暑い日が続き、空を見上げると入道雲が高く上がります。
今年も夏がやってきました。
日差しが強く水温も上がるこの時期は、海中生物たちの繁殖が活発になります。
私も早朝から夜まで海中生物の繁殖行動を観察することが多くなります。
今回、鹿児島県南さつま市にてクマノミのハッチアウト(卵の孵化)に立ち合う事ができたので、その時の話をお送りします。
クマノミの産卵は昼間、ハッチアウトは日没後に見られます。
潜ると水深8mの岩の隙間に、卵をお世話するクマノミのオスを見つけました。
通常はオスとメスのペアで産卵、ハッチアウトの手伝いを行なうのですが、このオスにはメスの姿が見当たりませんでした。
パパ「さぁ、みんな、今夜無事に生まれてくるんだぞ~」
卵のハッチアウトは産卵後の平均水温×日を合計した積算温度でだいたいの日程が分かります。
※ 例 平均水温27度C×8日=200度C以上。
卵をよく見てみると、子供たちの小さな目が沢山あります。
子供たち「もう少しで大海原へ旅立つぞー!わくわく」
クマノミは口やヒレで卵についた付着物やゴミを掃除したり、ハッチアウトをうながします。
刺胞毒を持つイソギンチャクが子供たちに当たりそうです。
パパ「おっと、危ないじゃないか!」
イソギンチャクの触手には刺胞毒という毒針があります。
クマノミはイソギンチャクを住処にしていますが、クマノミは特別な粘液が体を覆っているので、共生ができるのです。
ですが、生まれたばかりの子供たちはその粘液は少ない為、当たると死んでしまう可能性もあります。
パパ「子供たちに当たると危ない、噛んで縮めなきゃ!」
すると、1匹卵から飛び出してきました。ハッチアウトの始まりです。
子供「お父さん、ありがとう、生まれたよ~」
すると、子供たちは勢いよく卵から出てきました。
子供「パパ、今まで育ててくれてありがとう~!」
無事ハッチアウトが終わり、イソギンチャクに包まれてリラックスするパパです。
パパ「子供たちが無事に成長できますように。おやすみなさい」
~陸編。今回の1枚~
夏の海で生物が活発になる頃、陸では夏の風物詩、ひまわり畑が見頃を迎えます。
鹿児島県指宿市にて、ひまわり畑と開聞岳(2021年7月撮影)
撮影協力: ダイビングショップSB