ウミホタルは福島以南の太平洋岸に多く生息している生き物です。夜の海で青く光る姿は、幻想的。簡単なワナを使えば、子供でも捕まえて観察することができます。
今回はその採集の方法と、観察の仕方をお伝えいたします。
ウミホタルとは?
ウミホタルは、エビやカニの仲間の甲殻類です。大きさは3mmほどで、卵のような楕円形をしています。
昼間は砂に潜って隠れており、夜になると活発に活動を始めます。主に魚などの生き物の死骸を食べるので、「海の掃除屋」とも呼ばれています。
ウミホタルは日本固有種で、主に福島以南の太平洋側に多く生息しています。水深約10cm~10mの砂地の浅瀬を好みますが、淡水を嫌うので、砂浜でも川が流れ込む場所の付近には生息していません。
活動時期は、海水の水温が高くなる春先から秋の終わりにかけて。したがって、4月から10月ぐらいまでは、採取して観察をすることができます。
ワナの作り方
ウミホタルを採取するワナは、身近な材料を使って簡単に作ることができます。
材料
- タコ糸などの紐
- ペットボトル
- 砂利
- 段ボール
ペットボトルはどのサイズでも大丈夫です。
手順
1.ペットボトルに穴を開ける
ペットボトルの上部に5mmほどの穴を開けます。筆者は電動ドリルを使用しましたが、キリで下穴を開けてから太めのドライバーで穴を広げるという方法もあります。
ペットボトルの中に入れたエサに引き寄せられたウミホタルが、上部の穴からペットボトルの中に入るという仕組みです。穴が少なすぎると、一度に採取できるウミホタルの数が減ってしまうため、10か所以上の穴を開けましょう。
2.紐をペットボトルに結び、端を段ボールに巻き付ける
ペットボトルの口の下に紐を結びつけ、10mほどのばしてからカットします。
カットした紐を段ボールに巻き付けましょう。こうすることで紐が絡みにくくなり、使用する場所まで持っていくのが容易になります。
3.ペットボトルに砂利を入れる
ペットボトルの中に重りとなる砂利を入れます。砂利を入れることでワナを水中に沈めることができます。砂利の量はペットボトルの容量の3分の1程度にしましょう。
ウミホタルを採取してみた!
当日の持ち物
ウミホタルの採集に必要なのは以下の道具です。
- 自作のワナ
- バケツ
- 目の細かい網
- 懐中電灯やヘッドライト
- エサ
バケツと網はウミホタルを観察する際に使用します。網は目の細かいものを選びましょう。著者が使用しているのは100円ショップで購入したメダカ用の網です。
ウミホタルの観察に出かけるのは日没後です。安全のために足もとを照らすライトを用意しましょう。
桟橋に到着
筆者の住んでいる千葉県館山市には、ウミホタルの生育に適した砂浜が多くあります。
出かけたのは館山夕日桟橋。砂浜から沖に向かって伸びる長い桟橋です。砂浜からワナを仕掛ける場合、沖に向かってワナを投げる必要がありますが、桟橋ならばワナを下に落とすだけで仕掛けることができます。
桟橋の中ほどには、青く光るウミホタルのオブジェがあります。
日没後に採取開始
ウミホタルの採取に適した時間は、日没から30分後です。日没直後だと、まだ日が残っていて明るいので、採取してもウミホタルの光が観察しにくいです。日没から30分程度経った後の、しっかりと暗くなった状態で採取・観察しましょう。
なお、夜の海は大変危険です。足場に十分注意し、誤って海に落ちないようにしましょう。波が高い場合や、強風が吹いている場合には、無理に採取に出かけず、穏やかな日に改めて出かけましょう。
また、ライフジャケットを着るなど、万が一の事態に備えましょう。
採取の手順
1.ワナにエサを入れる
ワナのペットボトルにエサを入れます。エサに適しているのは魚のアラやイカの切り身など、臭いの強いなま魚です。なま物を用意するのが難しければ、魚肉ソーセージでもよいでしょう。
2.ワナを沖に投げて海に沈める
段ボールに巻いておいた紐を2~3メートル引き出し、採集するポイントからワナを沖に向かって投げます。
ワナが沈んだら、ワナが海底に到達するまで紐を引き出します。段ボールに巻いた紐の端はしっかりと握っておきましょう。
3.20分ほど放置して引き上げる
ワナを沈めたら20分ほど放置しましょう。20分たったらワナを引き上げます。紐の端をもってゆっくりと引き上げましょう。
上手くいけば、ペットボトルの中で元気よく泳ぐウミホタルの姿が見られます!
ウミホタルの観察方法
海からワナを引き上げたら、ウミホタルを観察してみましょう。
ウミホタルは刺激を受けると口から発光液を吐き出します。この発光液が海水に含まれる酸素と反応して青く光るのです。したがって、ウミホタルが青く光るところを観察するためには、ウミホタルに多少の刺激を与える必要があります。
観察する際は、まず懐中電灯やヘッドライトの明かりを消して、バケツの真上に網を設置します。
その後、ペットボトルの蓋を外して、網の中に勢いよく中身を注ぎましょう。突然網に投げ出されたウミホタルが驚いて、発光液を吐き出します。すると、幻想的な青い光が網の中に広がり、よく観察することができますよ。
さいごに
ウミホタルの採集と観察は、ワナさえ作ってしまえば驚くほど簡単に挑戦することができます。夏休みの自由研究の題材としてもおすすめです!海遊びに出掛けた際はぜひお試しくださいね。