
日本海に面した石川県の千里浜にて、波打ち際にキャンピングカーを停めて「チルタイム」。
日本海で夕陽ハント
旅に出ると、つい夕陽ハントしてしまう「夕陽好き」な私です。そろりそろりと夜がやって来る、あの独特な空気感がたまらなくいいのです。そうそう、朝陽を狙うとなると早朝というか夜中からゴソゴソ動き出したり、ハードルが高すぎるイメージですが、夕陽の場合は「のんびり」。そこもいい。一日活動して、気づいたら夕方になっていて、そんなときに美しい夕陽が見られたら最高じゃないですか。余談ですがサーフィンも断然「夕暮れサーファー派」です。
日本海は極上の夕陽スポットがいっぱい。今回は能登半島の東側と西側の両方を満喫!
まずは東側からご紹介。
富山県・雨晴海岸

雨晴は「あまはらし」と読みます。富山県高岡市の北部に位置する美しい海岸は、万葉集にも詠われました。
山また山の岐阜県新穂高を15時ごろに出て、日本海側の雨晴海岸に着いたのは18時ちょっと前でした。夕陽ハントするのに完璧な時間です。「道の駅雨晴」にキャンピングカーを停めて(無料)、さっそく見つけに行きましょうか。

1時間に1~2本の電車が通るJR氷見線です。味わい深い踏切を渡って海岸線に向かいます。伸びた影がいい感じ!

春の日本海は湖のようにとても穏やか。
「雨晴海岸に夕陽を観に行きたい」と夫に言ったら、金沢出身の彼は「逆じゃないの?」と驚いた顔をしていました。つまり、東側を向いている雨晴海岸は、朝陽を見る場所ではないか、というのです。
いやいや、必ずしも海に夕陽が沈む必要はない、と私は答えます。刻々と変わる空の色を楽しんだり、なにより雨晴海岸には海越しに3,000m級の山々が望めます。そういう場所は世界的にも珍しく、イタリアのベネチアから見えるアルプス山脈。チリのバルパライソ市からのアンデスの屋根。そして雨晴海岸からの立山連峰。その3か所しかないそうです。屏風のように立ちはだかる立山連峰に、ちょうど夕陽が当たるなんて、ステキじゃない。

背後に沈み行く、この夕陽に山々が照らされるのですよ。

少し空気中の湿気が多かったものの、ピンク色に染まった立山連峰を望むことができました。
今回、行き当たりばったりで夕陽ハントしに雨晴海岸にやって来ましたが、さすがGW。たくさんの観光客が同じように夕暮れを楽しんでいました。

私もこのなかに混ざって写真を撮ったのです。
と、そこにオレンジ色のJR氷見線が! 一斉にシャッターを切る音が聞こえます。1時間に1~2本しか来ない貴重なタイミング。イベントごとに出くわしたみたいで、なんだか私までワクワクしてきました。

海岸沿いに絶景のなかを走る氷見線と、夕陽に照らされた立山連峰と日本海。いい時間でした。

集団から離れましたが、私たちの夕暮れ散歩は続きます。

この日9歳になった長男と、3歳の次男。「そういえばお母さんは夕陽が好きだったなー」と、子ども時代をいつか懐かしく思い出してくれたらうれしい(笑)。
道の駅雨晴

2018年にオープンした「道の駅雨晴」。おしゃれな建物です。建物の隙間から覗く夕陽をゲット!
地元産の食材が味わえるカフェや、地元のクラフト作家作品や地酒や銘菓などが手に入るギフトショップがある「道の駅雨晴」。施設自体は18時までだったので閉まっていましたが、展望デッキは24時間開放されています。

ちょっと高い場所から見える景色もよかったです!

雨晴海岸のシンボル「女岩」。周囲の小さな岩が“母親とたくさんの子ども”のように見えることからそう呼ばれているそうです。
●施設情報
道の駅雨晴
https://michinoeki-amaharashi.jp
夕陽が気持ちよくてつい長居してしまいました(夕陽ハント「あるある」笑)。当初予定していた和倉温泉までたどり着かず、近くのスーパーで惣菜と昆布締めされた刺身などを買ってその日を終えました。
富山グルメのキャンパーごはん

富山といえば「白エビ」。ちょうど漁の最盛期で、地元のスーパーにはかき揚げ、南蛮漬けなどの惣菜が売られていました。濃厚でおいしい!

子どもたちにはレンチンしたレトルトカレーに「白エビコロッケ」を載せました。もちろん「爆食い」です。

富山の郷土料理といえば「昆布締め」。大好物で東京でも魚に昆布を巻いてよく作りますが、富山のスーパーでは数種類の昆布締めが常時並んでいます。
翌日は逆側の千里浜で夕陽ハント

観光バスやオートバイが砂浜を走るこの景色をはじめて見たら衝撃ですよね! 次男も大興奮していました。
日本で唯一クルマで砂浜を走ることができる、千里浜なぎさドライブウェイ。のと里山海道の千里浜ICと今浜ICとの間に8kmに渡る観光道路は、能登半島を代表する旅先のひとつです。
この海岸の砂粒は、一般的な砂浜の半分程度とキメ細かいそうで、波打ち際は海水を吸ってまるで舗装道路のように固くなります。だからバスでもオートバイでも自転車でも走行OK。25年くらい前、はじめて訪れた私は、その開放感あふれる景色に感動してしまいました。
この日は朝からトレッキングをしてのんびり過ごし、15時過ぎに遅いランチを食べて千里浜に向かいました。到着したのは16時半くらいだったと思います。夫いわく「夕陽を眺めるならここ!」という西側を向いた海岸です。

波打ち際にクルマを停めました。通行の妨げにならなければどこに駐車してもOK。
私はコーヒーを淹れて。その傍らで長男は日記を書いていました。大きく開け放った窓からは潮風。ハイ、私たち究極のインドア派です(笑)!

夫なんてラップトップを出して、いきなり仕事を始めましたから。
でも、それにはわけがあって、砂浜には観光バスやらオートバイやらビュンビュン走っている。子連れで外に出るのはかなり危険なのです。
そのわりに皆さん「砂浜をクルマで走れるから」と、見るからに大胆になっており、大人数でBBQしていたり、小さい子どもをちゃんと見ていなかったり、怖いなーと思ってしまった。
だからキャンピングカーを波打ち際すれすれに停めて、窓を大きく開けて、潮風を感じるのが、この場所の極上の楽しみ方なのかな、と思いました。車内には子どもたちの急な「おしっこー!」に対応するトイレもありますしね。

このあと金沢の義理実家に2年半ぶりに向かいました。着いてスグ洗車したのはいうまでもなく……。
波打ち際から少し内陸に寄った浜では、砂が締まっておらずスタックしているクルマも見かけました。行かれる方は気をつけてくださいね。
雨晴海岸か千里浜か、皆さんはどちらの夕陽がお好みでしょうか。「そこに夕陽があれば」ニコニコな旅人の私は、甲乙付けられないほど両方の海岸線が気に入ったし、両方オススメです!
