キャンピングカー途中下車の旅!観光列車「ノロッコ号」で釧路湿原へ
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    2022.08.14

    キャンピングカー途中下車の旅!観光列車「ノロッコ号」で釧路湿原へ

    達古武オートキャンプ場

    駐車場探しに奔走

    北海道キャンピングカーひとり旅。「達古武(たっこぶ)オートキャンプ場」での朝です。昨日は雨に降られましたが、朝起きると雲の切れ間に太陽がのぞいていました。

    スマートフォンで天気予報を追いかけつつ、今日は晴れると見込んで「くしろ湿原ノロッコ号」を予約していました。釧路駅を出発し、釧路湿原を走る観光列車です。

    街の中心部だけあって、JR釧路駅周辺は「駐車場がない」「駐車料金が高い」といったクチコミがちらほら。とくにキャンピングカーは普段から使える駐車場が限られます。

    私のクルマはほぼボディ加工なしのバンですが、それでもベンチレーターやソーラーパネルで数センチほど車高アップ。

    高さのあるキャブコン(トラックなどのキャブオーバー車に専用の居室を架装したキャンピングカー)なら、なおさらです。ゲート式駐車場や屋内駐車場が使えない場面が多々あります。

    インターネットで調べると「釧路駅西商店街振興組合駐車場」が平置き可能、おまけに「釧路和商市場」で朝食が食べられる。各店舗で具材を購入して作る「勝手丼」が名物だそう。ここに決めた!

    JR釧路駅

    ……と出かけたところ、市場の周囲は静まりかえっています。なんとお休み!

    もとから毎週日曜日は仕入れ市場が休業のため、営業しない鮮魚店が多かったそう。それに加えて新型コロナウイルス。和商市場全体の休業日があるのでした。しまった……。

    釧路駅にも駐車場はありますが、「長時間のご利用は高額になります」とわざわざ注意喚起の看板があるというウワサ。JR利用者が格安で利用できるパーク&トレイン駐車場はノロッコ号対象外。

    JR釧路駅

    けれどいつまでもウロウロしてはいられません。「背に腹は代えられない」と覚悟して駅駐車場に向かうと、料金は1時間220円。

    5時間停めても1000円ほど。十分良心的ではありませんか!札幌や函館の感覚でいると、むしろ格安に感じられます。

    私の到着時はガラガラでしたが、時間経過とともに満車になったので早めの到着がベターかもしれません。とくに私は駐車に自信がないので、「混雑状況」や「通路幅」はかなり気にしています。

    事前にGoogleストリートビューや航空写真で出入口を確認することは必須。また、空いている時間帯に着くことで左右の車両を気にせず切り返しができたり、出口から直線上にあるマスに駐車できるなど利点が多いので、「都市部に行くときには計画的に!」をモットーにしています。

    レフボンJR釧路店

    ひと安心して、駅のベーカリー「レフボンJR釧路店」で「湿原のパン」(税込378円)の朝食。海鮮丼が食べられなかったのは残念ですが、このパンも実は限定品。

    「くしろ湿原ノロッコ号」運行シーズン終了までの限定販売で、北海道をかたどった生地に、抹茶で湿原の緑を表現しています。

    「くしろ湿原ノロッコ号」

    くしろ湿原ノロッコ号

    定刻になりました。ノロッコ号は、湿原を縫うように走る観光列車。釧路駅を出発し、塘路(とうろ)駅までをおよそ45分で結びます。片道:運賃640円+指定席券840円と手頃な価格で、2~3時間の小旅行にぴったりです。

    くしろ湿原ノロッコ号

    指定席にはテーブルをはさんでグループで対面できるボックスシートと、2人掛けのベンチシートがあります。ベンチシートは背もたれの向きを変更可能。車内では見どころを紹介するアナウンスがあり、大きな窓でパノラマビューを楽しめます。

    くしろ湿原ノロッコ号

    道中、ぼんやりと道路標識を見ていたら「細岡展望台」「達古武湖」など見覚えのある地名が。あれ、昨日泊まったキャンプ場の近くでは?

