カナダ、ユーコン準州にはカナダで唯一、北極海へと続くハイウェイがある。ユーコン準州第2の街、ドーソンシティから北極海方面へと走ってみた。
※2022年8月末に取材した内容を基に構成しています。
クルマで北極海へ行く!
ドーソンシティ
ユーコン準州の準州都ホワイトホースから約540キロメートル、時間にするとだいたい6〜8時間。ノースクロンダイクハイウェイを北上すると、ドーソンシティに着く。
このドーソンシティは、北米有数の大河、ユーコン川に面している。昔ユーコン準州の準州都だった街で、19世紀後半にゴールドラッシュが起こった場所として有名。今でも昔の木造の建物がそのまま残っていて、当時の雰囲気が町の中に漂っている。カナダで一番古い公営カジノがあるのも、ここドーソンシティ。今回はこの街から旅をスタートする。
ユーコン準州ハイウェイマップ
https://yukoninfo.com/yukon-southeast-alaska-northern-british-columbia-maps/yukon-territory-map/
デンプスターハイウェイ
ドーソンシティから約30分、ノースクロンダイクハイウェイを東に走る。北極海(Arctic Ocean)という道路標識が現れる。ここを曲がると北極海へと続く道、デンプスターハイウェイへと入っていく。名前はハイウェイだけど、ここから北極海までの約840キロの間、ほぼ無舗装路。そんな特殊なハイウェイだから、以下の点に注意をしておきたい。
とにかくゆっくり走る
道路は定期的にメンテナンスされているとはいえ、このハイウェイのほとんどの箇所が砂利道。アスファルトのハイウェイと同じように早く走ると、パンクをする可能性が一気に高くなる。理想はトラック用のオフロードタイヤを履いて、時速60キロメートル未満で走ると、経験上パンクをしにくくなるように感じる。
スペアタイヤを持っていこう!
それでも絶対にパンクしない保証はないから、スペアタイヤは必ず持って行きたい。車によっては、応急処置用の薄いタイヤがスペタイヤとして装備されている場合もある。その場合はフルサイズのタイヤをさらに追加で持って行きたい。そしてタイヤ交換も自分でできるようになっておこう。
常にガソリンは満タンに、そして予備も持っていこう!
ハイウェイ入り口には無人のガソリンスタンドがある。次の給油ポイントのイーグルプレーンズまでは、約400キロメートル先になる。途中通過する小さなコミュニティでも給油可。ガソリンが減っている場合は常に各給油ポイントで満タンにしておこう。
自分の運転する車の燃費、フルタンクで何キロまで走行できるかも把握しておきたい。道中アップダウンが激しいので、いつも以上に燃費が悪くなる。それらを踏まえて、心配な人はタンクに予備のガソリンを入れて行くことをおすすめする。
これぞデンプスターハイウェイの醍醐味!
未舗装のこのハイウェイの両道路脇には、手付かずの大自然がどこまでも続いている。太古に氷河によって削られた渓谷、連なる山々、トゥームストーン準州立公園、ユーコン川水脈とマッケンジー川水脈の分水嶺、森林限界、ツンドラの中を道は続いていく。
そして道はさらに北極圏を越えて北上、ノースウエスト準州へと入り、北極海へと続くマッケンジーデルタ、マッケンジーデルタ特有の地形ピンゴなどなど、そして北極海へと続いている。
800キロメートル以上大自然の中を走っていると、野生動物との出会いも期待できる。グリズリー、ブラックベア、ムース、カリブー、ヒツジ、オオカミ、キツネ、これらの哺乳類以外にも、トゥームストーン準州立公園などのトレイルを歩けば、マーモット、ホッキョクジリスなど小型哺乳類にも出会えるかもしれない。
そしてタクトヤクタックへ!
道の最終地点、タクトヤクタックはノースウエスト準州の先住民集落だ。北極海に面しているこの集落の海抜は5メートル。村のはずれの海に突き出た広場に行ってみると、あたり一面真っ平らな水平線。夏でも風が凍えるほど冷たい。それでも大陸の果てまでやってきたのを存分に楽しもうと、足を海につけたり、中には海水浴をする人もいるようで…。
いつか行ってみたいという人は、そんな楽しみ方を覚えておくのもいいかもしれない。
2008年にユーコン川下りで訪れて以来、ユーコン準州に通い始める。2011年に移住後も、ユーコンに生きる野生動物、風景、自然と共に生きる人々を引き続き撮影中。2019年、First Light Image Festivalにて最優秀賞受賞。ユーコンから色々なトピックをお届けします!