巨大な氷の裂け目のふちに、ガイドさんがペグを打ち込んで、ザイルをつけた状態で裂け目をのぞきこめるようにしてくれました。この写真は、僕の撮影中にガイドさんが撮ってくれた1枚。のぞきこんでも、まったく底の見えないクレバスで、肝を冷やしました。
氷河の上を流れる細い水流は、時にこんな不思議な風景を作り出します。
いったん氷河の上から降り、別の場所から地面と氷河の間の隙間を滑り降りていくと、そこには、信じられないほど青い光に包まれた、氷の洞窟がありました。氷河の底を流れる1本の細い川が、このような神秘的な世界を生み出したのです。
地球温暖化の影響で、現在も急速に後退を続けている、メンデンホール氷河。今回訪れることのできた氷の洞窟も、あと何年か経てば消滅してしまう可能性も少なくありません。その原因に少なからず関与してしまっている人間の側にいる者として、あらためて考えさせられることの多かった体験でもありました。
【南東アラスカの旅1】
【南東アラスカの旅2】
【南東アラスカの旅4】
【南東アラスカの旅5】
【南東アラスカの旅6】
【南東アラスカの旅7】
【南東アラスカの旅8】
【南東アラスカの旅9】
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
http://ymtk.jp/ladakh/