真夏よりも朝晩は涼しくなり、安定した気候の秋はキャンプのハイシーズン。大自然を目一杯楽しむ上で、気をつけたいのが「虫」です。でもよくよく考えてみると「虫除けスプレーをシュッとするだけでいいんじゃないの?」「刺されたらどうしたら良いのかわからない」など、疑問は膨らむばかり。シオノギヘルスケア株式会社 安全・規制管理統括グループ 学術担当の笠松 良治さん(薬剤師)とブランド戦略グループ 横山 亮太さんに、キャンプでの虫対策を教えてもらいました!
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秋のキャンプで気をつけるべき虫の種類
キャンプに行く時に気をつけるべき虫として、真っ先に思い浮かぶのは「蚊」と「ブヨ」。蚊は夏のイメージが強いと思いますが、実は暑過ぎると蚊は動かず、気温25〜30度Cで活発になります。例年の残暑を踏まえると、9月・10月も油断できません。ブヨの活動時期は3月〜10月頃までで、秋のキャンプではまだ注意が必要となっています。
さらに草むらや植え込みに潜み、うっかり触ってしまいがちなのが「ケムシ」、そして咬まれて怖いのが「マダニ」。また、「ハチ」は夏〜秋に活発になっていくため、秋に特に意識して避けたい虫です。
「刺されない」ことがベスト!キャンプでの予防方法
横山さんによると、キャンプをするにあたって虫刺されを予防するポイントは3つ!まず1つ目は「肌の露出を減らすこと」。長袖・長ズボンが基本です。また、蚊は色が黒いものをクマなど動物と判断して認識するため、黒色の服は避け、蚊が認識しづらい白色の服を着ることも効果的。
2つ目は「虫を寄せ付けないこと」。蚊やブヨ対策ができる「虫除けスプレー」はリーズナブルで手に入りやすく、やっぱりキャンプのマストアイテムです。さらに蚊取り線香のほか、今はランタンやキャンドルなどでも虫除けグッズが発売されているので、組み合わせて使うこともおすすめ。
最後は「虫に安易に近づかないこと」。特に虫除けスプレーで予防できないハチに遭遇した時は注意が必要で、近づいてきたら払ってしまいそうになりますが、これは絶対NG。こちらが攻撃してしまうと敵と認識され刺されるため、ゆっくり動き、後ずさりしてその場を去ることで対策できます。
「ディート」と「イカリジン」の違いは?
虫除けスプレーはさまざまありますが、厚生労働省が承認している有効成分の「ディート」と「イカリジン」配合のアイテムが代表的。ディートを配合している虫除けスプレーは医薬部外品(濃度10%以下)もしくは医薬品(濃度12%以上)、イカリジンを配合している虫除けスプレーは医薬部外品があります。特徴としてディートはカ・ブヨ・アブ・マダニ・トコジラミ・ツツガムシ・ハエなど幅広く対応するメリットがある一方、高濃度(30%)の商品は12歳未満には使用できないというデメリットがあります。「イカリジン」はカ・ブヨ・アブ・マダニと対象の虫が限定されてしまいますが、年齢制限がなく子どもも使うことができます。キャンプの虫除け対策はどちらも問題ありません。
塗る時のポイントとして、虫除けスプレーはシュッと吹きかけるだけでOKと思われがちですが、これはNG。ムラができてしまうため、シュッと吹きかけたあとに、しっかり伸ばすことがコツです。子どもに塗る時は目をこすっても、指を舐めても問題ないように、虫除けスプレーを指先に塗らないことがポイント。汗をかいたり、体を拭いたりするととれてしまうので、塗り直しも忘れないようにしましょう。
また、もしポリエステル生地の服を着ている場合、ディート配合の虫除けスプレーが服につかないように塗ることが大切。ディートはプラスチックを溶かす性質があり、ポリエステル生地の洋服につくと変色してしまう恐れがあることが理由です。
マダニはすぐに病院へ。虫に刺されてしまった時の対応
予防が第一ですが、万が一刺されてしまった時の対応は虫によって異なります。対処法を、笠松さんに詳しく教えていただきました。
・蚊やブヨに刺された時
まず水で洗い流してから清潔に。その後は掻かないことが大切で、もし掻きむしってしまうと傷がつき「とびひ」になってしまう恐れもあります。そうならないために、かゆみ止めの「抗ヒスタミン剤」、そして炎症をおさえる「ステロイド外用薬」で対処することが基本。軽いかゆみだけなら「抗ヒスタミン剤」で対処し、ブヨやケムシに刺されるなど腫れ・炎症・ひどいかゆみの時は「ステロイド外用薬」で対処するのが適切です。薬局で効能に「虫さされ」と書いてあるものを選びましょう。
・ハチに刺された時
スズメバチやアシナガバチに刺されてしまったらまずは水で洗い流し、応急処置として「ポイズンリムーバー」で表面の毒液を吸い出します。ハチに刺されると生命に関わるアナフィラキシーショックを起こす可能性もあるため、軽傷であっても病院へ行きましょう。ケースとしては少ないですが、ミツバチに刺されてしまった場合は針が抜けない構造になっているため、肌に残っている毒針を早く取ることが第一。しかしこれを指でつまもうとすると尾っぽの毒袋を押して、毒を体に注入してしまう恐れがあります。そのため、上からとるのではなく、プラスチックのカードのようなもので横から削ぐように針を払うことが大切です。
・マダニに咬まれた時
感染症を持つマダニは、特に注意が必要な虫です。また、無理に肌からとろうとするとマダニの口が残ってしまうという厄介者。もしマダニに咬まれたら、自分で皮膚からとろうとせずに、すぐに病院へ行きましょう。
持ち物を確認。キャンプで持っていきたい虫対策グッズ
まとめると、キャンプに持っていきたい虫対策グッズはこちら!
- 虫除けスプレー
- 蚊取り線香もしくはランタンやキャンドルなどの虫除けグッズ
- 抗ヒスタミン剤(虫さされ用)
- ステロイド外用薬(虫さされ用)
- ポイズン・リムーバー
キャンプをする上で虫との共存は必須。必要以上に怖がる必要はありませんが、対処法を知っておくことで、よりキャンプを楽しむことができます。虫対策グッズで万全に備え、秋のキャンプを満喫してくださいね!