軽いって自由! ウルトラライトなテンカラ & ハンモックで沢キャンプ
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    2023.05.11

    軽いって自由! ウルトラライトなテンカラ & ハンモックで沢キャンプ

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    ハイカーズデポ店主・土屋智哉さん。国内外のアウトドア&ハイキング用品から軽量な道具を厳選する「ハイカーズデポ」を東京・三鷹で営む。著書に『ウルトライトハイキング』、『無人地帯の遊び方』など。

    荷物は軽くコンパクトに、と考えていても、ビギナーはあれこれと余計にもっていきがち。そこでアメリカの広大なトレイルを走破した経験をもつ土屋智哉さんに、ULスタイルを見せてもらった。

    沢泊まりキャンプの魅力とは?

    軽量な道具を選ぶことで装備全体を軽量化し、行動中の自由度を高めるウルトラライトハイキング。その技術を紹介してきた土屋智哉さんにとって、渓流でのキャンプはアウトドアの原初を感じる遊びだという。

    「北米のジョン・ミューア・トレイルには、シエラネバダをくまなく歩いたジョン・ミューアの名前が冠されていますが、彼が実際に歩いたのはトレイルがつく前の山です。どんな有名トレイルも、道ができる前には道を開拓する段階がある。道がない渓流を辿りながら、越えやすい場所を探して進んでいくのは、トレイル開通以前のハイキングに通じる創造性がありますね」

    道がないからこそおもしろいが、難易度はそれほど重要ではない、と土屋さんはいう。

    「私も若いころは道具と技術を駆使しましたが、あるとき技術的に難しくなくても自然は楽しめると気がついた。野営しても環境負荷が小さい場所を探したり、毛鉤を振ったり、あるいはコーヒーを淹れるだけでも、歩く旅は豊かになる。総合的な自然体験をできることが、沢泊まりキャンプの魅力でしょうか」

    これで十分! 1泊2日沢泊まりキャンプは全部で3.5kg!

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    雨具、ハンモック、寝具、着替え、焚き火道具、火器類、クッカーなどを収めても容量は40ℓほど。「食料と水を抜いた重量は3.5㎏ほどです」

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    サコッシュには釣具と手拭い、浄水器付きボトルを収納。使う竿の仕舞い寸法はなんと25㎝。「釣りも給水もサコッシュの中身で完結します」

    使う道具もほどよく力が抜けている。釣りの道具はすべて合わせても100g足らずで、特別な装備は使わない。山に泊まるための道具もコンパクトだ。

    「滑りやすい水辺を歩くので足元こそ沢タビを履きますが、それ以外はふだんのハイキングと変わらない。むしろ、焚き火をできる沢だから火器類は最低限で済む。食料も家で食べているものをそのまま持ち出しています。前の晩に山行を思いついても、用意ができますね」

    身軽にアプローチ

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    クルマを保有しない土屋さんは遊び場までのアクセスに公共交通機関を使うことが多い。「荷物が小さいと入渓点までの移動もラク」

    「道なき道」がおもしろい

    難所は巻いて越える

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    道を決めるのは自分自身

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    「沢歩きの喜びは地形から通りやすい場所を見出すことにある」。自然というフィールドの中、道なき道を自分の判断で歩くのが楽しい。

    コツを知って快適に!「ハンモック」

    特徴的な装備がハンモックだ。土屋さんは、沢こそハンモックが活躍するという。

    「沢沿いは不整地が多くて地面も湿っている。しかし立ち木は多い。こんな場所で眠るならハンモックが最適。テントと比べて軽くコンパクトなのもいい」

    釣り、焚き火、ハイキング、野営……。いくつもの遊びを組み合わせれば、どれかが成立しないときもほかの要素を楽しめる、と土屋さん。

    「ひとつの遊びに凝るのもいいけど、複数の遊びを併行すると余裕が出る。沢キャンプは自由な野営の理想形のひとつです」

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    1  直径が15㎝以上の3尋(約4.5m)ほど離れた2本の木を探す。「支点の木はある程度太さがあったほうが木への負担を小さくできます」

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    2  高さ165〜170㎝ほどの高さに専用のスリングをかける。「幅広なテープを使うと滑りづらい。荷重が分散するので木も傷めにくい」

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    3  テンションを調整して、寝やすい角度にする。「ウーピースリングというロープは細くて強く、摩擦力で任意の長さに調整ができる」

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    雨が降ったらタープをかける

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    「雨が降らなかったり、防風する必要がなければタープはかけなくてもOK。降りそうなら明るいうちにメインのロープを梁にしてタープをかけておいたほうが良いですね」

    チューブ型キルトで暖かく眠る

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    「緩衝用のマットがいらないのもハンモックの利点。しかし、背中側が剥き出しでは冷えるので、気温が低い時季はハンモックごとかぶせるチューブ型のキルトが活躍します」

    軽量優雅! 和式毛鉤釣り「テンカラ」

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    「テンカラは竿、糸、毛鉤の3 つだけで成立する釣り。軽い道具で最大の効果を生むテンカラは、ウルトラライトハイキングの精神に通じるものがある。海外のハイカーの間でも人気が高まってます」

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    大きくなって帰ってこいよ!

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    小さな焚き火で沢ごはん

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    「釣った魚を焚き火で調理するのが沢の醍醐味……ですが、常に環境への配慮を考えたい。その晩食べるぶんの魚をできるだけ小さな火で焼き、跡を残さず去りたい」

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    川の近くの場所を選び、調理に必要なサイズの火をおこして炊飯を始める。

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    味噌汁のタネは味噌にネギと乾燥海藻を混ぜたもの。「自宅の食材で作れる」

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    釣ったヤマメを1匹だけキープ。おき火で火を通す。「串を2本うつと回らない」

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    少しずつ薪を寄せていき、完全に燃やしきって消火。「小さな火は跡も小さい」

    BE-PAL的 ACTIVE POINT

    1 軽い荷物で自由度を高める

    2 多彩な遊びをクロスオーバー

    3 ラクはしても本質ははずさない

    ※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一

    (BE-PAL 2022年6月号より)

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