固めに茹でるのが一般的だが、早めに食べることをおすすめする。
卵を取り出し、殻に色が付いていることを確認する。たまねぎの皮の量が少なく色づきが悪い場合は火を止め、お湯の中にもう数分浸けておく。
ストッキングから卵と葉やお花を取り出す。卵は模様の葉やお花の部分だけ白く残り、ほかの部分はたまねぎの皮の赤っぽい色に染まる。
子供の個性が光る模様
卵は、たまねぎの皮で染めているので、安心して食べることができる。素朴な色合いは穏やかで眺めているだけで落ち着く。昔の人々もこうやってイースターを楽しんでいたのかと想いを馳せてみた。
キャンプで子供と楽しむ卵探しと対決
毎年スイスの子供たちが楽しみにしているイベントが『エッグハント』だ。イースター当日に、装飾した卵を庭のあちこちや家の中に隠し、子供たちが宝探しのように見つけて遊ぶ定番のゲーム。見つけた卵は2人でカチンとぶつけ合わせて、どちらが先に割れるか戦わせてから食べる。
イースターでなくとも楽しめる、ナチュラルで安全な卵の染色。創造力をかきたてる工作遊びのひとつとして、お子さんと一緒に作ってみませんか。できあがった卵はキャンプに持っていき、卵探しをしてカチンとぶつけ合わせて対決したら、楽しみが増えますよ!