函館を出発
北海道キャンピングカーひとり旅。函館に上陸したのも束の間、一路札幌へ向かいます。函館ももちろん見どころの多い観光都市ですが、一筆書きのように元の場所に戻るプランなら再訪できます。
小心者で臆病なところのある私は、もっとも遠い場所に最初に到達して、徐々に戻ってくるルートのほうが安心。
函館から札幌までは250km以上、高速道路を使っても4時間以上のロングドライブです。直線距離だと小樽~根室が東京~京都とほぼ同じと言われることからも北海道のスケールがわかります。
キャンピングカーの装備を紹介
高速道路を走るあいだは、あまりお伝えすることもないのでちょっと余談。どんな装備で旅に出ているのか、自宅であり移動手段であり仕事場である愛車をご紹介させてください。
私の車は標準ボディーのハイエースをベースとしたバンコン。ハイエースの中ではもっとも小さなモデルとなります。
車内のほとんどを占めるのがベンチシート兼ベッド。車幅いっぱいのダブルベッドにもできますが、ひとり旅のときは半分だけのシングルモードにして使用しています。そのため車内後方に抜ける通路が確保できます。
いわゆるダイネット(イスやテーブルのダイニングスペース)はありません。構造上はダイネットモードにもアレンジできるのですが、スペースを広く使うためにテーブルは収納しっぱなしです。
その代わり、仕事のときには折りたたみミニテーブルをベッドの上にちょこんと展開します。食事も就寝も仕事もベッドの上……よく言えば「お座敷スタイル」、率直に言えば「万年床」です。
車内後方の扉を開けると、無理をしてでも欲しかったトイレルーム。一般的に車内を2ルームに区切ったり、独立したマルチルームを設けるのは十分なスペースのある大型車が多いです。
けれど私は車内でトイレが使えることにこだわり、設置場所を作ってもらいました。悪天候などで車外に出たくないときはもちろん、ひとり旅の安全面でも重宝しています。
トイレは過去記事でもご紹介した熱圧着式のラップポン。タンクレスで、後始末のいらない電気式ポータブルトイレです。
同じく車内後方には、簡単なシンクと冷蔵庫があります。トイレとキッチンが同じ場所にあるなんてちょっと変ですが、床面積の限られたキャンピングカーでは十分許容できるレイアウトです。
水道設備は特種用途自動車、いわゆる8ナンバー取得の必須要件となりますが、実は一度も使ったことがありません。実際に顔を洗ったり調理をするほどの広さはないことと、国内なら水場には困らないことからです。
キャンピング装備を動かすサブバッテリーは105Ahを2台搭載。外部充電と走行充電、屋根のソーラーパネルで充電しています。
電気の消費量はひとり旅でも家族旅でもあまり変わりません。夜だけ照明やテレビやトイレを使って、2~3日に一度、外部電源につなげばよいくらいです。冷蔵庫のみ常時オンにしています。
このタタミ一畳ぶんくらいの空間が、私にとっては全宇宙。
最初はあちこちに頭をぶつけたり、荷物が行方不明になったりしましたが、狭い空間にどんどん慣れてくるのが人間の適応力。朝の出発準備などもルーティン化して、初期の頃の数倍は手早くなっています。
すっきり片付いた車内を見て、ひとりで「むふふ」と満足しています。
「RVパーク花ロードえにわ」
そんなこんなで300kmを走破、札幌近郊に到着しました。今日は「RVパーク花ロードえにわ」(1泊2500円)に宿泊します。
花と緑の観光施設「はなふる」にあり、ガーデニング好きならきっとたまらない場所。RVパークとしても明るく充実した設備で、素晴らしい車中泊スポットでした。札幌市の中心部から約35kmと、交通の便も悪くありません。
夜間には無人となるタイプのRVパークですが、カードキーで施設内のトイレに24時間入れるほか、Wi-Fiのある談話室やキッチンが自由に利用可能!電子レンジや調理器具も用意されており、簡単なものなら自炊できます。
徐々にわかってくるのですが、北海道のキャンプ場やホテルやRVパークでは、このように「自由に使ってください」と設置されたフリースペースを何度も見かけました。
無料とはいえ、清掃や手入れには手間や費用がかかっているはず。地域全体が「外から旅人が来る」ということに慣れていて、当たり前のように居場所を提供する……北海道ならではだなぁと思いました。
無人でも、施設を壊したり備品を盗んだりゴミを放置したりする人はいないだろう、という信頼にもとづいているものです。サービスが永続できるようこちらも信頼に応えたいです。
さらに特筆すべきは無料シャワー!不特定多数が使うシャワールームに抵抗がある方もいるかと思いますが、男女別に分かれているシャワーには女性ならではの利点が。かなりの確率で「ひとり占め」や「一番乗り」ができるんです。
夫婦や家族で旅をされている場合は連れだって温浴施設に行くことが多いでしょうし、女性ひとりでの車中泊はそもそも絶対数が少ない。
男性側シャワーが混雑していても、女性側はガラガラだったりすることも度々。今回の旅では、荒れている、故障している、汚れているといったシャワールームには一度も出会いませんでした。
ゴミ処理は専用ゴミ袋購入(100円)で対応可能。数日おきにこういった機会を活用することで、車中泊のゴミ問題は解決です。
駐車スペースも必要十分です。区画ごとに電源があり、必要な人は追加料金(1泊500円)で利用できます。
RVパーク、湯YOUパークなどの各種パークには、電源使用料が「込み」のところと「別料金」のところがあります。私のようなキャンピングカーユーザーは、「電源込み」になっているとまるで無料サービスのようでニコニコ。
しかし普通車など「電源はいらないから安くして」というユーザーもいるはず。どちらもニーズがありそうです。
道路からも距離があり、夜はきわめて静か。朝には造園作業をする人々で、のどかな雰囲気でした。北海道はこれからが花のシーズン本番です。
施設詳細
- 名称:RVパーク花ロードえにわ
- 住所:北海道恵庭市南島松828番地3
- 料金:1泊1台2500円
- 台数:19台
- 備考:100V電源1泊500円、ゴミ処理100円
静かな旅の夜
食事も終えた夜9時、近くのスターバックスコーヒーで仕事をしました。1分も走れば今日の寝床ですから安心です。
いつものお店によく似ているけれど、実はまったく知らない場所。ひとり、またひとりと帰っていく先は自宅だろうと思うと、なんだか人恋しくなります。
私はといえば、何時までパソコンを打っていても「遅い」と文句を言う人は誰もいません。自由で気楽で少し寂しい。「いい夜だな」と思います。