薪を使い分けて一味違うキャンプ飯を!
せっかくのキャンプ、ガスではなく焚き火で調理をされる方も多いと思います。
外の美味しい空気を吸いながら、焚き火の音を聞いて食べるご飯は最高ですよね。
筆者は、ガイドの仕事をしています。その仕事の中で、よく江戸時代から残る茶屋に立ち寄るのですが、ある時、そこの店主さんに囲炉裏での薪の選び方や食材ごとの調理方法を伝授していただきました。
今回は、そんな昔からの知恵を使った、薪の選び方と食材による火のコントロール方法をご紹介いたします。
最適な薪を選ぶことで、ワンランク上のキャンプ飯を楽しんでくださいね!
基本的な火の起こし方
まずは、基本的な薪での火の起こし方について説明します。
乾燥した枯れ葉、なければ新聞紙などをくしゃっと丸めて、焚き火台の中央に置きます。
丸めることで、空気が紙の中に入り込んで燃えやすくなります。
次に、枯れ葉や新聞紙の周りを囲むように、小枝や木片を並べます。この時も、風が通るようにぎゅうぎゅうに詰めすぎないように気をつけます。
次に、中の枯れ葉または新聞紙に火を付け、小枝や木片に火が燃え移るまで待ちます。
ここまでが、薪で火を起こす準備段階です。
ここから、薪の種類や火をコントロールしながら、料理に適した焚き火を作っていきます。
火の強さや火持ちで選ぶ薪の種類
店主さん曰く、細かい薪の種類を使い分けるより、まずは針葉樹と広葉樹の違いを理解するべきだということです。
この2種類を使い分けることができれば、大体の火はコントロールできるそうです。
ということで、今回は針葉樹と広葉樹の薪の違いをご紹介していきます。
針葉樹系
針葉樹とは、葉っぱが細くて長い樹木のことで、手に入れやすい種類としてはスギやヒノキなどが挙げられます。
これらの薪は、非常に軽くて火がつきやすいため、着火が早くて激しく燃えます。
小枝や木片に火が移ったら、スギやヒノキなど着火しやすい針葉樹系の太い薪を焚べていきます。
ちなみに、ヒノキは非常に燃えやすいため、昔から松明などに利用されてきました。一気に炎を上げたいときには、使ってみるといいかもしれません。
広葉樹系
広葉樹とは、針葉樹と違って葉っぱが大きく面積が広い樹木のことで、薪によく使われる種類ではサクラ、栗の木、ケヤキなどがあります。
広葉樹の薪を持ってみると、圧倒的に針葉樹系の薪よりも重いのがわかります。
密度が高く火が着きにくいため、針葉樹系の太い薪に火が移ったら、これら広葉樹系の重たい薪を焚べて、じっくりと火を移していきます。
広葉樹系の薪は、着火は遅いが火持ちが良いというメリットがあります。一度火が移ってしまえば、頻繁に薪を追加しなくても大丈夫です。
これらの薪は、次第に燃え盛る炎が落ち着き「熾火(おきび)」という状態になります。
「熾火」とは、炎ではなく薪の芯の部分が赤く燃えている状態のことです。炎より長持ちする上に、実際の火よりも高温であるため、料理に最適です。
食材によって薪火をコントロールしよう
次は、実際に薪の種類で火をコントロールして、食材に合わせた美味しい焼き方を見ていきましょう。
今回は、店主さんに実際に調理方法を教わりながらご馳走していただいた、魚と餅をご紹介します。
本格キャンプで食べたい食材として、常に上位に食い込んでくる人気食材。ぜひ焼き方を覚えて、最高のキャンプ飯を楽しんでください!
釣った魚
本格キャンプでは、釣ってきた魚をその場で焼いて食べるのが、楽しみの一つですよね。
まず、釣ってきた魚は、内臓を取り除いて塩を軽く振り、串刺しにします。そうすることで、焼いている最中に魚の体が反ってしまうのを防ぎます。
焼き方ですが、魚は炎でしっかり焼き目を付けながら焼くことで、皮まで美味しく食べることができます。
そのため、スギやヒノキなど燃えやすい種類の太い薪をセットします。細い薪にしてしまうと、途中で火が切れてしまう可能性があるため、ある程度火持ちの良い太めの薪を選ぶようにしましょう。
薪に火がついたら、魚が火で炙られるギリギリのところに串をさします。
あとは、火吹き棒で炎を切らさないようにして、両面をじっくり焼けば完成です。
魚を焼くときは、何度も表裏をひっくり返さないことが、美味しく焼くコツです。
昔のことわざに、「魚は殿様に焼かせろ」というものがあります。
焼き魚は、何度もひっくり返すと身が崩れてしまったり、パサパサな食感になってしまったりします。
片面を一度ずつゆっくりと焼くために、殿様のようにドンと構えて、我慢強く待ちましょう。
お餅
続いては、キャンプで人気のあるお餅。
お雑煮の中に入れたり、甘醤油につけて日本酒と合わせたり、その楽しみ方は千差万別。
お餅を焼くときは、熾火を作ってゆっくりと火を入れることが大切です。
火持ちする広葉樹系の薪をセットして、熾火の状態になったら、網を置いてお餅を乗せます。
熾火は、炎どころか煙もあまり出ないため、お餅が煙っぽくならずに美味しく焼くことができます。
筆者の好きな食べ方は、醤油漬けにした二度焼きです。
お餅がプクッと膨れてきたら、一度火から上げて、醤油に浸してから再度網に乗せます。
3分程両面を焼いたら、海苔に包んでそのまま食べます。
ちなみに、お餅は魚と焼き方が真逆で、何度もひっくり返しながら焼き、焦げないように気を配る必要があります。
おしゃべりに夢中になって、お餅を焼いていることを忘れて焦がさないように気をつけましょう。
薪の種類にこだわって原始的な本格キャンプを!
いかがでしたか?今回は、大きく針葉樹と広葉樹に分けてご紹介いたしましたが、細かくは木の種類によっても燃え方や香りは異なります。
また、食材ごとに美味しい焼き方が変わります。
薪火のコントロールをマスターして、原始的でワンランク上のキャンプを楽しんでくださいね!