本気だからこそ、依頼もないのに自費で現地に行き、植物を探して輸入することもある。そのひとつが、アルゼンチンの巨木、パラボラッチョだ。意味は「酔っぱらいの木」。幹の真ん中が膨らんでいて、ビール腹の人に似ているのが名前の由来だ。
「リスクは高いけど、植物を届けるのはオレの仕事。今、70以上のプロジェクトを抱えていますが、そのひとつひとつに対して、もっとも相乗効果の高いものを選びたいんです。
だから、いろんなジャンルの植物を持つようにしています。オレが食虫植物で目覚めたときのように、この木を見て、ハッとなる人がいるかもしれないでしょ。大航海時代は、植物を運んでいた人たちが時代を変え、リードしていたんです。ゴッホの『ひまわり』だって、種が持ち込まれなかったら生まれなかったはず。
だからつぎはオレの番(笑)。オレの届けた植物で、自然に興味を持ってくれる人が少しでも増えるといいなぁと思っています」
そら植物園代表・西畠清順さん
1980年兵庫県生まれ。150年続く花と植木の卸問屋『花宇』の五代目。年間、国内外からの依頼が2000件を超えるという植物卸の仕事のほか、植物を用いたさまざまなプロジェクトを企業や団体と各地で展開している。
『プラントハンター西畠清順』
NHK取材班編/小学館刊 ¥1,400(税抜)
日々の活動やパラボラッチョのエピソードなど、人物像に多方面からアプローチ。魅力的な人柄に引き込まれる。
◎構成/松村由美子 ◎撮影/小倉雄一郎