海遊び、川遊びが最高に気持ちいい夏到来。大切な人と海や川に出かけたり、夏休みに渓流や静かな湖のほとりでキャンプを予定している人も多いと思います。夏の水辺といえば楽しいイメージしか思い浮かびませんが、毎年泳げる人が溺れたり、小さな子どもが流されたりする水難事故が起きているのも事実。「もしも」のときのことを考えて、海や川で事故にあわないように、水遊びの基本のキをおさえておきましょう。応急救護の専門家でもあるアウトドアの達人・長谷部雅一さんに、水辺の危機管理術を教えてもらいました。
川で急流に流されたら
ひざ下程度の深さでも、流れが速い場所では容易に人は流されます。泳ぎながら呼吸を確保することは難しいので、水辺で遊ぶときはPFD(パーソナルフローティングデバイス、一般にはライフジャケット)を身につけましょう。
流されながら少しずつ岸に向かって泳ぐ
流された場合は、元いた場所に戻ろうとしないことが鉄則。流れていく方向を見定め、安全な場所を選んで流されながら岸へと向かいましょう。
また、子供を川で遊ばせる場合は、流れがゆるやかな場所を選び、必ず親が下流側で見守るようにしましょう。
海水浴で沖に流されたら
一様に見える海岸線でも、そこには大きな潮の流れが潜んでいます。海水浴中に気をつけたいのが「離岸流」です。
岸へと向かう「向岸流」は、岸にぶつかると行き場をなくし、ある一点で強い流れとなって沖へと帰っていきます。この流れが「離岸流」です。
岸に沿って平行に泳いで「離岸流」から脱出する
離岸流の幅は数十m、流れの長さは数百mに及ぶこともあるんです。この流れのなかで岸に向かっても、体力を消耗するだけ。
まずは岸に対して平行に泳いで離岸流から抜け出しましょう。離岸流から抜け出したら、岸に向かってゆっくりと泳いで帰りましょう。
溺れている人がいたら
救助を行なう人の安全を最優先するのがレスキューの大前提。この原則が守られないばかりに、人を助けようとした救助者が毎年、命を落としています。
浮力体を投げてしがみつかせ、ロープ、棒などで引き寄せる
溺れている人を見つけても決して水には入らないこと。ペットボトルやクーラーボックスなどの浮力体を投げ渡して、まず呼吸を確保させましょう。
同時に周囲の人や消防に救助を要請し、手近にロープや棒などがあれば、それを渡して溺れている人を引き寄せます。
自分一人で助けようとするのではなく、救助できる能力と道具を持つ人を呼ぶのが、溺水者の救助の鉄則です。
心肺停止の場合は
溺水などで心肺停止した人には「心肺蘇生」を行なう必要があります。この処置は溺水以外の理由で心肺停止した人にも有効です。
心肺蘇生は「胸部圧迫」と「レスキュー呼吸」(マウス・トゥ・マウスなど)の一連の行動を指しますが、レスキュー呼吸を行なうのが難しい場合は、「胸部圧迫」だけでも効果があります。
溺水者、傷病者を発見したら、最初に119番への通報とAEDを手配することが大切です(もしくは周囲の人に依頼しましょう)。それと並行して胸部圧迫を開始します(レスキュー呼吸のスキルがあれば、あわせて行ないます)。
心肺蘇生(胸部圧迫)の手順
胸部圧迫とは、胸の中心を強く押すことを指します。大人の場合は両手を重ねて5cmほど沈むまで、1分間に100回以上のペースで救急隊の到着まで続けます。
小児の場合は、片手で100回以上、幼児の場合は指2本で4cmほどの深さまで、1分間に30回のペースで行ないます。
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