世の中からゴミを減らそうと、お笑い芸人たちが立ち上がった! 循環型社会・SDGsを考えるプロジェクトが始動。第1回は江戸時代のリサイクルに挑戦する。
清掃団のメンバーはこちら!
清掃団・団長
マシンガンズ・滝沢秀一さん
芸人活動の傍らゴミ収集員としても活動。プロの目でゴミ問題を発信し続け人気に。環境省のSDGs関連の広報大使に就任。
清掃団・地理博士
火災報知器・小林さん
大学で地理学を学び、高校社会教職免許と地図地理検定資格を持つ異色の芸人。江戸の古地図にも詳しく、清掃団の歴史監修も務める。
清掃団・自給自足部
まりんかさん
サーカスで数年ピエロをやっていた経験を活かし大道芸ネタで人気に。登山やキャンプ好きで、自給自足暮らしを目指している。
清掃団・リサイクル担当
ねろめさん
大河ドラマの農民A役に抜擢されるなど、農民笑顔がよく似合うピン芸人。すきっ歯鉄砲とリサイクル・ハンドメイドを得意とする。
代表的な江戸リサイクルを体験!
「このままだと日本列島はゴミで埋まってしまう。ゴミ0生活を目指そう!」と、プロの清掃員でお笑い芸人のマシンガンズ・滝沢が、芸人仲間に呼びかけた。賛同した芸人は20人以上!
「ゴミを減らして自然環境を守ろう!」「ゴミは俺らだけで十分」「そもそも貧乏芸人で物が買えないからゴミが出ません」と、動機はまちまちだが、SDGsへの想いは真剣だ。
「ゴミは基本的に可燃ゴミと不燃ゴミの2種類。それ以外のペットボトルや空き缶、雑紙など多くは資源ゴミです。まずは資源ゴミをしっかり認識して分別回収する。そして可燃・不燃ゴミもなるべく再利用すれば、かなりの量のゴミを減らすことができます」(滝沢)
ならば「やってやろうじゃないか」と、お笑い芸人たちが「清掃団」を結成。世の中からゴミを減らすべく、SDGsチャレンジがスタートした。
今回チャレンジするのは、江戸時代のリサイクルだ。
「ゴミの再利用で手本となるのが江戸時代のSDGsです。当時はもったいない精神で物を大切にし、工夫を凝らしてゴミを再利用していました。循環型社会を目指す今の時代にぴったりの教科書だと思います」(滝沢)
江戸社会では1000に及ぶリサイクル業が存在し、使えるものは修理・再生して徹底的に使い回していた。江戸のリサイクル業には、かまどの灰を買い集めて肥料などとして売る「灰買い」。廃材や木っ端を集めて薪として売る「木っ端売り」。木っ端を薄く削って硫黄を塗り、焚き火の燃焼材として売る「付け木売り」。壊れた傘を再生する「古傘買い」。使い古しのほうきを縄やタワシに再生する「ほうき買い」。溶けた蝋燭の塊を集めて再生する「蝋燭の流れ買い」。茶碗などの焼き物を接着して直す「焼継屋」など多数。
そんな江戸リサイクルの中から、ここでは木炭の欠片を再生する「炭団づくり」、木くずから作る「お香づくり」、灰を利用して作る「火口づくり」を紹介。チャレンジする清掃団は、江戸文化に詳しい火災報知器・小林、ハンドメイドが得意な、ねろめ、登山ガール・まりんか。
「読者の皆さんも清掃団に参加してみませんか?(詳しくは左下募集欄参照) 僕らと一緒に楽しみながら、ゴミ0生活を目指しましょう!」(全員)
火持ちの良い炭で人気
炭団(たどん)づくり
江戸時代の木炭は高価だったため、庶民のために作られたのが炭団。木炭の製造時などで出る欠片や粉を米などのデンプン糊で固めて整形。火持ちがいい炭として人気があり昭和中ごろまで作られていた。
炭の欠片や粉を集めてボールに入れ、片栗粉、または粥状にしたご飯と混ぜる。
炭団を丸める。最初は水分が多く、かなりゆるいが、天日で乾かすとカチカチに固まる。
3〜4日乾かすと炭団の完成。写真は炭の欠片で製作。粉を固めるとチャコール炭に。
疲れた際の癒やし役
線香づくり
江戸時代は、お香の文化が庶民に広がった時代。杉の葉、タブの葉、マツ葉など、油分の多い植物のくずを粉末にして湯で練り合わせたお香や線香を、手作りで製造していた。
杉の葉の粉と湯を混ぜて成形するだけで、立派なお香が完成。松葉やタブ葉など混ぜるとより香りがたつ。
乾燥した杉の葉やタブの葉を細かく刻んで石臼に入れ、粉状になるまで潰す。
潰した粉をボールに入れて、少しずつ湯を注ぎ、練り混ぜる。泥状になったら完成。
1回でたくさんの量が作れる!
山型に成形し、3〜4日乾燥させればでき上がり。簡単にできて香りも良いのが特徴。
これで着火は楽チン!
火口(ほくち)づくり
火口とは、火打ち石などでおこした火を着火させ、種火にする燃えやすい燃料のこと。ガマの穂のワタやおがくず、消し炭などを灰汁につけて乾燥させて使用。この火口を種火にして薪や炭に着火させる。
ガマの穂の火口にファイヤースターターで着火。火口はじわじわ長く火が残るのが特徴。
灰汁を吸って着火率が上昇
ブッシュクラフト好きのまりんかが、火口づくりに挑戦。まず、ガマの穂のワタを採集。
焚き火で出た灰に水を入れて沸騰させ、灰汁をつくる。灰汁にガマの穂のワタを浸けて乾燥させれば完成。
※構成/松浦裕子 撮影/茶山 浩 協力/太田プロダクション
(BE-PAL 2022年7月号より)