ゴアテックス製品を洗濯しないとどうなる?
防水機能の劣化が心配で、なかなかゴアテックス素材のウェアを洗えていないという人は多いでしょう。しかし、洗濯をしないと、どうなってしまうのでしょうか。
ゴアテックス製品を洗濯する重要性も併せて解説します。
洗濯しないとどうなる!?
シームテープがはがれる
シームテープとは、生地の縫い目を覆うテープのことです。性能の高い防水生地でも、縫い目からは水が入ってしまうため、シームテープにより防いでいます。
長期間洗濯をしないとシームテープがはがれてしまい、防水性が落ちる原因になります。シームテープが白くなっていたら、その部分が生地から浮いているということです。
劣化が激しい場合は修復が不可能になるので、こまめなメンテナンスが求められます。
はっ水機能が低下する
防水生地の表面に汚れがたまると、ウェアのはっ水機能が落ちてしまいます。
ゴアテックス素材には湿気を逃がすための穴が無数にありますが、はっ水機能が落ちることで水が表面に膜を張り、穴をふさいでしまいます。すると湿気が外部に放出されず、蒸れの原因となってしまうのです。
はっ水機能が低下すると、ウェアが水分を含むことで重く感じるようになり、体力を奪いやすくなるでしょう。
また、蒸れると汗をかきやすくなり、汗の蒸発によって体温を奪われる原因にもなるなど、安全性にも大きく関わります。
着用後に洗うのが基本
では、ゴアテックス製品は、どれくらいの頻度で洗濯すれば良いのでしょうか。
難しく考える必要はなく、『着たら洗う』と考えておけば問題はありません。一度着用すれば、目に見えなくても汗や汚れが付着し、それが劣化の原因となります。
ちょっとした外出で一回着たぐらいなら洗わなくても大丈夫ですが、アウトドアに着ていったら洗うのが基本です。その日に着たTシャツを洗うのと同じだと考えると、わかりやすいでしょう。メーカーからも、頻繁に洗濯することが推奨されています。
ゴアテックス製品を洗う前の準備
ゴアテックス製品を洗う前には、いくつか準備しておくべきことがあります。洗濯前の準備を3つ解説するので、しっかりと把握しておきましょう。
洗濯前にやっておきたい3つの準備
タグの洗濯表示をチェックする
洗濯する前に、必ずウェアに付いている洗濯表示をチェックしましょう。洗濯する上での制限や条件が書かれています。
具体的には、洗濯機の使用は可能か、ドライクリーニングができるかなどです。乾燥機が使えるかどうかも確認しましょう。
アイテムによって細かい条件は異なるため、都度確認することが大切です。洗濯機がNGの場合は手洗いする必要がありますが、基本的な手順は洗濯機を使う場合と同じです。
全てのファスナーを閉じる
洗濯前には、全てのファスナーが閉まっていることを確認しましょう。アウトドア用のウェアには、細かいギミックが施されているものも多くなっています。
全てのファスナーを閉めることで、洗濯中にウェアがダメージを受けたり、破損したりするのを防げます。
収納フードがある場合も、取り出しておきましょう。フードや裾にドローコードがある場合は、緩めた上でしわを伸ばしておくのもポイントです。
洗濯時のムラや洗剤残りが出にくく、仕上がりがきれいになります。
汚れがひどい場合は事前に部分洗いをする
汚れがある場合は、洗濯機に入れる前に部分洗いを行います。
泥やほこりが付いている場合は、乾いたブラシではたき落としましょう。汚れが付いたまま洗濯すると、水につかったときに汚れが繊維の奥に入り、取れにくくなってしまいます。
ブラシは化学繊維のものよりも、天然素材の方がおすすめです。毛が柔らかく、生地を傷めにくいためです。
ひどい汚れには、洗剤を使って事前洗いをします。中性洗剤に半部程度の水を含ませ、スポンジに浸します。ポンポンとウェアを軽くたたきながら汚れを落としていきましょう。ウェアに洗剤を染み込ませるイメージです。
ゴアテックス製品の洗い方のポイント
準備が終わったら、実際に洗濯機で洗っていきましょう。洗濯するときにもいくつかポイントがあるので、3つに分けて解説します。
洗濯するときの3つのポイント
洗濯ネットに入れて洗濯機で洗う
洗濯機に入れるときには、ウェアを洗濯ネットに入れておきましょう。ネットに入れることで、他の洗濯物と絡まりづらくなり、傷みにくくなります。
使う洗剤は一般的な液体洗剤で問題ありません。ただし、柔軟剤や漂白剤が入っているものは素材に残りやすく機能低下につながるため、避けましょう。洗剤の量は通常よりも少なめがベストです。
お湯の温度は40度C以下のぬるま湯が推奨されています。コースは手洗いやデリケートコースなど、優しめのものが望ましいでしょう。
効果的に洗濯するためには、他の衣類と一緒にしないのもポイントです。
すすぎは最低でも2回行なう
ゴアテックス製品を洗濯する上で避けるべきは、洗剤の残りです。それを防ぐために、すすぎは最低2回行ない、生地に洗剤を付着させないようにしましょう。
なお、脱水処理は不要です。防水素材を脱水すると洗濯機の故障につながる可能性があるため、行なわないようにしましょう。
手洗いする場合は、ぬるま湯に少量の液体洗剤を含ませ、優しくもみ洗いをします。激しくすると生地を傷つける可能性があるので、注意が必要です。
手洗いの場合もすすぎは重要で、水が透明になるまですすぐのがポイントです。
日陰で乾かす
洗濯が終わったら、つり干しでよく乾かしましょう。水が残っている場合は、軽く切る程度で大丈夫です。
直射日光の当たらない日陰で乾かすことが大切です。紫外線が強い日向では、生地を傷めてしまいます。
風通しの良い日陰で、時間をかけて乾かすことがポイントです。早く乾かすなら、逆さつりがおすすめです。ポケットから水が出やすく、フードがかさばらないので、効率的に乾かせます。
はっ水力を回復させる方法
ゴアテックスのはっ水力は、乾燥機やアイロンを使うことで回復させることが可能です。洗濯後に一手間を加え、ウェアを長持ちさせましょう。
乾燥機やアイロンで熱処理をする
はっ水機能は、熱を加えることで復活します。
洗濯表示で乾燥機が使えるなら、低温で20分程度乾かしましょう。乾燥機がNGの場合は、アイロンを低温で、布の上から当てることで同様の効果が得られます。
熱処理をしても効果がいまいちな場合は、市販の防水スプレーをかけるのも効果的です。ウェア全体に吹きかけ、乾いたらまた吹きかけるという工程を2〜3回程度行ないます。
なお、熱処理は完全に乾かした後に行なう必要があるので、注意しましょう。
まとめ
ゴアテックス製品は価格も安くないため、家庭では洗えないのではと考える人もいるかもしれません。しかし、ゴアテックスは自宅でも簡単に洗えます。むしろ、基本的には着用後は洗う方が望ましいとされています。
ゴアテックスは防水力が命といっても過言ではありません。長期間洗濯をしないとはっ水力が低下し、買い替えの必要が出てくる可能性があります。
はっ水力を復活させるには、洗濯後に熱処理を施すのがコツです。洗濯方法を把握して、お気に入りのゴアテックスウェアをきれいに保ちましょう。