フランスでは老若男女に人気のスポーツ
東京2020オリンピックで競技種目に取り入れられたスポーツクライミングだが、フランスではレジャーとしても人気があり、130万人以上の人が定期的にクライミングを楽しんでいる。
フランスの人々は日常の中でどのようにクライミングに取り組んでいるのだろう。
そこで、リヨン発のインドアクライミング施設の最大手「クライム・アップ・リヨン」を取材した。
「すべての人に開かれた生活の場所」をコンセプトに
インドアクライミングと大自然の中でのアウトドアクライミングの違いのひとつは、インドアは空き時間に手ぶらでやってきて、レンタルシューズとレンタル装具で気軽にクライミングできること。
筋力強化、バランス感覚、コーディネーション能力、集中力、柔軟性など総合的に心身をトレーニングすることができ、幅広い年齢層に人気だ。
体育の授業に取り入れている中学・高校も多いので、中高生にとってはお馴染みのスポーツと言える。
「リヨンにインドアクライミング施設は30年以上前からあるのですが、居心地の良さを追求した施設はありませんでした。クライム・アップではすべての利用者に心地よく過ごしてもらいたいと、カフェ、サウナ、筋トレゾーン、コワーキングゾーンを併設しました」(広報担当のミッシェルさん)
施設内には学校帰りの高校生グループ、カフェテラスでビール片手におしゃべりする人もいて、とても自由な雰囲気だ。
リード、ボルダリング、トラベルセの3種類の壁と楽しみ方
2,500平米の施設内には、色とりどりのホールドが付いた壁が。大部分を占めるのは、高さ13mのリード用の壁、そのほかに高さ4mのボルダリング用の壁、トレーニング用壁のトラベルセがある。
リードは、13mの壁を安全確保しながら同じ色のホールドを使って登る。クライマーと地上で安全確保をする人の二人一組の登り方を説明しよう。
まず安全装具の使い方だが、壁の最上部にはロープを通した支点があり、その支点から両側にロープがぶらさがっている。ロープの端の片方をクライマーのハーネスに結び、もう片方を地上で安全確保する人のハーネスに結ぶ。つまり、クライマーと地上の人は支点を通したロープでつながれた状態になる。
クライマーが壁を登るたびに、地上の人は、たるんだロープを引っ張り、安全装具でブロックしていく。一度ブロックされたロープはクライマー側に戻らず、万一クライマーが手を離しても、ロープで吊られ落下しない。1人で使える安全装具もあるが、初心者には二人一組のクライミングがおすすめだ。
ボルダリングは約4mの壁を安全装具なしで登る。落ちても痛くないように床には厚いマットレスが敷いてあり、クライマーはリード同様、同じ色のホールドを使って、スタート地点からゴール地点のホールドまで移動していき、ゴールのホールドを両手で3秒間つかめば成功だ。
下の写真はトラベルセゾーン。フランス語で「横断する」という意味の、傾斜の大きなトレーニングゾーン。特にルールはない。
エコロジーを意識した運営
フレンドリーな雰囲気の施設内でクライミングしている人を見ていると、「ちょっとやってみようかな?」という気持ちになってくる。そういう気持ちになったら、迷わずレンタルシューズでボルダリングにトライしてみよう!汗をかいてもシャワーもあるので、心配無用だ。
「シェア」、「すべての人に開かれた生活の場所」をコンセプトに、3歳児からのグループレッスン、家族割引やハンディスポーツのトレーナーの活用をはじめ、エコロジーも取り入れられている。水資源保護のシャワーはプッシュ方式で一度押すと45秒だけシャワーが使え、ボタンを押せるのは4回まで。分別ごみ・リサイクルはもちろんのこと、現在コンポストを準備中だ。
衛生面と料金について
気になる衛生面では、アルコール入りのマグネシウムパウダーを手の滑り止めに使用して殺菌を兼ねている。フランスでは、現在マスク着用は任意。(2022年7月15日調べ)
フランス国内のインドアクライミング施設の利用料金は、一日平均大人約2,000円、子供約1,400円。
大自然の中でのアウトドアクライミングツアーには専門のサイトがあり、インストラクター付きツアーは約5,300円から。自然な岩の出っ張りをホールドに使うクライミングには危険がつきものなので、保険カバーをしっかりするとともに、事前にインドアで十分に練習することをおすすめする。
アウトドアクライミングツアーの一例
https://www.mondevertical.com/activites-outdoor-paca
取材協力
Climb Up Lyon Gerland
所在地:11 rue Lortet 69007 Lyon FRANCE
https://lyon-gerland.climb-up.fr