川の土手裏には漁師さんの休憩所らしき小さな建物がひとつ。「ちょっとお話聴かせてもらえませんか?」斉藤さんが小屋の中に入って行った。私も後に続く。中では、漁師さんがお茶、基、湯のみに入れたビールで休憩中だった。
もともと、この辺は鮭が遡上してくる場所ではなかったそう。それを漁師さんたちが、鮭が遡上できる環境に整えたのだとか。「近所の子どもたちの地域学習の場でもあるんだわ」そう話す漁師さんたちの顔は、寒さとアルコールでちょっぴり赤く、そして誇らしげだ。「お~い! お母さん! この人らにアレをあげて! 」漁師さんの一人にそう言われて入って来た奥さんの手には、秋の夕陽のようにまぶしく輝くモノが! 獲れたてほやほやのイクラだ!
少しすくって口にふくんでみる。艶々と張りのある皮は、口の中でプチンプチンと弾むようにはじける。イクラ自身の塩味が効いてまろやかな味わいが、ほわわんと広がる。正直なコトを言うと、魚卵があまり得意ではない私。なのだが、なんたるコトか・・・おいしい!! この獲りたてのイクラなら、とめどなく食べてしまえる気がする。今までの人生で食べたイクラはなんだったのか!? と、問いたくなった。
「本当に田んぼばかりだな~。ま、そこもいいんだけど」と、思っていた昨夜の私。だけど、何もないコトはなかった五泉市。そして、そこには五泉市の入口となるゲストハウス「五ろり」がある。きっとこれから、「五ろり」を通じて旅人と地域の人のいろんな輪ができていくのだろうなぁ。この鮭漁の漁師さんたちとの出逢いのように。
そんな輪の一員になるべく、あなたも五泉市の「五ろり」を、この冬、訪ねてみませんか?
※以上は、松鳥むうが泊まった時の情報です。諸事情により変更になっている場合があります。
五泉ゲストハウス『五ろり』
住所:新潟県五泉市別所1030
TEL:0250-27-1425
料金:3,600円/泊(素泊まり)、4,000円/泊(朝食付き)、4,800円/泊(2食分の材料費込み)
アクセス:JR五泉駅もしくはJR北五泉駅から市民バスで「村松駅」下車。「村松駅」から送迎あり。
URL: http://gorori.jimdo.com/
◎イラスト・文・写真/松鳥むう(まつとり・むう)
イラストエッセイスト
離島とゲストハウスをめぐる旅がライフワーク。今までに訪れたゲストハウスは100軒以上、訪れた日本の島は76島。その土地の日常のくらしに、ちょこっとお邪魔させてもらうコトが好き。著書に『島旅ひとりっぷ』(小学館)、『ちょこ旅沖縄+離島』『ちょこ旅小笠原&伊豆諸島』『ちょこ旅瀬戸内』(いずれも、アスペクト)などがある。http://muu-m.com/