日本ではBBQと聞くと、野菜、肉、魚介などをグリルして、たれに付けて食べる「焼肉」BBQ的なイメージがあるが、日常にBBQ文化が溶け込むアメリカ西海岸ではもっとシンプルだ。それは、友人を呼んでのホームパーティーや夏のキャンプでも同じ。手抜き上等! この夏は西海岸流にラクにおいしく、アウトドアグルメを楽しんでみてはいかがだろう。
外の空気と友人とのおしゃべりが何よりのごちそう
5月最終月曜のメモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)を皮切りにBBQシーズンが始まるアメリカ。7月4日のフォースジュライ(独立記念日)は、多くの家庭でBBQパーティーが行なわれる。同じアメリカでも、南部や中西部は1日がかりでじっくり調理するスモークBBQが名物として知られるが、西海岸ではほとんどの場合、バーガーかホットドッグの2択。かなり文化が異なる。
BBQグリルは一軒家やアパートでは備え付けられていることが多く、近所の公園、キャンプ場の各サイトでも無料で利用できる。夏になるとパーティーやイベントはもちろん、普段の夕食などで日常的に親しまれている。たとえば、筆者の息子が通う小学校でも、夏になると保護者がボランティアでBBQランチを開催するのが恒例だ。アメリカの子どもたちも、バーガーやホットドッグは大好物。公園でのお友だちの誕生会、近所のコミュニティーイベントでも、BBQという名のバーガーかホットドッグがゲストにふるまわれる。アメリカ人にとって、こうしたBBQは家族や友人と思い出を共有するソウルフードであり、国民食。日本で言うなら、昭和の時代から林間学校など子どもたちの宿泊体験学習やバザー、地域のイベントなどで登場するカレーライスのような存在かもしれない。
レシピは簡単、何人集まっても余裕!
では、具体的にどんなバーガーやホットドッグが食べられているのか。
材料はどこのスーパーマーケットでも売っている。コストコなら大量買いもでき、よりリーズナブル。バーガーは市販品のバンズ、ビーフパテが基本だ。お好みでパテにチーズをのせて焼けば、チーズバーガーになる。ホットドッグはホットドッグバンとビーフソーセージ。味付けには、子ども向けにケチャップ、大人向けにマスタードとチョップド・ピクルスが、ポンプ式のどでかいボトルで提供される。
ちなみに、このビーフパテやビーフソーセージは、脂もつなぎも入っていない。パッケージにもビーフ100%と書いてある。それこそが、アメリカ人の大好きな味なのだ。BBQグリルで焼くのは、パテとソーセージのみ。パンに挟むのも、味付けも、セルフサービスとなる。オプションとして、生野菜も挟めるように並べておく。その場合、レタスの葉、トマトや玉ネギのスライスが定番だ。ただし、アメリカの子どもたちには人気がなく、せっかく用意しても余りがちではある。
ちょこっとグルメにおうちバーガーも
おもてなし度を高めたい小規模のホームパーティーや、食材にこだわるおうちご飯、キャンプ飯には、アップグレードしたグルメバーガーを試してみよう。
ポイントはバンズ。アメリカでここ数年のトレンドとなっているブリオッシュタイプを使うと、グルメ感が増す。バターのこく、ふんわりとした食感が絶妙に合うのだ。パテも、うま味たっぷりの和牛のミンチをチョイス。アメリカでもすっかり浸透した和牛は、「Wagyu」としてコストコにも並んでいるほど。パッケージから出してそのまま何も加えずに成形し、塩・コショウをするのみ。和牛の脂こそが極上の調味料だ。BBQグリルがなくても、オーブンやフライパンで十分おいしく仕上がる。そして、わが家のお気に入りは大きめにスライスしたアボカドを挟むこと。ビーフとアボカドのコンビネーションは味を引き立てるだけでなく、栄養バランスの面でも大きなプラスとなる。
おうちでのホットドッグもおすすめ。わが家のブームとして、週末の朝ごはんやランチに毎週のように登場していたことがある。腹持ちが良いので、息子のおやつやお弁当にも活用度大。大人は、刻み玉ネギやザワークラウトをトッピングして、ビールのおつまみにしてはいかがだろう。月を見ながらの晩酌にも、片手で食べられるホットドッグは手軽で都合が良い。
時短メニューながら楽しい気分にさせてくれる、アメリカンなバーガーやホットドッグ。日本のご家庭でもぜひお試しを。