森の中をしばらく歩いていると、少し開けた場所に出ました。このあたりは一面の湿地帯で、細いトレイル伝いでなければ歩くこともままなりません。まるで原初の世界の荒野のような光景が続きます。
「シトカ富士」とも呼ばれる、エッジカム山。美しい稜線を持つその姿をしばらく堪能したあと、ほどほどのところでトレイルを折り返して、岸辺の小屋に戻ることにしました。
帰り道、気まぐれに流れる雲の隙間から、光の柱が降り注いでいました。こうした光は、「天使の梯子」とも呼ばれますね。
クルーゾフ島の小屋で過ごした数日間は、僕にとって、何物にも代えがたい貴重な経験となりました。米国の森林局の小屋を借りて寝泊まりすると聞くと、ハードルが高いように感じられるかもしれませんが、事前の手配は旅行会社などに代行してもらうことも可能です。普通に旅していたのではなかなか味わうことのできない、南東アラスカの自然にどっぷりと包まれて過ごす体験をしてみてはどうでしょうか。
【南東アラスカの旅1】
【南東アラスカの旅2】
【南東アラスカの旅3】
【南東アラスカの旅4】
【南東アラスカの旅5】
【南東アラスカの旅6】
【南東アラスカの旅7】
【南東アラスカの旅9】
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
http://ymtk.jp/ladakh/