シトカの街の中心部から少し北に歩いた場所にある、共同墓地を訪れました。ここはロシア人の共同墓地となる以前、この地に暮らしていたクリンギット族の神聖な墓地でもありました。かつては荒れ果てていたこの墓地を、星野さんの友人でもあるクリンギット族のボブ・サムさんが手入れをして守り続けていったエピソードは、星野さんの著書にも何度か登場します。
シトカの街の北、ハリバット・ポイントと呼ばれる小さな公園内の海に面した場所に、星野さんを記念するトーテム・ポールがあります。このメモリアル・ポールが建てられたのは2008年。1996年に亡くなった星野さんの命日、8月8日のことでした。一番下でカメラを手に持っているのが星野さん。その上に、下からワタリガラス、カリブー、クジラ、グレイシャーベアが彫られています。
微風とともに穏やかな波の打ち寄せるこの海辺で、星野さんのトーテム・ポールは、日本の方角を見やりながら、今もそっと佇んでいます。
【南東アラスカの旅1】
【南東アラスカの旅2】
【南東アラスカの旅3】
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【南東アラスカの旅5】
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【南東アラスカの旅7】
【南東アラスカの旅8】
◎文/写真=山本高樹 Takaki Yamamoto
著述家・編集者・写真家。インド北部のラダック地方の取材がライフワーク。著書『ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]』(雷鳥社)ほか多数。
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