夏のキャンプにおいて、熱中症を予防する暑さ対策は重要です。しかし、それは車中泊も例外ではありません。車中泊でできる暑さ対策のアイデアや便利グッズ、注意点を解説します。暑さ対策の正しい知識を知って、安全で快適な車中泊を行いましょう。
車中泊でのエンジンのかけっぱなしはNG
車中泊中は、エンジンを使ってエアコンをかけるのが手っ取り早いと思う人もいるでしょう。しかし、マナーや安全面からエンジンのかけっぱなしはNGです。その理由を詳しく解説します。
騒音トラブルや一酸化炭素中毒の危険がある
夜のキャンプ場は、思ったよりも音が響きやすいものです。いつもは気にならないエンジン音も、夜のキャンプ場においては他の人の迷惑になることがあります。お互いに気持ちよくキャンプをするためにも、夜間はエンジンを切るだけでなく、ドアの開閉もできるだけ避けた方が良いでしょう。
また、エンジンをつけっぱなしにすると、排ガスが車内に逆流して一酸化炭素中毒を引き起こす可能性もあります。排ガスの逆流は、主に冬場に雪がマフラーを覆ってしまうことが原因で発生しますが、夏に起きてしまう可能性もゼロではありません。安全面からも、車中泊ではエンジンを切っておきましょう。
車中泊でできる暑さ対策
車中泊でできる暑さ対策には、どのような方法があるのでしょうか。夏の車中泊でできる暑さ対策のアイデアを2つ紹介します。
標高が高い場所や日陰を選ぶ
一番の暑さ対策は、標高の高い場所でキャンプをすることです。標高が100m高くなると、気温が0.6度C下がるといわれています。例えば、地上の気温が30度Cのとき、標高1000mの場所なら24度Cです。場所選びを工夫するだけで、快適に過ごせることがわかるでしょう。
一般的に、快適に寝られる気温は、夏は25〜27度Cといわれています。地上の気温が30度Cなら、標高500〜700mくらいがちょうど良いでしょう。また、標高だけでなく、湿度が低い場所を選ぶのも有効です。標高が高くなくとも、日陰があればそこで車中泊するのも十分に効果があります。
風通しをよくする
夏の場合、車内温度が50度Cを超えることも珍しくありません。そのため、通気性を確保して熱気を逃すことも重要です。風を感じるだけでも、体感温度は下がります。
おすすめなのは、両側の窓とハッチバックを開けることです。しかし、窓や扉を開けっ放しにするのは防犯や虫対策の観点から不安が残るでしょう。そのときは、手を入れられない程度に開けたり、グッズを使ったりするなどの工夫をすることがポイントです。
車中泊におすすめの暑さ対策グッズ
ここからは、アイテムを使った暑さ対策を紹介します。場所選びや通気性の確保と併せて行えば、より効果が大きくなるでしょう。
車内を直接冷やす扇風機・ポータブルクーラー
扇風機やポータブルクーラーは、車内の温度を直接下げるのに役立ちます。エンジンが使えない車中泊においては、電源の確保が課題となるので、USB充電式のものがおすすめです。日中に充電しておけば、夜通し使えるものも多く販売されています。
扇風機とポータブルクーラーを併せて使えば、冷たい風を車内に循環させられるので、より効果が見込めるでしょう。
なお、ポータブル電源を購入すれば電源の心配はなくなります。ポータブル電源は扇風機以外にも、さまざまなデバイスに給電できるため、キャンプ上級者を目指すなら持っておきたいアイテムでしょう。
虫よけにもなるシェード・カーテン
直射日光によって、車内温度は大きく上昇します。そのため、日中からシェードやカーテンをかけておき、温度を上げない工夫が必要です。シェードやカーテンは、フロントガラスだけでなく、できれば全ての窓に取り付けるのが望ましいでしょう。
シェードやカーテンは、目隠しにもなるので、プライベートな空間を確保したいときにも活躍します。網戸と併用すれば、虫よけにもなってより便利になるでしょう。
寝るときにひんやりする冷感敷きパッド
暑さから、寝るときに寝袋を使わない場合もあるでしょう。そのときは、冷感敷きパッドを使うのがおすすめです。冷感敷きパッドは肌触りがよく、触れるとひんやりして就寝中の寝苦しさ解消に役立ちます。
保冷枕と併用すると、より効果アップします。ただし、冷感敷きパッド自体は薄く、車に敷くとまだ固く感じてしまう可能性があるため、ある程度厚みのあるマットや布団の上に敷くのがおすすめです。
一工夫で効果抜群のハッカ油・冷却スプレー
冷却スプレーはよく知られた暑さ対策ですが、ハッカ油を水に混ぜて体に吹きかけるのもおすすめです。ハッカ油はドラッグストアで入手できます。100円均一ショップなどで売っているスプレーに水とハッカ油を混ぜ、体に吹きかければ、スースーして快適に過ごせるでしょう。
また、ハッカ油は虫よけ効果もあるので、虫よけスプレーの臭いが気になる人にもおすすめです。ハッカ油を混ぜた水を含ませたタオルを枕がわりにするのも、ひんやり感を味わえます。
車中泊の注意点
車中泊をする際の注意点を3つ解説します。車中泊をするときは、暑さ以外にも気をつけるべきポイントがいくつかあります。楽しい車中泊にするために、以下の内容をしっかりと押さえておきましょう。
道の駅やSA・PAでの宿泊は原則NG
道の駅やSA・PAでは、宿泊はできないと思っておいた方が良いでしょう。これらの場所では仮眠は認められていますが、宿泊はNGであることがほとんどです。仮眠と宿泊の線引きは難しいですが、良心に従って行動すれば問題はありません。少なくとも、キャンプ行為は禁止です。
ただし、一部の道の駅では車中泊が認められている場合があるので、気になる場合は調べてみましょう。ほかには、RVパークなど有料の駐車施設ならドライバーにとってうれしい設備がそろっているので、おすすめです。
こまめに水分補給をする
暑さ対策と合わせて、水分補給も大切です。喉が渇いたと思ってからでは、すでに熱中症になりかけている可能性があるので、時間を決めてこまめに補給すると良いでしょう。発汗による塩分不足も考慮し、塩分キャンディや経口補水液を摂取するのもおすすめです。
せっかくのキャンプなので、お酒を飲みたい人もいるでしょう。しかし、アルコールには利尿作用があり、脱水症状を来す恐れがあるため、飲みすぎないように注意が必要です。
虫対策も忘れずに行なう
夏のキャンプでは、虫対策も欠かせません。山には都会では見ない虫も存在するため、いつもより警戒しておくべきでしょう。窓を開ける場合は、網戸を取りつけるのが効果的です。
高圧の電流で虫を殺してくれる、『電撃殺虫機』というハイテクなアイテムもあります。薄手の長袖を着たり、虫よけスプレーをつけたりするのも効果的です。
まとめ
車中泊をするときは、マナーや安全面からエンジンをかけっぱなしにすることは避けましょう。夜のキャンプ場は音が響きやすいので、ドアの開閉音もできるだけ控えたいところです。
夏の車中泊で暑さ対策をするなら、まずは標高の高い場所を選ぶことが一番のポイントです。涼しいところでキャンプをすれば、ほかの暑さ対策は不要かもしれません。ほかにも便利グッズを使ったり、窓を開けて風通しを良くしたりなどの工夫ができます。
なお、道の駅やSA・PAでの宿泊は原則禁止です。キャンプ場以外での車中泊を考えているなら、有料の車中泊スペースの利用がおすすめです。この記事を参考に、ぜひ快適な車中泊を。