BE-PAL本誌の取材でしまなみ海道へ
梅雨に入るちょっと前、しまなみ海道へ行ってきました。私はオートバイで、編集YさんとカメラマンMさんはクルマで。本州は広島県の「尾道」をスタートして四国は愛媛の「今治」まで行こう! という内容の取材でした。
「瀬戸内しまなみ海道」とは
「しまなみ海道」の名で広く知られている「瀬戸内しまなみ海道」ですが、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ全長約60kmの自動車専用道路(高速道路)です。橋のほとんどに原付道(125cc以下)、自転車歩行者道が併設されています。橋で島に渡るたびに一旦降ります。一般道を通って次の橋に向かうため、総距離は約80km。クルマより長いんですね。
そんなしまなみ海道、自転車で走りつつ本州から四国に渡れる唯一の橋として、サイクリストに大人気の道でもあります。「サイクリストの聖地」なんていうふうにも言われていて、道中たくさんのロードバイク乗りを見かけました。
ほぼ「ソロツーリング」!?
今回レンタルした125cc(原付二種)では高速道路を走れません。ということで橋に併設されている「原付道、自転車歩行車道」を通って橋を渡ります。取材車とは現地集合。つまり、久しぶりの「ソロツーリング」!
4歳と9歳の元気すぎる息子たちがいる、ある意味「身重」な私です。こんなコトがない限り、なかなかソロツーリングなんてできません。しかも、しまなみ海道なんて東京から離れた贅沢な場所で。
首からぶら下げたカメラで「タイムラプス」撮影をしました。それぞれの島や橋には特徴があり、眺めているだけでも楽しかったです。本州は広島の尾道からゴールの四国は愛媛の今治までルート通り写真を掲載しますね。125cc以下で走る際の注意点やポイントなども載せます。
尾道→向島
尾道から向島に渡る「新尾道大橋」には、自転車歩行者道がありません。国道317号の「尾道大橋」は通れますが、安全のため目の前の向島にはフェリーで渡りました。ママチャリに乗った学生さんや、原チャリに跨った地元と思しき女性に混ざって列に並びました。目の前には真っ青な瀬戸内海。彼らは毎日この景色を見ているのでしょう。こんな生活もあるのだなぁと、そこはかとない旅情を感じつつ乗船しました。「あっ!」という間に向島に着きました。
向島(むかいしま)
対岸の尾道と密接な関係で栄えた島で、造船の島でもある。温暖な気候の丘陵地で柑橘の栽培や漁業も盛ん。島の周囲は約28km。
クルマは高速道路を走れるのですが、125cc以下は一般道に降ろされます。つまり島ののんびりした空気をたくさん味わえる時間があるのです。
ブルーライン
向島→因島
今だって十分に素朴な島々ですが、橋が架かるまではいったいどんなだったのだろう?想像しながら走りました。
因島(いんのしま)
造船業と除虫菊の栽培が盛んで、「囲碁の島」としても有名だそうです。因島大橋は1983年に本州四国連絡橋の最初の吊橋として完成。中央支間長770mは完成当時は日本最長だったとか。
因島→生口島
生口島(いくちじま)
漁業(タコが有名)、造船、柑橘の島。とくにレモンは出荷量日本一で「レモンの島」という別名もあります。また「島ごと美術館」をコンセプトに現代彫刻家の屋外作品を島中に設置。そんな「アートの島」であちこちにある作品を見つけるのもいいですね。ここまで「広島県尾道市」で、次の大三(おおみ)島からは「愛媛県今治市」になります。
生口島→大三島
▲自転車歩行車道乗り降りの注意▲
私だけでしょうか。生口島から大三島への自転車歩行車道がとてもわかりづらく、行きも帰りも間違えてしまいました。関西弁の親切なサイクリストさんに誘導していただき(ありがとうございます)、旅人同士の触れ合いを楽しみましたが、オートバイってゆっくり流していても景色が早く流れるもの。看板をよく見て、注意してくださいね。
大三島(おおみしま)
「大三島」という看板が見えるたび、私のなかで「なんだか森三中の大島さん」っぽいなと思っていた大三島です。愛媛県の最北に位置し、しまなみ海道のなかでもっとも大きな島です。大山祇神社がある「神の島」として知られています。温泉も湧いています。
