5月の終わりから6月にかけて、道端や庭でよく見かけるようになる「ドクダミ」。とても繁殖力が高く、匂いもきついので、手のかかる雑草として厄介者扱いされることも多いかもしれません。しかし、東洋医学では効能があるとして古くから薬草として用いられてきた植物です。
ドクダミが群生するこの時期に、筆者が毎年作るのが「ドクダミチンキ」です。チンキとは、ハーブをアルコールに漬けて有効成分を抽出したエキスのこと。この「ドクダミチンキ」、夏の虫刺されのかゆみ止めをはじめ、スキンケアやボディケアなど、幅広く使うことができます。
「ドクダミチンキ」を作るのは、ドクダミが生い茂ってくる5月の終わりから6月にかけて。ドクダミの花が咲く時期の採取が、最も薬効が強いのだそうです。自宅や知り合いのお宅の庭先にドクダミが生えているという方は、ぜひ作ってみませんか?
「ドクダミチンキ」を作るのに必要な材料は3つだけ
「ドクダミチンキ」を作るのに必要な材料は、ドクダミ・アルコール(今回は35度のホワイトリカーを使用)・保存瓶の3つだけです。チンキは、アルコール度数の高いお酒を使って作るので1~2年の保存が可能です。
それでは、さっそく作ってみましょう!
ドクダミを採取する
庭先にドクダミが生えていればすぐに採ることができますが、筆者の場合は庭がないため、友人宅の庭からわけてもらいました。ドクダミは5月の終わりから6月にかけてグングン繁殖するため、草抜きも兼ねて「どんどん持っていって~」と喜ばれることが多いです。
車通りの多い場所は排気ガスで汚染されてしまっている心配があったり、犬の散歩ルートになっている場所などは糞尿がかかっていることも考えられますので、避けたほうがいいかなと思います。
また、雑草扱いされがちなドクダミですが、人の家の庭先などから勝手に採取することは控えましょう。
ドクダミを水洗いし、水気をしっかりとる
まずは、ドクダミについている土やゴミ、虫などを洗い流すため、水洗いします。水洗いをしたら、大きめのザルに広げて干したり、風通しの良い場所に吊るすなどして、しっかり水気を取り、乾燥させます。
水分が残っているとカビの発生の原因にもなるので、しっかりと水気を取りましょう。
花と葉に分けて瓶に入れる
今回は「葉っぱのチンキ」と「花のチンキ」の2種を作るため、ドクダミの花部分と葉の部分に切り分けます。切り分けるのが面倒な場合は一緒に漬けてもかまいません。
煮沸消毒して、しっかり乾燥させた保存瓶にドクダミを入れていきましょう。
ドクダミの花は白い部分と思いがちですが、実は中心の黄色い部分が花です。白い花びらのように見える部分は葉に近い「総苞(そうほう)」と呼ばれるもの。ドクダミに花弁はなく、黄色の部分がたくさんの花の集合体であり「花穂(かすい)」と呼ばれます。
アルコールを注ぐ
保存瓶にドクダミを入れたら、アルコールをひたひたまで注ぎます。アルコールは、エキス抽出だけでなく防腐のためにも、果実酒用のホワイトリカーやウォッカなど、35度以上のアルコールを使用します。
「ドクダミチンキ」の完成!
漬けて数日は1日に1度、瓶を振ってドクダミとホワイトリカーをなじませます。ドクダミが空気に触れていないかもチェックしてくださいね。
1か月~3か月ほど冷暗所で保管して「ドクダミチンキ」の完成です! 葉っぱ、花を取り除いて保存します。
「ドクダミチンキ」の使い方
・虫よけ、かゆみ止めに
蚊に刺されたところに、かゆみ止めとしてドクダミチンキの原液を塗ります。筆者はロールオン容器に入れて持ち歩いています。虫刺されか所にサッと塗ることができて便利です。また、スプレーボトルに入れて吹きかければ、虫よけにもなります。
蚊に刺されると、刺された箇所が赤くなり跡に残りやすいのですが、このドクダミチンキを塗ると、虫刺されの跡が軽くすんでいるように感じています。肌に使用する際は、念のためにパッチテストを行ってください。使用感には個人差がありますので、初めて使う場合やアルコールに敏感な方は様子をみながら使用してくださいね。
・スキンケアに
ドクダミチンキを精製水で薄め、お好みでグリセリンを加えれば化粧水に。ドクダミには美白効果があると言われています。
・入浴剤として
お好みの量をお風呂に入れて薬草風呂を楽しむのもおすすめです。身体がポカポカしますよ!
これから本格的な夏を迎えると、キャンプなどアウトドアでも蚊との戦いに…。そんなとき、自分で作ったかゆみ止めがあると、少しは楽しい気分になるのではないでしょうか。季節の手仕事、「ドクダミチンキ」を暮らしに取り入れてみませんか?