    てっきり湿原に行くには厳しい交通規制などがあり、鉄道一択と思っていた私。けれど実は、昨日からすでにノロッコ号の沿線に滞在していたうえに、クルマでも展望台などを訪問できる……?

    いやいや、いつも自分で運転していると「乗り物に乗る」という体験がまた格別に楽しいものです。結果オーライと思い直すとともに、改めて昨日はすごいところに泊まったのだなと実感します。隣に座っておしゃべりしていた人が、実は世界的有名人だったことを後から知ったような……。

    釧路湿原駅と細岡展望台

    釧路湿原駅

    塘路駅まで行って折り返してくるのが定番ルートですが、私は釧路湿原駅で降りるショートコースを選択。片道25分ほどの乗車です。

    ログハウス風の駅舎は趣(おもむき)があります。駅とは言っても周囲に住宅やコンビニエンスストアなどはなく、帰路の電車の時刻を必ず確認するよう注意書きがありました。路線バスも通っていませんし、タクシーは釧路市内からの配車となり大がかりになるためです。

    細岡ビジターズラウンジ

    駅からは「細岡ビジターズラウンジ」を経由して……

    釧路湿原

    徒歩10分ほどで「細岡展望台」まで行けます。途中、階段など多少の起伏がありますが、健康な人なら問題なく歩けるでしょう。普段ひきこもりでインドア人間の私でも大丈夫でした。

    釧路湿原

    展望台からは、湿原を一望する絶景!

    釧路湿原

    梅雨がないと言われる北海道ですが、旅したのは本州でもまだ梅雨入り前の初夏。すでに緑が生い茂っていた駅周辺とは異なり、湿原は黄色っぽい地肌をのぞかせています。これから夏にかけて緑濃くなっていくのでしょう。

    冬のイメージのあるタンチョウですが、釧路湿原周辺には一年中いるのだそう。無数の命を育んでいる貴重なフィールド。なんだか感動してしまいます。

    細岡ビジターズラウンジ

    道中の「細岡ビジターズラウンジ」も素敵なところでした。「ラウンジ」というネーミングのとおり、くつろぐことを目的とした館内は居心地のいいロッジのよう。

    売店をのぞいたり、温かい飲み物を楽しんだりと、ゆっくりさせていただきました。Wi-Fiもありますよ。

    なお、ラウンジから釧路湿原駅までは街灯がないため、日没後にはすみやかに移動するよう、ここにも注意書きがありました。軽装で気軽に来れてしまいますが、おそらく夜には月明かりしかない暗闇。豊かな自然に囲まれていることを実感します。

    くしろ湿原ノロッコ号

    折り返しのノロッコ号に再乗車して釧路駅へ。湿原滞在時間は1時間ほどでしたが、写真撮影やトレッキングなど特別な目的がない限りは十分な時間です。

    くしろ湿原ノロッコ号

    車内販売でコーヒーを飲んだり、記念の乗車証明書をいただいたり。わずかな乗車時間を楽しみました。

    本当に晴れてよかった。野生動物には出会えませんでしたが、新緑の湿原の景色や森林浴を満喫しました。

    ドライブ再開

    車窓の風景

    再びクルマに戻ってドライブ再開です。ほんの数時間ですが、久しぶりに愛車と再会したような気持ち。広大な農地を左右に見ながら十勝地方へ向かいます。

    自分で運転しなくても乗っているだけで確実に目的地に着く鉄道の旅は、どんと任せていられる安心感がありました。所要時間も明確ですし、食べたり飲んだり書きものをしたり、のんびりと過ごせます。