大三島→伯方島
横から見るとかまぼこみたいな形をした大三島橋。私と同い年の1975年生まれです。そのせいか(いや、気のせいだと思いますが)、私はしまなみ海道のなかで、この橋が一番好きだなーと思いました。とにかくバラエティに富んでいるので、好みの橋を探しながら走るのも楽しいですよ。
伯方島(はかたじま)
「はっ! かっ! たっ! のっ! しおっ!」で有名な塩の産地でしたが、最近は塩田の跡地がクルマエビ養殖場になっているそうです。本誌ではここに宿泊し、イルカと泳いだ様子が掲載されています。
▲裏道マニアなGoogleマップにご注意を▲
高齢者や子どもが飛び出してくることがあるかもしれないので、私は旅先で細道は極力避けているのですが…。Google先生は裏道を案内します。そこで途中からGoogle先生の指示は無視して王道(広い道)を走りました。地図の意味があまりない(笑)。 でも今回、いざというときずいぶん助けられました。
伯方島→大島
橋までのアプローチはどこもそうとうな急坂道です。橋から海を見下ろせるのだから当たり前ですけど。サイクリストさんたちは立ち漕ぎしながらぜぇぜぇ登っていました。押している姿も相当数見かけました。よかったー、私エンジン付きで、と思いながら、力強くスイスイ走った125ccでした。エンジンに感謝。
▲蜂にご用心▲
オートバイで鼻歌ふんふん走っていると、バチーン! とまぁまぁな大きさの虫がヒザに当たって「いてー!」と顔をしかめたり、ヘルメットのシールドにべちゃッ! と潰れて「やめてー!」となることは、バイク乗りなら誰しも経験あると思うんです。しかしながら今回、首にバチーン! と当たったのが蜂! 風圧でへばりついてしまい、テンパッた蜂は私をチックン刺しまくり、うっそー!!!
何度もバックミラーで首を確認。そんなに腫れてもいなかったし、気分も悪くなかったし、このまま様子を見ようと旅を続けました。蜂のサイズ的にアシナガだったかな。いずれにしても気持ち悪かったです。こんな不運もあるので、オートバイで走られる方は首にバンダナを巻いたりガードした方がいいかもしれません。
大島(おおしま)
水軍遺跡や言い伝えが数多くあり、多々羅しまなみ公園にある「サイクリストの聖地の石碑」は大島石を用いて造られたそうです。
大島→馬島→今治
「とにかく長い!」 というのが感想。走れど進めどずっと海の上。よくもまぁこんな壮大な橋を造ったものだと感心しました。かんかん照りのなか大きなバックパックを背負って徒歩で橋を渡っている姿が! なんだか彼は砂漠をさまよう旅人のように見えました。おつかれさまです!
しまなみ海道を125ccで走って
じつは私は、しまなみ海道を走ったのは2回目でした。初回はテレビの番組の収録で、400ccのオートバイで訪れたのです。中型二輪なのでふつうにクルマと一緒に高速道路を走りました。このように、オートバイに乗る仕事では、そこそこ大きな排気量の車両に乗るのがほとんどなので、スタッフさんが乗る取材車と同じ動きをします。くっついて行けば道に迷うことはないし、何かあれば助けを求められるので安心ではありましたが、やはりクルマとオートバイ、気持ちいいポイントが全然違うので、正直後ろを走っていると退屈したり、眠くなったりします。
だから今回、道に迷いやしないかちょっとドキドキはしましたが(蜂にも刺されましたけど)、スマホホルダーもハンドルにくっついているし(Google先生は変な道をスグ案内してくるので「騙されないぜー」と喧嘩気味でしたが)、「ほぼソロ」ツーリングを楽しむことができたのでした。こんなにひとりぼっちで自由なオートバイ取材は初めてかも知れません!
素朴な島にそびえる巨大橋、青い海、水墨画のような島々。あちこちにある造船所と、柑橘と、ピカピカ光る太陽光パネル、頭上に広がる青い空。最高の時間でした!
2022年7月9日発売の「BE-PAL」8月号の特集記事もぜひチェックしてくださいね。
協力/尾道バイクルーズ