メンデンホール氷河へと至るトレイルは、途中で急斜面を登ったり、濡れて滑りやすい岩場を慎重に下ったりと、何気に油断できない道程です。このルートで氷河を訪れるなら、ガイドか土地勘のある人に案内してもらった方が安心できるでしょう。
「1996年の時点ではここまで氷河に覆われていた」という標識。トレイルの途中にはこうした標識がいくつも立てられていて、地球温暖化の影響でわずかな年数のうちに急速に氷河が後退してしまっていることを、実感として感じ取ることができます。
3時間ほど黙々と歩き続けて、ついに目の前に現れた、メンデンホール氷河。その圧倒的な大きさと、鮮烈な青を湛えた氷の襞に、しばし言葉を失いました。氷河の上を渡って吹く風が、肌を切り裂くような冷気を運んできました。
【南東アラスカの旅1】
【南東アラスカの旅3】
【南東アラスカの旅4】
【南東アラスカの旅5】
【南東アラスカの旅6】
【南東アラスカの旅7】
【南東アラスカの旅8】
【南東アラスカの旅9】
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
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