    運転免許を取得する前は、「青春18きっぷ」で鈍行列車の旅をしていたこともあります。きっぷ1枚でどこまでも行ける解放感は、キャンピングカーに通ずるものがあります。

    けれど「運行ダイヤが絶対」であることや、一度乗ってしまうと行動が限られる不自由も。ほかのお客さんと相席になる気遣いもありますね。

    いまは、進むも止まるも自分次第のクルマ旅が気に入っています。運転にも道順にも駐車にも神経を使うし疲れるけれど、より自由な感じがします。

    「十勝川温泉 笹井ホテル」

    十勝川温泉笹井ホテル

    今日の車中泊スポット「十勝川温泉 笹井ホテル」(1泊2200円に到着しました。自動車ユーザーなら誰でも利用できるRVパークに対し、「くるま旅クラブ」の会員が利用できる湯YOUパークになります。

    湯YOUパークの場合、料金やサービスは千差万別。たとえば24時間トイレの有無も施設ごとに異なります。

    「湯」の字のとおり入浴施設が母体なのですが、入浴料ひとつとっても「同乗者全員分が最初からパーク利用料に込み」のところもあれば、完全に別料金のところも。あいだを取って「一般外来客よりお得な割引料金」というパターンもあります。

    こちらでは、食事とセットになったお得な入浴券がありました。1300円を支払ったのですが、後に三度驚くことに。

    麺処田楽

    セット券を使えるのは、ホテル駐車場の敷地内にある「麺処 田楽」さん。

    好きな時間に利用してよいということだったので、夕暮れを待ってブラブラ向かうと、なんと長蛇の列!

    周囲は十勝川温泉の温泉街で、しかもホテルの駐車場です。「なにかのついでに立ち寄る」という立地ではありません。それにも関わらず、列が途切れることがありません。少し前にはテレビ番組『櫻井・有吉 THE夜会』の取材があったそう。

    麺処田楽

    今回の湯YOUパークは電源サイトなどがなく、空いている駐車スペースに自由に駐車してよいシステムでした。車内で様子を見つつ、何度目かの挑戦で覚悟を決めて列に並びます。夜になるとぐっと冷え込み、震えながらの待機です。

    店内に入って二度目のびっくり。先述のセット券で選べるのが「麺類ならなんでもOK」で、1000円を超えるメニューもあります。つまり入浴料金はわずか300円の計算!

    麺処田楽

    さらに、ひとくち食べて三度目のびっくり。オーダーしたのは「味噌あつ麺」。

    まず自家製麺が美味しい。麺だけで食べてもほのかに甘く、旨味が感じられるような味わい深さなんです。

    スープは北海道らしい、まろやかな甘味のある濃厚な味噌。「つけ麺は味が絡まない」というイメージが一転しました。最後まで味が薄まることも、物足りなくなることもない。

    麺処田楽

    固形燃料で熱せられた鍋はくつくつと煮立ち、途中で冷めてしまう「つけ麺あるある」とも無縁です。これが「旅館スタイル」として話題になったのだとか。なるほど、旅館の夕食の鍋料理のシステムですね。

    これまでの人生で食べたつけ麺の中で、もっとも美味しいものでした。お腹に余裕があったら「ぞうすいセット」も頼みたかった。

    麺処田楽

    次に北海道に来たら、わざわざ時間を作ってでも再訪したいスポットです。事前のリサーチはおろか、名前も知らずに訪れたのが実は名店だった……こんな体験があるから旅はやめられません。

    施設詳細

    • 名称:十勝川温泉 笹井ホテル
    • 住所:北海道河東郡音更町十勝川温泉北15-1
    • 料金:1泊1台2200円
    • 備考:入浴料大人1000円(各種セット料金あり)
      ※サービス内容は変更になる場合があります。
    私が書きました!
    フリーライター
    SAYA
    グルメ、トラベル、車中泊、クルーズなどの記事を執筆しているフリーライターです。バンコンタイプのキャンピングカーで全国を巡っています。太陽も昆虫も苦手なインドア派ですが、車中泊×観光の組み合わせに無限の可能性を体感中。車を拠点にした遊びの話題をお届けします。

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